いちばんやさしい美術鑑賞 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.71
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本棚登録 : 214
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480071521

作品紹介・あらすじ

「わからない」にさようなら! 1年に300以上の展覧会を見るカリスマブロガーが目からウロコの美術の楽しみ方を教えます。アートファン必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年アートに興味を持ち始め、美術展に足を運ぶようなったので、ほんとにちょうどよい指南書に。興味が知識に繋がり、知識がさらに興味を呼ぶ。自分のペースで楽しんで行きたいな

  • この本では、美術のカテゴリ(和・洋、クラシック・近現代、絵画・工芸品)ごとに代表的な、しかも国内の美術館に収蔵されていて鑑賞のハードルが比較的低いものを紹介してくれています。
    美術館に行って、「これはちょっと意味がよくわからない」「こういうのは好きじゃないな」「自分でも書けそう」なんていう第一印象をもつことは、まぁあります。それはそれで否定されるものではないけど、こういうところを観るともっと豊かな世界が広がっていますよ、というのが本書のメッセージです。

    キャプションをよく読もう、っていうアドバイスに関しては、「あ、見てもいいんだ」という安心がありました。
    だって、文章ばっかり読んで、肝心の鑑賞が疎かになったり、作品から無言のメッセージを受け取れなくなるんじゃないか(もともとそれほど受け取れてはいないけど)とか、そういう心配がありましたので。ところが、まずは第一印象でいいんだけど、作家のエピソードや作品のバックグラウンドを知ることで、第一印象と違った感想がもてるようになるというのです。うん、確かにそうですよね。その上で、第一印象と比較をしてみればいいんだなあ、と。もっと前からそうしていればよかった。

    ディテールをみたり全体像をみたり、つまり近づいたり遠くから眺めたり、というのも楽しみ方の一つで、筆致(タッチ)や「抜け感」も注目ポイントだといいます。

    いわゆる現代アートをみたときに、「意味不明だ」と感じてしまうのは、自分の感性が貧弱だからなんじゃないか、という後ろめたさがありました。
    だから、(特に現代アートは)単に観るものではなく、「考えるもの」「解釈するもの」だ、そしてそれは「格闘だ」というのには救われる思いがしました。(芸術をその域に押し上げたのは、デュシャンだそうです)

    さて、私は本書と同時に、若林恵さんの『さよなら未来』(岩波書店)を読んでいたのですが、その中で、

    “写真に限らずアートというものが同時代の最もアクチュアルな批評であるという認識は、どうして日本では一向に広まらないのだろう。(略)「アートはビジネスマンの教養である」(略)とほほ。アートってそういうことじゃないと思うんだけどなあ”

    という箇所があって、こと現代においてはまさにそうなのかもしれないな、と思いました。
    でも必ずしもそうとは限りませんけどね。アートが批評のためだけに存在しているわけじゃないから。だって、美しいと思ったものを自分の内面で濾して、より美しいものに昇華して表現しよう、っていう芸術的志向だってあるはずだし、そのときには批評なんて狙いはどこにもないと思うので。

    とにかく、この本で私にとっての一番の収穫は「分からないこと」が肯定されたような気がしたことです。
    分からないことは調べればいいし、その情報を頼りに考えればいいのです。第一印象でなにもかも感じ取れる必要はないし、芸術家もそんなことを望んでるわけじゃないかもしれないのだから。

  • 西洋、日本美術の代表的な作家の鑑賞術を教示する。美術史をなぞった作家、作品の捉え方を丁寧に解説している。‬

  • 15点の作品を丁寧に解説した好著だ.西洋絵画については、様々な解説書を読んだ記憶があり、本書も大同小異だったが、日本画についての説明は秀逸.水墨画、狩野派、若冲など素晴らしい視点による解説は非常に楽しめた.

  • タイトルどおり本当にやさしい。
    今までなんとなく見ていた有名な作品の魅力を知ることができる。
    数多く作品を見た後はどうしても知識が必要。
    その最低限と価値観を本書から網羅的に学べる。
    間違いなく鑑賞が楽しくなる一冊。

  • たとえ何千年前に人間が作りだした世界文化遺産であっても同じ人間の手により破壊されてしまう悲しい世の中です。しかし大震災によって甚大な被害を被った絵画作品の展覧会をつうじ、多くの人々に感動を与えるまさに文化的な活動をしているのも同じ人間です。この作品の前に立つと、そうした人間の善悪の「歴史」や「物語」が一斉に語りかけてくるはずです。(p.28)(グエルチーノ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」)

     日常の台所風景のひとコマが描かれているだけの「牛乳を注ぐ女」を前に、この絵のどこがそんなにすごいのか?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そこにあるのは引き算の美学なのです。余計な情報をそぎ落とし最少限度の事柄で最大限の美しさを発揮させる。引き算の美学、最小限の事柄で最大限の美しさを発揮するーこれってどこかで聞いたことがありませんか?そう、これは素材を生かしたシンプルな和食の美学です。フェルメールの作品は、日本的な感性の世界に通じるものがあるのです。(pp.41-42)

  • 著名な人物を紹介しながら美術鑑賞の方法について語ってくれているので美術に疎い私でも理解しやすかった。
    この本を読んで作品を見れば見え方が変わっていくだろう。

  • これは楽しい一冊。とりあげる作品も国内で鑑賞可能な作品に設定しているので、タイミングさえ合えば直ぐ観に行ける。16の作品を例にバロックから現代まで、洋画、日本画、工芸作品までバランスもいい。
    残念なのはカラー判でないこと(巻頭に8pだけ口絵があるけどさ)。コストの問題なんだろうけど4Cで出してほしかった。絵は知っていたけど池永康晟さんの作品をはじめて認識したのは大収穫。一度ホンモノを観に行かなくちゃね。
    それと、三の丸尚蔵館に動植綵絵のポストカードを買いに行こうかな。

  •  人気アートブログ「青い日記帳」の主による美術観賞入門。
     「いちばんやさしい」とタイトルに謳うだけあって、わかりやすさはバツグンだ。

    《本書は展覧会観賞の一ファンが、ふだん展覧会会場で実践している見方を紹介する、いわゆる素人による素人のための指南書です》
     ……と「はじめに」にあるとおり、美術の専門家の本にはありがちな「上から目線」が皆無なところがよい。

     著者の目線は「一ファン目線」であり、よい意味で「ミーハー目線」といえる。あたかも、映画ファンが憧れの俳優について語るような調子で、取り上げた名画の魅力をじつに楽しそうに綴っているのだ。

     日本の美術館所蔵の作品のみに絞って取り上げている(=その気になれば本物を観に行ける)点も、好感が持てる。

     ただ、文章や言葉遣いに不自然な点がある。

     たとえば、グエルチーノの『ゴリアテの首を持つダヴィデ』について、「英雄が蛮勇を討つという古今東西大変好まれる分かりやすい主題です」と書いている(19ページ)

     「蛮勇を振るう」とは言っても、「蛮勇を討つ」とはふつう言わない。たぶん著者は、「蛮勇」を「野蛮な勇者」の意味だと誤解している。

     また、セザンヌの登場は絵画史の中で一つのパラダイムシフトになった……と論じる章には、次のような一節がある。

    《天動説から地動説への転換は、パラダイムシフトの最も分かりやすい例のひとつと言えます。そんなに大きな歴史的な大転換でなくても、例えば宇多田ヒカルさんが彗星のように登場したことで日本のミュージックシーンが大きく様変わりしたことなどもパラダイムの転換と捉えることができます。》(66ページ)

     大きい例と対比させる身近な例として挙げた意図はわかるが、さすがに宇多田ヒカルのデビューが「パラダイムシフト」だとは言えないのでは? それは「パラダイムシフト」を広義に捉えすぎ。

     ……と、ケチをつけてしまったが、それは小瑕であって、全体としてはよい本である。

  • 美術鑑賞は苦手で何がすごいのかよくわからないのだが、こういう本を読むと楽しみ方が増えて素直に嬉しい。時代や宗教との関係などがわかればより理解が深まるだろうし「プロの解説」を読むのも勉強になるんだろうけど、もっと気軽に、「宗教画は背景をみよ」とか、「美人画は眉を比較」とか、いろいろな楽しみ方があるとわかった。現代アートも「解釈力が問われている」と思うと、その挑戦を受けて立とうといいう気で楽しめるかも。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1990年國學院大學文学部文学科卒、Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を主宰する美術ブロガー。展覧会レビューや書評をはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する。他にも東京都美術館やブリヂストン美術館の公式サイト、goo「いまトピ」、朝日マリオン・コム「ぶらり、ミュージアム」、など多くのメディアにコラムを寄稿。ギャラリーや書店、カルチャーセンターでのトークショーも多く行っている。
http://bluediary2.jugem.jp/

「2018年 『いちばんやさしい美術鑑賞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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