痴漢外来 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480072566

作品紹介・あらすじ

痴漢は犯罪だが、同時にその一部は「性的依存症」という病でもある。痴漢治療の専門家が臨床経験をもとに語る、「処罰だけでなく治療を」というパラダイム転換。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルは「痴漢外来」だが、痴漢を含む様々な性犯罪・性的依存症について、様々な角度から言及しており、大変参考になった。

  • 性犯罪を繰り返す者は性的依存症の可能性があり、従来は刑罰を受けて社会に復帰をしていた。
    しかし、依存症ならば治療が必要である。性犯罪を刑罰で更生させるのが難しいというエビデンスがあるらしい。
    新たな犯罪を減らすため、性的依存症の理解が広がることを願う。

  • とにかく加害者被害者ともに壮絶な体験をしている。それらを知ることが出発点だろう。

    以下メモ
    性犯罪の再犯率は5%。しかし痴漢や盗撮の再犯率は30~50%ほどある。厳罰化は再犯率を増加させるというエビデンスもある。(適正化は必要だか)
    DSM5にもICD10にも疾患(パラフィリア障害群)として分類されている。(ICD11では「強迫的性行動症」が新たに追加)

    性犯罪のリスクファクターはその他の犯罪と基本的に変わらない。(反社会的な行動歴、交友、態度信念、パーソナリティ。教育や仕事上の問題、家族葛藤、物質使用、不適切な余暇活用。)

    犯罪者治療には「RNR原則」というものがある。リスク原則は、リスクに逢わせて治療強度を変えるという原則(低リスク者に強い治療をすると再犯リスクがあがる)。

    性的依存症の難しいところは他の依存症と違って被害者が生じること。だからリラプス(再発を意味する)をなんとしても避けねばならない。
    思考ストップ法などコーピングを学習する。

    性的強迫症者の自助グループもある。SCAという。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000260406

  • 依存症の中でも性的問題行動の治療に関わる著者。痴漢(全てではないが)を依存症の観点から見ること自体、新しい知識だった。
    読んでいくと、加害者の治療・再犯の予防が必要と著者が強く訴えることに納得できる。治療と聞き、加害者を守るのかと反感を感じた人ほど本書を読んで欲しい。新しい被害や再被害を防ぐ視点が社会に広まって欲しいと思う。

    また、専門家の性犯罪再犯リスクのアセスメント的中が50%と言う話から「高い金を払って専門家を雇うくらいならば、ワールドカップのときに予想を次々と的中させたタコでも飼っておいたほうがよいだろう」に笑った。
    批判的な一般人の意見はまだしも、経験則や感情のみで動く自称ベテラン専門家の存在が、支援や治療の邪魔になるのかもしれない。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/744684

  • 痴漢を処罰するだけではなくて、性的依存症の治療をする。それが、被害者をうまないことに繋がる。確かに其の通りだと思った。こういう活動が広がっていくといいな。

  • 新しい世界を覗いたような感覚でした。
    犯罪心理学の中でも、
    性犯罪は特に難しい分野なのですね。

    科学的に、倫理的に、そして人情を捨てずに、
    ひととかかわっていきたいとおもいました。

    全ての人が出来るだけよりよく生きるための指南書としても、良いと思います。

  • 加害者の治療をもっと真剣に行っていくべきだと思う。それは加害者を守っているわけではなく、結果的に性犯罪被害を無くすことにつながる。
    性犯罪だけではなく、加害者が生まれないように、再犯しないように、治療を行うことが重要



    *性犯罪者のリスクファクター
    ①反社会的行動歴、②反社会的交友、③反社会的態度・信念、④反社会的パーソナリティ、⑤教育・仕事上の問題、⑥家族葛藤、⑦物質使用、⑧不適切な余暇活用

    *犯罪者治療の三原則RNR原則
    リスク原則、ニーズ原則、治療反応性原則

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著者プロフィール

筑波大学人間系教授

「2023年 『現代の臨床心理学1 臨床心理学 専門職の基盤』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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