精神科医が教える聴く技術 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 193
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480072757

作品紹介・あらすじ

人の話を聴くことは難しい。精神科医であり、多くのカウンセラーを育てた著者が教える「聴く技術」。四つのステップに分けて、事例と共にわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章の概要説明からはじまり、カウンセリングにおける「聴く技術」を「1.黙って聴く」「2.賛成して聴く」「3.感情を聴く」「4.葛藤を聴く」の4つのステップに分けたうえで、それぞれのポイントについて解説しています。各章ではステップに応じて、カウンセラーとクライアントの会話のサンプルを例示し、新人カウンセラーのありがちな間違いや、適切に聴くことによるクライアントの変化を伝えます。そして私が読んだ限り、カウンセリングにおける「聴く技術」が目指すのは、クライアントの凝り固まっている深いレベルの感情を引き出すことで精神的な枠組みの再編を促すことによって、悩みから解放されることにあります。

    本書でとくに重要だと思えたのは、聴くことを通して感情を引き出すという点です。著者は再三、カウンセリングでは理性よりも感情を優先することを強調しており、深いレベルで強い力をもつ感情に働きかけることで「感情→言葉→理性」の順で変化をもたらすとしています。つまり理性は人間にとって、どちらかと言えば表層的なものであり、個人の本質的な変化が必要な場合、理性のみに訴えかけても叶えられないということです。社会生活では、もっぱら必要とされるのは理性であり、感情はないがしろにされるケースは少なくありません。しかし感情に蓋をして長く放置してしまうと深いレベルでは歪みが蓄積されつづけ、いずれは大地震のように問題が一気に表面化してしまう危険性を抱えることになります。

    結びの第六章では、ここまでを踏まえて「聴く技術」とは「心を知る技術」のことであると結論づけます。そして「心を知る技術」は自分自身に向けても適用することができるとしています。目的が文字通り「精神科医の聴く技術」でしかなければ、対象はカウンセラー志望者などの一部に限定されてしまいますが、自らの精神を安定させることも「聴く技術=心を知る技術」の対象である限り、本書は全ての人に向けられています。理性偏重で、感情とそれを解放するような工夫が軽視され、忘れられやすい現代において、感情と向き合うことの大切さを説き、再考を促す有用な著書です。

  • この本に出会えてよかった。
    読む前と読んだ後で、確実に見える世界が変わる。

    これまで河合隼雄先生の本を読んでもわからなかったカウンセリングの核心部分が、ロジカルに解明されているのが、本書の大きな魅力です。
    これまでコーチングやファシリテーション、コミュニケーションや心理学の本は数多く読んできたつもりですが、そのどれとも違う極意が書かれています。

    「聴く技術」を4つのステップに分けて考え、「感情の流れ6段階」とこれに併走する「葛藤の3段階」が解説されている点が素晴らしい。
    仕事で人の話を聞く機会が多いのですが、感情の流れを知ることにより、もっとゆとりを持った傾聴ができるような気がします。

    また、私自身、理想の自分と現実の自分のギャップに苦しむことがよくあるが、感情のメタ認知が進み、生きづらい時代に新しい海図を手にしたような清々しさ。

    平板なコミュニケーションに、時間軸という新たな次元を得た感じ。より豊かなコミュニケーションの道が開けた、そんな印象です。

  • ◎聴いてもらうと楽になるのは自分を支えてもらうから
    ◎ただ黙って聞く聞いてもらうと安心する。
     助言しない、口を挟まない、質問しない。
    ◎応援してではなく賛成して聴く。
     人生の悩み四種
     1. 人が怖い 不安緊張を感じる
     2.自分を責めてしまう 自責と抑鬱
     3.人とうまく付き合えない 対人関係ギクシャク
     4.死ぬのが怖い
    ◎感情を聴く 
     感情の階層 不安-抑圧-怒り−恐怖-悲しみ−喜び
    ◎葛藤を聴く
     葛藤を話尽くすとトリックスターが現れる
    ◎自分のこころを聴く
     自分を聴いて自己理解すると、自己受容されて悩みが      消える。

  • 人の話を聴く時に全く口を挟んじゃだめ!っていう新鮮な教え。でも納得できた。人の悩みは理想と感情とのギャプによってもたらされまず自分を責める。次に理想や規範のほうがおかしいと不満や怒りをもつ、次にその葛藤を自分を再度組織化することで解決する。

  • 自分自身に聴く技術を実践したいと思えた。
    本を通して、自分の感情を聴けていないなと感じた。
    なぜ、自分自身が悩んでいるのか自分自身でも理解できていないと感じた。
    その悩みが、どの分類に当てはまるのか(主に自責感と抑うつと思われる)を認識する事で、葛藤と対峙出来るのかなと感じた。
    もっと、自分の事を好きになりたいと思っていたが大体の人は自分の決めたルールを守れない自分が嫌いというのを知れて、自分に対してもっと気楽でも良いのかなと思えた。
    自分に対して賛成してあげることが必要なんだと感じた。
    まずは、聴く自分を内に作ってみようと思う。

  • まとまりが良くて読みやすい。
    心は深めるととても論理的なんだな。
    子どもにも。「今日、学校どうだった」とだけ聞いて、後は黙って待っている。10分20分でいいから、口を挟まず黙って話を聴く。

    瞑想とかコーチングの本でも見たような内容もあったけどより分かりやすかった。

  • 聴く立場、聴いてもらう立場、どちらの立場に立って読むかで得るものは違うと思う。自分のモヤモヤを分析することにも役に立つし、友人関係(人の話を聞けない人は人間関係がうまくいかない)にも有効だと思った。悩みの種類、深いところにある感情、言葉にする前の段階の感情を感じ取る。今の自分なら体感として理解できる。自分で自分の声を聴く、自分相手にカウンセリングできるようになりたいと思っていた矢先に出会った本なので、とてもタイムリーだった。

  • 資料番号 : 00016945
    請求記号 : 146.8||TAK
    配架場所 : 文庫/新書コーナー
    NCID : BB29325733

  • 人の心に近付くほどに深く「聴く」技術やその考えを書いている本書。
    ポイントは

    1.黙って聴く
    2.賛成して聴く
      ・賛成できないときは悩みを4つに分ける(『人が怖い』『自分を責める』『人とうまく付き合えない』『死ぬのが怖い』)
      ・応援ではなく賛成
    3. 感情を聴く
      ・感情の階層(不安ー抑うつー怒りー恐怖ー悲しみー喜び)のどの段階かみる
    4.葛藤を聴く
      ・葛藤とは「そうすべき」と「こうしたい」の対立

    しかし本書に出てくる例は中々に壮絶で、容易にできるとは思えない。

    いいなと思った覚書

    ・イヤイヤ期は生まれて初めての自己主張。拒絶も選択できるとわかったうえでの、主体的な選択ができるようになる。

    ・言葉には相反する2つが同時に含まれている

    ・黙って聴くには「支持、承認の口を挟まない」「復唱・繰り返し・要約しない」「明確化しない」「要点を指摘しない」

    ・聴き手が口を挟むと話し手が聴き手に影響される

    ・恐怖の段階に入ると、生き方を変えようとする。それはさながら命綱を放すようなもの。しかし足元に谷はない

    ・子供には「今日、どうだった?」とだけ聴く。返事がなくてもよい。それが認めるという事。子供の心は変化しやすい

    ・話す内容に賛成も反対もしない。ただ辛そうな気持ちを聴いたよ。と合いの手を入れる

    ・怒りは葛藤の『規範』を破壊する力。

    ・葛藤には「抑うつと不安」「怒りの表出」「悲しみと諦め」ステージがある。特に悲しみと諦めでは葛藤が崩壊し、規範と願望の両側を語りつくし、よくわからなくなる。そうすると、ま、いっかとなる

  • 基本心理士や精神科医がカウンセリングで用いる手法として、聴く技術について書かれている。
    内容が濃いため、すぐに頭に入れたり活用したりは難しいかなと感じたが、大事だな、やってみたいなと思える内容ばかりで、付箋だらけになってしまった。
    時間をかけて再読したい。

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著者プロフィール

1931年生まれ。1971年に39歳で早逝。短期間に膨大な名作を遺した天才的小説家。中国文学者。『悲の器』で第1回文藝賞受賞。著書に『憂鬱なる党派』『邪宗門』『日本の悪霊』『わが解体』ほか多数。

「2017年 『我が心は石にあらず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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