言語学講義 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480072092

作品紹介・あらすじ

時代とともに進化し続ける言語学。国家戦略、AI、滅びる言語、…現代に即した切り口も交えことばの研究の起源から最新言語学まで、全体像と各論点を学び直す。

感想・レビュー・書評

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  • 時代とともに進化し続ける言語学。その全体像や基本の構造を俯瞰しつつ、重要な分岐点にさしかかっている議論や新しい枠組み、変化しつつあることなどを縦横無尽に取り上げ、「言語学の今」を浮かび上がらせる。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40260809

  • 言語学についての概説かと思っていたら全く違い、ほとんどが国語の話題であった。教科書や知識の整理では使えないが、一般向けの読み物としてはこうした書き方しかないのであろう。

  • チョムスキーとソシュールでない言語学。それがまず私には衝撃だった。カジュアルな書き口で言語学のこれまでと今を描き、課題を残す。

  • 当代の碩学、加藤先生による言語学随筆か四方山話かというところでしょうか、ご本人も概要書ではないと書いておられます。
    特に後半は概念説明もあったりなかったりなので門外漢の自分が読むとそういうものかとしか言えないわけで、できればもう少しだけ、例えば生成文法って大雑把に言うとこう言うこと、詳しくはこっちの入門書を見てねと言うのを期待したいところです。
    言語学を専攻した三回生くらいが読むといいのかな、個別には講義で聞いたあれこれが俯瞰できる感じですね。
    楽しく読みましたが、せめて概要書の推薦は欲しかったかしらね。

  • タイトルの通り言語学の全体感を掴むのにある程度貢献してくれるが、生成文法をはじめ理論言語学に関する言及が少なかった。2019年に書かれた書籍としてはやや新鮮味に欠けるというのが率直な印象。最終章で語られる複雑系についても、あくまで言語の変容を解き明かそうとするものと思った。ただ各章でつかわれる用例は日本語をサンプルとしたものが多く、特に社会言語学に関する考察などは親近感を持って読むことができて楽しかった。

  • 【書誌情報】
    著者:加藤重広[かとう・しげひろ]
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体900円+税
    Cコード:0280
    整理番号:1396
    刊行日:2019/03/05
    判型:新書判
    ページ数:304
    ISBN:978-4-480-07209-2
    JANコード:9784480072092

    時代とともに進化し続ける言語学。国家戦略、AI、滅びる言語、…現代に即した切り口も交えことばの研究の起源から最新言語学まで、全体像と各論点を学び直す。
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480072092/


    【目次】
    はじめに [003-006]
      言語学ってなに?
      全体像と新しい姿
    目次 [007-012]

    第1章 言語学の現在地 013
    1 社会言語学と多様性研究 014
      近代冒語学の基本姿勢
      階級による言語格差はあるのか
      社会言語学が注目する地域差
      日本社会と変異
      士族の移住と移植方言 言語変種と標準語
      時代とともに変わるもの
      江戸は「方言の島」だった
      標準語とは何か
      関酉弁から首都圏語へ
      方言調査、今昔
    2 社会言語学と差別の問題 034
      新しい方言研究と社会言語学
      日本における言語生活研究
      東京方言は標準語か共通語か
      「標準語」としたうえでの「中間言語」
      方言からのリバイバル語彙
    3 亡びる言語・亡びない言語 042
      「言語死」はどうしたら防げるか
      言語を選択する権利と言語復興
      ヘブライ語が復興を遂げた理由
      言語は「使われ続ける」ことこそがキモ
      日本語は消滅するのか?
      バイリンガルは滅びへの道 
    4 政策としての言語 052
      使う言語を選ぶ権利と、言語管理政策
      現存する「言語純化」
      日本に言語政策はあるのか
      公用語のない日本
      「英語を公用語にする」とどうなるか?
      英語教育早期化は吉か凶か
      高等教育が英語でないのは世界の非常識?
      国家戦略としての言語教育
    5 AI時代の言語学 065
      会話を支える知能と語用論
      「必要最小限」の規則体系
      易しい命令、難しい命令
      語用論と対話の妙味

    第2章 言語学をいかに役立てるか 075
    1 接触する言語とクリオール 077
      「英語転換」という劇的変化
      英語の利点
      英語の変容と技術革新
      言語接触の風景
      神戸市のニュータウンで起こった標準語化
      ピジンという混合言語
      すべての言語はクリオールだ
      日本語のルーツ
      近世中国における言語接触
      国内2言語態勢による統治
    2 語用論の使い方 097
      言語変化のコントロール
      正しさと望圭しさのせめぎ合い
      私たちの会話は「推論」で進む
      誤用でも通じさせる「合理性の原則」
      「伝えたい内容」を重視する語用論
      発達障害と言語学
      会話と交感機能
      心の理論と言語学
      なぜ異性のことを理解しにくいか
    3 男ことば女ことばとキャラクター 113
      ジェンダーとことばづかい
      女性は「僕」や「俺」を本当に使わないか
      ウェブ時代のジェンダーことば
      キャラクターとことばづかい
      役割語の誕生
    4 言語学はどこに向かうのか 124
      わかりやすさと専門用語
      「……的な」というカプセル表現
      人類学や進化学的視点からの言語学
      出生前からの言語習得という新地平

    第3章 近代言語学を読みなおす 133
    1 近代言語学の誕生 135
      インドにて
      近代言語学の誕生
      現実と象徵はずれている
      ことばの歴史をさかのぼる
      ことばのルーツが同じ?
      言語学の知識がずれていくとき
      「アーリア人」という民族は?
      言語学における「遺伝か環境か」
    2 ことばをタイプ別に区別していくために 149
      文法とは何か
      言語の関心が外に向けられるとき
      屈折のある言語、ない言語
      屈折語、膠着語、孤立語、「抱合語」でなく「複統合語」
      言語学の成立が逆投影するもの
      フンボルトは差別的だったのか
      主観としての美意識
    3 印欧語族という括りが成立するとき 162
      後戻りできない流れに向かうとは
      「古典語のトライアングル」の転換
      ポップによる比較言語的アプローチ
      シュライヒヤーによる比較言語学の基盤確立
      「アーリア」括りの変遷
      言語・民族・宗教を一緒くたに考えたミュラー
      過激な師のトンデモ説
      言語学的「アーリア人」から「アーリア民族」への変容
      言語学と戦争と福祉
      言語学の「記述的」態度と「規範的」態度
    4 言語の単一性と多様性 178
      バベルの塔と単一言語幻想
      グローバル化した日本の逆説
      言語は災厄のもとか、解決の手段か

    第4章 記述言語学の技法 185
    1 言語学は自然科学だ 186
      科学性の呪縛
      科学的な見方が「正否」を判断できるか?
      非文の存在と、理論言語学
      方法論の異なりをうまく利用する
      日本語文法研究にある込み入った事情
      言語学の科学性の弱点
      デジタルではなく連続体として見る
      正しく「違和感」の正体を見極める
      性差、年齢差、地域差を考慮した変異
    2 「正しい日本語」という呪縛 204
      語用論として情報を解釈する
      正解を求める心理と発想
      文法と論理を重ね合わせる背景
      明治における「標準語」維新
      単純化という葛藤
      押しつけのゆがみが噴き出すとき
      「正しい日本語」の追求は、マウンティングに過ぎない
      戦前からの「官製文迭への反発
    3 記述言語学の手法 221
      記述するとはどういうことか
      音声学の知識から音韻体系へ
      「が」の多様性
      テクスト化という難関
      言語学三点セットの位置づけ
    4 言語死とどう向き合うか 234
      滅びゆく言語とあいまいな誤解
      日本における危機言語
      言語死の回避と、記録収集と

    第5章 社会言語学から複雑系言語学へ 241
    1 言語学の表舞台とバックステージ 243
      主流であることの意味
      メジャー 言語、マイナー言語?
      研究の実を取るか、生活の現実を取るか
    2 ソシュールという里程標と亡霊 249
      「ソシュールはもうたくさん」なのか
      ソシュール著作の実像
      日本におけるソシュール観
      言語学の足場であり足かせでもあること
      シニフィアンとシニフィエ
      ソシュール批判の虚実
      つじつまが合わないまま放置できない
      不可逆性と単層性
      「構成性の原理」と経済合理性
    3 体系か混沌か 268
      「そこそこ」「ある程度」の体系性を認める
      社会言語学的な柔軟視点
      「もったいない」精神からの体系性?
      体系の科学性を疑ってみる
      「言語=体系」から出発する
    4 複雑系言語学という布石 278
      生成文法の手法
      「複雑・複合的・不透明・予測が困難」を前提に
      「言語学の非自律性」という旗幟
      言語共同体という設定
      解体するのか、更新するのか
      言語の「自己組織性」
      言語におけるバタフライ効果

    おわりに(2019年 厳冬の札幌にて 加藤重広) [292-296]
    参考文献 [i-vi]

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1396/K

  • 外国語の習得が楽しくなり、言語って何だろうと思い手に取った本です。普段勉強している内容とは全然違うので、全て理解しているわけでは無いです。だからもう一度、読み直しが必要かなと思います。
    教育が言葉の普及に関わっていたり、音声学の調査の難しさだったり、取り敢えず研究内容それ自体は難解ですが、結果とそれに付随するエピソードが楽しいです。

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著者プロフィール

1964年青森県生まれ。東京大学文学部言語学科卒業、同大学院博士課程修も文学博士。専門は言語学(統語論、語用論)。富山大学人文学部助教授などを経て、現在、北海道大学大学院文学研究科准教授。著書に『みんなの日本語教室』(三笠書房)、『日本語修飾構造の語用論的研究』(ひつじ書房、第22回新村出賞受賞)、『ことばの科学』(ひつじ書房)、『日本語学のしくみ』(研究社)、共著に『日本語を知るための51題』『言語学入門』(以上、研究社)などがある。

「2019年 『言語学講義 その起源と未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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