ムダな仕事が多い職場 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069887

感想・レビュー・書評

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  • 今までいろんな生産性や効率化の本を読んで、なぜ日本が生産性が著しく低いのか、
    なぜ長時間労働なのかそれでいて著しく賃金が低いのか、なぜ社員の満足度が低く幸福度も低いのか、簡単な解決方法が見当たらなかった。
    原因はそれぞれ書かれていて解決する方法はあるが、日本の社会の慣習、会社の仕組み、法律、全てが複雑にからみあっていて解決できない絶望的な気持ちになる。
    個人的には雇用の流動化が1つの突破口だと考えていた。
    それがこの本で明確に書かれていて非常に納得した。
    多くの企業で生産性の向上をうたって現場は改善を重ねるが、本書にも書かれている通りそれでは劇的に生産性が向上しないだろう。
    本書で書かれている通り、必要なのは仕組み、組織、考え方の転換である。
    それができるのは末端の社員ではなく経営者経営幹部しかない。

  • 製造現場で効果的だった「改善活動」。
    ホワイトカラー職場にはやっぱりそぐわなかったんだ、と目からウロコだった。

    上司が部下に「この資料いらないよ」って言ってくれるだけで簡単に効率化できるのに!!!
    自分の存在感を示すためや
    会議で自分が恥をかかないために部下に作らせる資料は
    ムダ以外の何物でもない。

  • ★4.0(3.50) 2017年10月発行。1人当たりのGDPはOECD加盟国の中で1993年世界6位だったのが、2015年には18位に。1時間当たりの生産性は欧米の2/3.従って、当然一人当たりの所得水準もどんどん低下傾向に。その理由が確かにこの本を読むと良くわかる。日本の会社の仕事はなんとムダなことが多いのか。重箱の隅をつつくようなマイクロマネジメント。考えてみると、確かにムダな会議、報告書といい各人が仕事上の無駄の排除を心掛けないと、この先日本はどんどん世界からおいてきぼりに。経営層に必読の書。

  • 実感のわくところも多いけど、先々の提言はこれからという感じ。

  • 目から鱗だ。
    ■日本企業では入社した直後から「ホウ・レン・ソウ」,すなわち上司に対して常に報告,連絡,相談をするように指導される。ところが「ホウ・レン・ソウ」を徹底して求める管理職の指導は,欧米人の目からすると細かいところまで管理する「マイクロマネジメント」そのものに映り,しばしば嫌悪される。
    ■欧米などではマニュアルはあくまでも作業者が参考にすべきものという認識であり,状況によって臨機応変に対応することが求められる。それに対して我が国ではマニュアルを絶対視し,厳格に守ることが要求される。さらにマニュアルに書かれていない部分まで推測し,それに従おうとする。
    ■人事評価についてもわが国ではより細かく,厳格になりつつあるのと対照的に,アメリカなどでは人事評価の比重をむしろ軽くしたり評価制度そのものを廃止したりする動きがみられる。
    ・従来のパフォーマンスマネジメントが個人や組織のパフォーマンス向上につながっていないとみなされ始めた。
    ・一方で,社員に対して目標設定とフィードバックをリアルタイムで頻繁に繰り返すようになっている。
    ■グローバル企業のトレンドと「マイクロ化」する日本企業のマネジメントとの間にはギャップが広がっており,ギャップの拡大に拍車をかけているものがある。それが日本社会特有の同調圧力である。
    ■稟議制と呼ばれる日本型意思決定システムは独特。
    ・関係する人すべてが参加するので慎重な検討が行われる長所がある反面,決定にとても時間がかかるという短所がある。
    ・見逃してはならないのが「全員が決定に参加する」とか「慎重に検討する」という大義眼分の背後に,処遇の論理に端を発する大きな無駄が隠れていること。
    ・年功序列制の下で年齢に見合った地位と給与を保障し,社員のモラールを維持しようとすれば,組織にとって必要かどうかは関係なく,処遇のために役職を置かなければならない。
    ■「職能」とは本来職務遂行能力のことであり,額面どおりなら能力主義的な人事制度になるはずであるが,能力そのものを正確に評価することは難しい。まして個人の仕事の分担がはっきりしていない日本企業では発揮された能力を見定めることもできない。そこでやむなく経験,勤続年数を能力の代理指標として用いることになった。このような背景により能力主義を標榜した職能資格制度は皮肉にも年功主義にお墨付きを与える制度になってしまった。
    ■「完璧」が思考を停止させる。
    ・限定された範囲で完璧を目指すことは無限な広がりを持つ外部の要因,不確実な将来を考慮しないことを意味するもの。
    ・完璧な仕事をしているつもりでいると,思わぬ欠点に気づかなかったり,機転が利かなかったりすることもよくある。それはしばしばマニュアル至上主義と結びつく。
    ■完璧主義は減点主義と極めて関連性が強い。社員の採用にしても部下の評価にしても減点主義をとるのは自分自身が減点主義で評価されるからである。
    ・仕事をする上での「事なかれ主義」にも通じる。
    ・日本企業ではトップから末端までが「攻め」より「守り」重視,すなわち自らの保身のためにリスクを最小化するよう動機づけられている。
    ・それがたとえ組織にとって不合理だと思っても完璧主義にこだわる大きな理由だと考えられる。
    ■仕事に対する意欲やかかわり方を表す指標として近年「エンゲージメント」という尺度がよく使われるようになった。シャウフェリ(W.B.Schaufeli)らによって開発された仕事に対する積極的なかかわり方を表す概念であり,「活力」「熱意」「没頭」の三要素からなる。
    ■小さなムダの排除が大きなムダを生む。
    ■細部にこだわる微視的なマネジメントが,突出した意欲と能力の発揮を抑制し,イノベーションを妨げるといったマイナス効果をもたらしている。
    ■改善活動に象徴される製造現場の生産性向上と,アイデアやイノベーション,ブレークスルーが求められる現在のホワイトカラー職場とは理念や価値,目標,思考方法などが極端に言えば正反対である。
    ■改善と革新の違いはいわばパラダイム(思考の枠組み)の違い。
    ■物事にはたいてい長所と短所の両面があり条件が変わると長所が短所になる。したがって条件が変わったときパラダイムを転換しなければならない。
    ■企業のパラダイム転換について経営学者の加護野忠男は「①過去の成功が大きければ大きいほど,②成功期間が長ければ長いほど,③企業が同質的であればあるほど,④企業の政治的権力が分散していればいるほど,企業パラダイムの革新は難しい」という。
    ・長年にわたる工業社会の繁栄によって培われた我が国の「改善型」パラダイムは,四つの条件をすべて備えている。
    ・「適応が適応を妨げる」という言葉どおり我が国は工業社会にあまりにも適応し過ぎたためポスト工業社会への適応が困難だった。
    ・過剰なサービス,無意味な完璧主義,重箱の隅をつつくようなマイクロマネジメントがいまだにまかり通っているのはパラダイムの転換がいかに困難かを物語っている。
    ■わが国ではこれまで敵対的な買収を防止し,安定した経営を行うため複数の会社が相互に株式を持ち合ってきた。そのため,欧米企業に比べて会社経営に株主の力が働きにくい。このような立場に置かれている経営者は大胆なリストラを行ったり,社員の反対を押し切って合理化を推し進めたりするより大過なく任期を全うしようという意識が強くなりがち。
    ■日本企業では組織のトップから末端に至るまで組織を効率化するより会社共同体を維持することで利害が一致する。
    ■日本企業の特殊性といわれるものの大半は日本の大企業の特殊性だということ。
    ■中小企業が直面している内外圧の中でも特に深刻なのは人手不足。

  • ポスト工業社会において、工業社会の成功モデルをホワイトワーカー業務にも適用していることの間違いについての指摘が参考になった。また、人事のマイクロマネジメントと間違ったおもてなし・過剰サービスもムダな仕事を増やしていることも分かった。

  • 東2法経図・開架 B1/7/1283/K

  • 336.2||Ot

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著者プロフィール

1954年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。おもな著書に『公務員革命』『ホンネで動かす組織論』『ムダな仕事が多い職場』(以上、ちくま新書)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』(ともに新潮新書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)などがある。

「2018年 『「ネコ型」人間の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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