国語教育 混迷する改革 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 110
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480072801

作品紹介・あらすじ

実用文と複数資料を扱う「大学入学共通テスト」の構造的欠陥とは。論理と文学を切り分けた「新学習指導要領」の行方は。歪められつつある国語教育の未来形を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 共感できる所、納得できる所はあった。しかし「まあ、うん」といった感想。

  • 「センター試験」から「大学入学共通テスト」へ「改革」された際の混乱は記憶に新しい。結局行われなかったけど、国語や数学の記述式問題の導入や、英語民間試験の利用など。なんであんなことが強行されようとしていたのか。本書では「大学入学共通テスト」の国語プレ試験問題から分かる問題点や、国語教育における「学習指導要領」改訂とその「解説本」をじっくりと読み解くことで、それらを推し進めようとしている人々の考え方や背景に警鐘を鳴らしている。問題は大学入試には留まらないようだ。
    国語や言語は人間の思考にとって大事だとは思うし、「共通テスト」の問題点や学習指導要領の改訂などの問題点は、仰る通りだと感じはする。国語の授業に「コミュニケーション能力」のようなものを要求しているようで、そんなのは他の活動で要求すれば良いようにも思う。いずれにせよ授業にそんなに価値を見出すとは思えない現場の生徒たちは適当に対応するようにも思う。
    個人的にはそんなことより、本書の最後に展開されていた社会の「学校化」という話題にいたく感銘を受けた。学校というシステムが全て、その頂点に立った人々が社会も支配する、その社会も学校のように構築され、評価され点数を稼ぐことが全てになっていく、その完成過程が今なされれいる教育「改革」に反映されている、と言うことだろうか。
    学校は資本主義・産業社会で必要とされる基礎知識を(無理やり)国民に授けるためのものだったはずだが、現在はその手段の目的化が明らかに進行している。我慢して「学校」を終えてようやく社会に出ても、待っているのは再び「学校化」された社会。自分の職場で進行する「改革」もその観点から見るとまさしく「学校化」。あな恐ろしや。

  • 主張はわかるが説得力に欠ける?

  • 【一言感想】
    無駄な記述が多いので読みにくいが、教師・講師には使える本。延長になっても、新しい形式は(改革は)何度でも蘇りそうなので。次回は、政治における、教育改革を切望する原動力を分析してほしい。

    【版元】
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体880円+税
    Cコード:0237
    整理番号:1468
    刊行日: 2020/01/06
    判型:新書判
    ページ数:288
    ISBN:978-4-480-07280-1
    JANコード:9784480072801

    新学習指導要領の告示から約二年経ち“戦後最大の改革”の中身がようやく見えてきた。「論理」と「文学」を切り分けると何が起きるか。今後の高校教育の方向性を示す「大学入学共通テスト」が扱う「実用文」「複数資料」の持つ構造的欠陥とは。この間に刊行された指導要領の解説本や、共通テストの試行調査から読み解く。好評既刊『国語教育の危機』の続編。歪められつつある国語教育の未来形を探る。
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480072801/

    【簡易目次】
    第1章 記述式試験の長所はどこに―プレテスト第1問の分析
    第2章 複数の資料が泣いている―プレテスト第2問の分析
    第3章 教室の「敵」はどこにいる?―「学習指導要領」の逆襲
    第4章 「現代の国語」と「言語文化」―高校一年生は何を学ぶのか
    第5章 選択科目のゆくえ―間延びしたグランドデザイン
    第6章 国語教育の原点に立ちかえる―ことばの教育へ

  • 読破後の感想だが、文部科学省は果たして必要な機関なのか.無くても良いのではないかと感じた.教育を間違った方向に進めようとする意図はどこから来ているのか.時の政府に対する忖度なのか、疑問に思った.教育を受ける側のことを配慮していない気がする.

  •  次の時代の高校国語に欠けているものは、結局、「豊かさ」や「深さ」なのだと気づかされた。
     ということは、それを補っていくことが、「現場」の仕事ということになる。

  • 現代文講師は必読

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1468/K

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著者プロフィール

1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。日本大学文理学部特任教授。専攻は日本近代文学。著書に『書物の近代』(ちくま学芸文庫、1999)、『投機としての文学』(新曜社、2003)、『検閲と文学』(河出ブックス、2009)、『物語岩波書店百年史1 「教養」の誕生』(岩波書店、2013)、『国語教育の危機 大学入学共通テストと新学習指導要領』(ちくま新書、2018)、『国語教育 混迷する改革』(ちくま新書、2020)など。

「2022年 『職業としての大学人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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