アフリカを見る アフリカから見る (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.62
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本棚登録 : 138
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480072429

作品紹介・あらすじ

もはやアフリカは哀れみの目で「援助」する対象ではない。アフリカ諸国の過去と現在をどうとらえ、日本はどうかかわっていくべきか。篠田秀朗氏との対談も収録。

感想・レビュー・書評

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  • アフリカが日本経済にとって重要というだけでなく、日本の国際な立ち位置を考えた場合にも非常に重要だということが、本書を読んでよくわかった。日本の外交は、①日米同盟を基軸とした米国追従外交、②対中国・韓国・東南アジア外交、③国連を中心とした多国間外交の三本柱だが、アジアには日本が参画している地域機構がない。したがって、日米同盟以外に頼れる外交手段は国連のみ。そして「国連を中心とする国際機関が主戦場とし、それぞれがその存在価値を認められようとしている場所がアフリカ」なので、国連外交=対アフリカ外交、ということになる。

    遠い西のはての未開の地、というアフリカのイメージはそろそろ払拭しないといけないな!

    ショックだったのは、アフリカでの中国の評判がことのほかいいこと。てっきり、金は落とすが覇権主義剥き出しで自国に強引に利益誘導する中国は(内心では)嫌われている、と思っていたが、大半のアフリカ人が実は肯定的に評価いているとのこと(中国の評価が低い項目は、雇用や資源の収奪ではなく「安いが壊れやすい中国製品」に対してなのだという)。

    アフリカにおける集団暴力の発生が、日本をはじめとする先進国でも起こり得る(現に起こりつつある)一般的な現象である、というのも興味深い。「そもそも人間には、集団になると一人の時よりも極端な意見を口にしたり、極端な行動に走ったりする習性」=「集団極性化」が備わっており、「アフリカで市民参画型の集団暴力が発生する際には、人々が「民族」を単位に凝集するケースが多」く、「民族という同質性の高い集団の中に、他の民族に対する暴力を扇動する声の大きな人物が現れると、そこに集団極性化の原理が働き、普段は穏健な人の中から集団暴力への参加者が出てくる」のだという。

    「謎の国家ソマリランド」でアフリカをミクロの視点で見た後、本書でアフリカを俯瞰的に見たので、理解が深まった気がする。我ながらナイスチョイス!

  • アフリカ、特にサブサハラ地域では、今後の人口増加に伴い経済の著しい成長が期待されています。2019年8月には横浜でTICAD7が開催され、日本政府や企業がアフリカでの存在感を拡大しようと、政治や経済のみならず文化面での交流の促進も図られていました。

    かつて日本はアフリカへの援助で秀でていたのですが、現在では、アフリカへの直接投資において、欧米諸国は言うまでもなく、中国、シンガポール、香港やインドといったアジア諸国の後塵を拝し、実業界のアフリカへの投資への意欲も強いとは言い難い現状を、著者は日本企業経営層の内向きでリスクを回避する傾向が一因と分析しています。

    一方、アフリカでは民主化の定着と経済発展により、エチオピアのGDPは1998年から2017年の20年間で10倍へと躍進。またサブサハラ地域と中国との貿易額は、輸出入ともに11-12倍へと膨らんだと言います。日本の経済が停滞していた平成の間に、アフリカ地域は発展を遂げ、新たな国際関係を構築していることを著者は指摘します。

    また、日本は貿易のみならず、政治の分野でもアフリカへの影響力を失っている状況に陥っているといいます。日本の安保理常任理事国入りが、中国のジンバブエの取り込みにより阻止された経緯は、この本を読んで初めて知りました。

    中国の一帯一路政策と米国のインド太平洋戦略がせめぎあう状況で、ジブチやソマリアといった東アフリカ地域において日本が存在感を確保することが肝要と、後半の対談で語られています。アフリカはもはや辺境の地などではなく、グローバル政治経済の枠組みの中での重要性がとみに増していることを、本書は良く示してくれています。

  • アフリカについての知識がアップデートされた。
    日本語だけではどうしても偏って報道されることがあり、様々な言葉で情報を得ることも大切だと認識した。

  • 最近読んだ本の中で一番面白かった。
    最後の対談の「選択」と「集中」はアフリカへ進出のキーワードとなりうるし、自分の仕事にも生かせるキーワードであった。

    ・ケニアにおけるキャッシュレス決済の普及
    ・ケニアの携帯普及率は2017年に92%
    ・アビー首相
    ・エチオピア⇔エリトリア
    ・無意識のうちにアフリカを「常に援助し、啓蒙する対象」として捉えている
    ・コートジボワール、「イボワリテ民族主義」、愛国主義・排外主義
    ・集団極性化
    ・アフリカの国々は植民地時代に宗主国によって設定された境界線を引き継ぐ形で独立したため、国内に多数の民族が暮らしている
    ・そのため、「民族」を単位に凝集するケースが多い
    ・アフリカのチェゲバラ、トマサンカラ
    ・中国はアフリカで本当に嫌われているのか?
    ・北朝鮮は本当に孤立しているのか?
    ・ケニアのモバイルマネーサービス利用率は全人口の64%、2017年
    ・もともと存在した現地諸語に英語を公用語として加えた言語は環境は、裕福層と、その他大多数との格差を広げる可能性がある。
    ・タンザニアは内戦を経験していないがウガンダとの紛争は有り
    ・ボコハラム
    ・エチオピアは中国と政治的に仲が良い
    ・アフリカ侮辱論者とアフリカ礼賛論者、自分もどちらにもなるべきではない

  • 今までアフリカの知識が全く、入門書として読んだ。
    現在の日本や中国とアフリカ諸国との関係が分かった。アフリカへの進出は中国よりもかなり遅れていて、もう対等になるのさえ難しい。それは日本人の今までのアフリカへの関心の低さと政府の無能さが関与している。

  • 著者が思うアフリカの現状と未来について色々綴ってくれている。
    アフリカの巨大なポテンシャルに対し、日本の動きがあまりに鈍く、ガラパゴス的でこれでいいのか?といったメッセージがじわじわと伝わってきた。

    さて、視野を日本周辺から”世界”全体に広げて知識や情報を吸収しつつ、物事を考えていく時代に突入しているんだなと感じた一方、ネックは語学(英語)...、挫折したらそれで終了なので、もっと英語を頑張らなければとひしひし思いました。

  • ジャーナリストであり、アフリカの専門家でもある著者による、アフリカの話。アフリカでの出来事やアフリカ諸国の事情、考え方についての記述は精緻で、参考になった。日本のPKOの取り組みに対する指摘もそのとおりだと思う。
    ただし、アフリカの状況についての記述は素晴らしいものの、著者の意見はあまりに視点が低く、全体が見えていないと思う。国際政治と経済の知識に欠けており、世界の動きのメカニズムと現在の覇権争い、資本主義を中心とした市場主義の中で、各国あるいは企業を含めた組織が何を考え動いているかを理解していない。日本政府に対する批判も、狭視的で参考になできない点が多く残念。日本もアフリカばかりを見ているわけではなく、限られた予算とマンパワーをどこに向けるのか、プライオリティ付けをしているわけで、国内政治を含め検討した結果が現状ということだ。実際、不安定なアフリカは経済発展をしても、そのことがより不安定さを増すため、リスクが大きいと考えるのが自然であろう。
    「(アフリカの人口爆発)アフリカはまさに史上空前の「人口爆発」と形容するほかない。人口が爆発するサブサハラ・アフリカは、食料、若者の雇用機会、エネルギー、土地や水資源などの環境への負荷など様々な課題に直面するだろう。とりわけ対策が急がれるのが、人口爆発によって増え続ける胃袋を満たすための農業改革である」p17
    「(紛争の現実や国連の基準から遠くかけ離れた日本の自衛隊派遣・運用基準)紛争地の現実に正面から向き合おうとしない点では、野党のリベラル・左派勢力も変わらず、政権批判ばかりして理想を並べ立てるという点では、政権よりもその病は重いかもしれない」p159
    「世界の他の地域と比べると、アフリカに対する日本人の関心がものすごく低い」p173
    「(日中GDP差3倍)中国は、カップラーメンだけ持たせて飛行機借り切るような感じで人をアフリカに送っちゃったりする。一方で、日本だと相当に面倒な手間をかけている。そうなるとアフリカに入ってくるお金と人間の量が違って、それはGDPの3倍ではきかないほどのプレゼンスなので、申し訳ない話ですが、アフリカで中国と張り合おうというのは、現実感覚としては対等にはいかないですよ」p185
    「(国連PKO活動)マリや中央アフリカ共和国のほうがハードです。中国人はそういう場所で殉職しています。マリは南スーダンとは違って、アルカイダ系やIS系といったテロ組織もいるわけだから。中国人はちゃんとマリのMINUSMAを支えていますよ。ところが日本は、南スーダンがあまりにも激しすぎて、怖くなって逃げてきましたというのはやはり。」p201
    「日本の場合は、憲法9条など余計なことを考えているだけ。一方で中国人は、アフリカに戦略的な利益を見出して、それを国家政策の最も大きな看板にして、体系性のある形で進んできているという印象があります」p213

  • ★アフリカ好きなんだが★2100年には人口上位10か国の半数がアフリカの国(ナイジェリア、コンゴ民主共和国、タンザニア、エチオピア、ウガンダ)になるという予想は全く知らなかった。たかだか80年後に全く違う地勢が待っている。ただアフリカの日本にとっての重要性はなかなかぴんと来ない。経済発展はしているし、固定電話を通り越して携帯電話が一気に普及するなど新しいビジネスが生まれていることは理解できても、経済規模からしても日本からはやはり遠い。著者が力を込めれば込めるほど、「アフリカ専門だからでしょ」となってしまう。

     そのあたりを結果として冷徹に示すのが、アフリカ専門ではない篠田英朗氏が著者との対談だ。日本がアフリカとかかわる有効性について、遠いアフリカだからこそ中国や韓国と一緒に援助することで仲良くなれる、といった内容を述べる。本書の趣旨からするとなんとも皮肉だ。いっそのこと、アフリカ「から」見るに特化した方が読みごたえがあったのではないか。

  • アフリカに関する様々なトピックを扱った本で、アフリカと日本の関係に関するものが多くて参考になる。個人としては、広大なアフリカを一括りにして論じてしまうのは安易な発想であると思っているが、本書はタイトルに「アフリカ」が入っているものの論じられている内容は各国ベースなので、現実に沿っていると感じた。アフリカ各国の現状を知る入門書として良いと思う。日本には日本語でアフリカの実情を伝えるメディアは少なく、いかにアフリカは日本人にとって地理的にも精神的にもリモートな地域であるか実感する。
    気になったトピックは以下の通り。
    ・サブサハラでの人口爆発とその食料・飲料水の確保の切迫さ。農業の非効率性。2050年には40億人がサブサハラに。
    ・人口増加による世界に対するるレゼンス向上に加え、国連加盟国の約4分の1議席を占めている現状を鑑みれば、アフリカの重要性がわかる。
    ・しかし、アフリカ人にとっても日本はリモートな国。旧宗主国・中国・インドのプレゼンスは高い。フランス600億ドル、アメリカ500億、中国400億(2000年代から台頭)の投資に対し、日本からは90億。ODAを頑張ってきた背景はあるものの、今や日本の援助は無くても事足りる状況。
    ・エチオピアは注目国。CAGR7%。資源依存ではなく、工業国として発展してきた経緯にあるから。人口も1億人突破。2018年に最年少首相となったアビー首相の活躍。隣国エリトリアとの和平を進め、海へのアクセス獲得
    ・アフリカ・スキーマ。先進国の一般の人に蔓延しているアフリカ観。民族間による政治対立軍事対立が多い、未開で野蛮な文化、未熟な政治体制社会基盤。
    ・中国の影響力。一帯一路構想の終着点。アフリカ東端のジブチに軍事基地。インド洋へのアクセス上重要な交通の要衝。日本の常任理事国入りを目指した際も、日本の水面化交渉によってAUの代表までは押さえたが、中国の影響を受けたアフリカ各国(特にジンバブエ・ムガベ大統領)によって阻止された。
    。ナイジェリアのテロ。女性子供を使った自爆テロ。幼い子供のリュックに爆薬を入れ、周囲の警戒心を解いての自爆。
    ・南アでのXenophobia。Moz、ジンバブエなどの周辺国労働者が南アに流入(特にマンデラのアパルトヘイト解放以降)。南ア黒人最底辺層の仕事が奪われる事態になり、外国人労働者(黒人)への襲撃が始まった
    ・アフリカ人を日本に留学生として三年間で1000人招く政策を行なっている。しかし、その後の就職先がなく帰国してしまう。
    →日本の企業はアフリカに限らず、優秀な留学生の登用を進めるべき。日本企業の海外戦略において重要な役割を発揮するはず。

  • 面白かったけど、
    著者の意向が強すぎる

    学術書ではないかな

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著者プロフィール

2021年3月現在
立命館大学国際関係学部教授(アフリカ地域研究,国際ジャーナリズム論)

「2021年 『プライマリー国際関係学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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