ルポ 入管 ――絶望の外国人収容施設 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 149
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073464

作品紹介・あらすじ

「お前らを日本から追い出すために入管(ここ)があるんだ」。密室で繰り広げられる暴行、監禁、医療放置――。巨大化する国家組織の知られざる実態。

感想・レビュー・書評

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  • ウィシュマさんがなぜ亡くなったのか、どうして収容中も亡くなられた後も。こんなに非人道的な対応しか入管も政府(法務省?)もできないのか、入管の職員の人たちは、きっと日常は「ふつうの人」だろうに、どうして聞くだけでもあまりにも辛い、むごすぎる言動・行動をとってしまうのか、とれてしまうのだろうということが、どうしてもわからずに、何かわかるかもしれないと思い、手にした1冊。

    ウィシュマさんが特別なのではなく、氷山の一角。今も入管で現在進行形で日常茶飯事的に苦しんでいる人、困っている人、絶望している人がいる可能性がとても高い、いやほぼ確実であることがわかった。

    窓もない、自由時間も、することもほぼない…。ただ、収容されているだけ。支援者や家族などとの面会も限定的。こんな環境・状況は、どう考えたって人道に反することは誰だってわかるはず。このコロナ禍で、ほぼ職場と自宅の往復。その途中、本屋さんや静かなカフェには行くことができている。そんな私でさえ、ものすごく疲弊しているのに、それ以上の環境で、いつまで収容されているのかもわからない。病気になっても適切な治療が受けられない可能性大、家族とも会えない。って、どれだけストレスフルなことだろうと思う。

    日本に足りないのは、「尊厳」。

    「日英の違いは、職員が収容者と対等の関係を築こうとしているかどうかです。日本ははっきり言えば、尊厳を奪うために収容していて、屈辱を与え圧力をかけることで日本から追い出そうとしているのだから英国と対極にあります。」(P.254)

    この一文が入管のすべてであり、入管の問題の本質だと思った。

    どうしたらウィシュマさんの事件を2度と起こさないようにできるのか…。技能実習生の制度の問題、難民認定率の低さの問題…本当にいろいろなものが絡まり合っているようで、途方に暮れてしまう。まずは、「知ること」だって大事だと言い聞かせて読み終えた。

  • 入管の人権意識の低さ、と言うか人権意識の無さに愕然とする。これはやはり入管だけではなく日本全体の人権意識の低さなのだろう。完全に世界標準から取り残されている。このままの状況で放置してはいけない問題。

  • TBSラジオの『荻上チキ・Session-22』
    (現『Session』)で入管によって人権を無視されたような対応されてる人たちがいることを知り興味があったので読んでみた。そしてこの本でわかるのは、あまりにも辛い状態で過ごしている人がいまの日本にたくさんいるということ。
    これ以上は罵詈雑言になりそうなのでここまでとします。

  • ひどいエピソードのオンパレード。もっと知られるべき

  • 入管のひどさが内部から知ることができた気持ちになった

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/538074

  • ルポ 入管
    ~絶望の外国人収容施設

    著者:平野雄吾(共同通信記者)
    発行:2020年10月10日
    ちくま新書

    入管職員が外国人を無理やり押さえつけて怪我を負わせ訴訟になったというニュースを耳にするが、残念なことにこの本を読むとそんなのは序の口と言わざるを得ないことが分かる。死亡したケースもあるが、入管側が問題なしとするだけであり、被害者遺族は訴訟や刑事告訴をするすべすら知らない。それと、他の先進国ではありえないような、まるで刑務所みたいな収容施設に長期間閉じ込め、家族と引き離し、時に拷問に近いようなことをして精神的に追い詰めていく。帰国すれば政治的な迫害を受けて殺される、日本に居れば入管の施設で地獄の生活。多くがうつに苦しみ、中には自死する人も。

    無辜の民に「お前がやったと言ってしまえ、そしたら出してやる」という冤罪を生み出している取調のように、はやく強制送還に応じろ、今なら家族と一緒に帰れるぞ、と。

    一番の問題は、そうした実態があっても問題視して声を上げる人が少ないという点。NPOや弁護士ぐらい。冤罪や警察、検察の取調問題なら、いつ自分もそうなるかと心配するが、日本人にとって所詮、入管での出来事は自分の身には降りかからない他人事にすぎない。ぜひ、この手の本を読んで実態を知り、かつ、自らの心に潜む排外主義的要素を見つめ直してほしい。そんな感想を持てた。

    共同通信が報じた記事をまとめた一冊。

    日本は1981年に難民条約に加入したが、近年の難民認定率は1%未満。クルド人に至ってはこれまで1人も認定していない。

    2011年8月、入管施設の東日本センターで、職員が中国人男性に「外国人をいじめるのが楽しい」と暴言を発したことが報じられた。長崎県の大村入国管理センターでは「ボケ」「あほんだら」も。
    待遇改善を訴えたなら「お前らを追い出すためにここがあるんだ」。

    2017年あたりから収容施設への入口を広げ、出口を狭めた。出口とは、仮放免許可が中心。無期限の長期収容で精神的に追い込み、送還への自発的な同意を迫る方法に切り替えた。

    入管施設で体調不良の訴えがあると、病院へ連れて行くかどうか職員が判断する「容体観察」を行う。監視カメラ付きの部屋へ移して医療に素人の職員が見るのだという。苦しみもがいていてもほったらかし、間一髪で緊急手術により一命を取り留めた人、死んでしまった人もいるが、「入管側には問題なし」で済ませてしまう。

    2018年6月、大阪入管で最大6人用の居室に17人がいた。自由時間が終了しても自室に帰らず議論をしていたので、職員が施錠して、結局24時間閉じ込められた。電気が遮断されてエアコンなし、ドア前には畳が積み上げられて無理やり開けられないようにもした。立ったままで過ごした人もいた。

    東日本センターのシャワー室には約90台の個室シャワーがあるが、夏場は午前中、冷水しか出なかったが、山本太郎参議院議員(当時)の要望を機に、2018年夏から温水利用が可能に。

    非正規滞在の親に連れられて幼少期に来日したり、日本で生まれ育ったりした子供たちが最も気の毒。日本語しか話せないし、生活も日本でしてきた、帰れと言われても生活できるわけがない。子供の権利を保障する条約を批准するため在留資格がなくても高校までは通えるが、就労資格がないので就職できず進路が決められない。

    バブルの頃に日本は人手不足解消のため、不法就労を容認してきた。観光目的と称して入国して働くことが分かっている相手にも審査が甘かった。ところが、90年代になって経済が厳しくなると一転して追い返そうとしはじめた。その間に日本で生まれ育った子供たちは悲惨な思いをすることになる。

    石原慎太郎(都知事)は、警察や法務省と組んで1999年から「不法滞在半減計画」を立てて、実行した。しかし、その実態はインチキだった。日本人との結婚をはじめ日本社会に定着した外国人の在留を特別に許可する「在留特別許可(在特)」がある。2004年~2008年に在特を得た人数は4万9343人。半減した不法残留者のうち約半分は非正規滞在者の正規化で対応したにすぎなかった。在特の判断基準を極端に甘くした「スーパー在特」と内部で呼ぶケースも。

    2019年の訪日外国人は3188万2100人、在留外国人は282万9416人で過去最高。

    2018年の難民認定率。カナダ:56.42%。日本:0.25%。日本は条約を批准しているのに実質的に難民申請しても認めてくれない。

    イギリスの入管施設では、収容者が自由にインターネットや電子メールを利用できる。外部との連絡も可能、無料の英会話教室、美術教室、ジム、音楽スタジオ、トレーニングマシーン、ギター、ドラム・・・「正門から出る以外はできるだけ自由を保障する」

    入管施設の原点は1946年に佐世保市に出来た不法入国者の収容所。敗戦後に朝鮮半島に帰る在日朝鮮人が多数いたが、1946年に朝鮮半島情勢が悪化し、帰る人が減り、逆に密入国で戻ってくる朝鮮人が続出した。それを送り返すため。

    フランス革命に影響を受けたプロイセンの哲学者イマヌエル・カントは、「公開性なしにはいかなる正義もあり得ないし、いかなる法もなくなるからだ」と主張。

  • 現在進行中の問題です。

  • こんな施設が日本にあるんだね。そこで働く日本人が非情で悲しくなる。良い人もいるといいな。なんとか力になりたいな。

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