使える!「国語」の考え方 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.18
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本棚登録 : 174
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480071941

作品紹介・あらすじ

読む書く力は必要だけど、授業で身につくの? 小説と評論、どっちも学ばなきゃいけないの? 国語にまつわる疑問を解きあかし、そのイメージを一新させる。

感想・レビュー・書評

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  • ●「羅生門」は学校教育の定番教材にしやすい小説。心情の変化の読み取り、それに付随する場面の読み取りという観点から
    ●今昔物語の「羅城門」と比較すると、「羅生門」の方が情景描写が細かく、人物描写も精密で登場人物を「人格」として描いている。
    ●近現代の小説では、「説明するな。描写しろ。」とよく言われる。具体的なエピソードや場面、人物を描くことで、言いたいことを伝える。
    ●説明をし過ぎない方が、文学作品としては、嫌らしさが抜け、一種の深みが出る。
    ●「論理的」文章では、何かを説明したり、意見を述べたりするが、それには根拠が必要。また、読み手の立場に立った配慮も必要。
    ●高校の選択科目「論理国語」では、①課題を発見し解決するための能力②情報の信頼性や妥当性の見極め③論拠に基づいて自らの主張や考えを効果的に構築する資質・能力の育成が重要とされている。

  • この本のタイトルを完全に誤って理解して購入。読んでいる途中も、こちらが求めている話が全く出てこなくて「???」が続き、感想をまとめる段になっていろいろと調べて、やっと自分の理解不足に気がついた次第。

    私としては、国語を勉強することで身につけることのできる思考といったものを期待していたのだけど、そういうことではなく、「こんなふうに国語の授業を捉え直すことで「国語の授業=よくわからない時間」というイメージを払拭できますよ」というお話だった模様。全く「ここではきものをぬいでください」的なタイトルだ。

    各章の内容そのものは納得するものが多いのだけど、私の場合はとにかくタイトルを誤解してしまったために、何のためにそのトピックが出てきていて、どこに着地するのかが全く分からず、本当にストレスの多い読書時間となってしまった。

    一部内容は、平野啓一郎の『小説の読み方』や『本の読み方』と似通っているので、国語の意義的なもの期待するのであれば、個人的にはそれらの本の方がオススメ。

  • 文学、論理といった枠にとらわれずに、読む力・書く力を身につけるための新しい考え方を提案。学校の「国語」、それも現代文の授業を取り上げ、そこで何が目指されていたのかも解き明かす。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40260913

  • 面白くない。
    国語が面白くないのではなく、筆者が面白くない。面白くない話を、しゃべりたいがために脱線して、主題がぼやける。

  • タイトルと中身が合ってない。どっちかというと「今の国語の授業はつまらない」「こういう風に考えたら面白くなるんじゃないか」という話と、「論理的に書くというのは具体的にはどういうことか」という話。

    「羅生門」「舞姫」を解説したところがわかりやすくて特に面白かった。7、8章はよくあるメディア論、ネット論で蛇足かな。

  • 「物語論」を専門とする筆者が国語教師の経験をもとにあるべき国語教育について語った本。

    久しぶりに大変学ぶところの多い本だった。

    ・文章の読み方は、三つ
    ‐ 作者の立場で読む。作者がどのような状況で文章を書いたか
    ‐ 読者の立場で読む。文章が読者に作用する
    ‐ 物語の型として読む

    ・文章をわかりやすく書くには、読者の期待に応えていくこと
    ・「序論、本論、結論」は、どの階層でも意識する。
    ・「全体・抽象→具体→全体・抽象」は典型的な「序論、本論、結論」
    ・謎解きが、物語を面白くする。

    ・物事の時系列的な因果関係を示すものはすべては物語として語られうる。

    ・情報リテラシーは、SNS時代にあって極めて重要。「本当に、そういえるのか」を常に問う

  • 2020.07.01

  •  国語力をどう生かすかを国語教育の問題点とからめて論じる一冊。国語力というのはあいまいな概念で、文学作品を味わうのは感受性とか想像力も関わるだろうし、論理国語では分析、整理、統合力なども関わるだろう。ただそこに物語性いわゆるストーリー展開を共通要素としてもちこむことができ、結局はそこが国語力の本質なのだという結論のようだ。その当否はさておき、小説文の解析、突っ込みからはじまって、レポートや論説文の添削実例へと進む内容は具体的でわかりやすい。

  • この方の『物語論』の本が紹介されていたので、一緒に購入。

    2019年1月に出た本で、新しいカリキュラムのことにも触れられているのだが、小説の読み方から、定番教材、論理的な書き方、そして論拠の在り方と、結局は何の本なんだろうか、と思いながら読み終えてしまった。

    定番教材の読みや、「平均的な授業」の在り方に対して、また具体的に作品から文章を挙げて、書き方が悪いと批判するのだけど、批判する以上は、その上をいく何かがないといけないと思う。

    確かに、物語の構成の在り方、比喩表現の使い方など、読んでいて面白いと思う部分もある。
    けれど、著者が「面白くない」と断じる部分を、ちゃんと「面白くなる」調理をしているかと言うと、首を傾げたい。

    教科書に載っている作品だから「素晴らしい」とは思わない。
    じゃあ代わりに海外の作品を沢山読みなさい、と言われても、それも違うように思う。(海外の作品を否定しているわけではない)

    自分の親の代から読まれてきた作品でも、今なお気付きがあったり、習ったという感覚をちゃんと残せる所にに、やはり作品の力が関わっているように思う。
    文学が軽視されがちな今にあって、AIに出来ないことが云々というのは、矛盾だなぁと思わされる。

  • 現状の国語、特に小説の授業の課題とその克服が語られるのかと思いきや、現在の典型的な国語の授業を検証するまでは良かったのだが、この本の中盤の文章の書き方なついての記述はかなり唐突な印象を受ける。ということで、全体の構成は分かりづらい。ただし、得ることもあるのがこの本。特に「物語」についての記述。筆者は物語とは「時間的展開のある出来事を語ったもの」とし、そこに因果関係が存在するとしている。そして、一見して客観的に語られると思われがちな報道なども、実は物語的に語られるのが多いのである。日常で語る・語られる文章が時間軸を持った物語的に構成されていることが多いのであるとしたら、やはり国語で物語を検証するということは必要不可欠に思える。

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著者プロフィール

1982年、埼玉県生まれ。慶應義塾志木高等学校卒、慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程修了。博士(文学)。慶應義塾志木高等学校講師(国語科)等を経て、現在、お茶の水女子大学基幹研究院助教。専門は中国語を中心とした文体論、比較詩学。著書に『7力国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社文庫)『物語における時間と話法の比較詩学』(水声社)『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ)『日本語の謎を解く』(新潮選書)『ノーベル文学賞を読む』(角川選書)などがある。

「2019年 『使える!「国語」の考え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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