- Amazon.co.jp ・本 (555ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480074027
作品紹介・あらすじ
憲法9条をどのように使うことが、私たちにとって必要なのか。日米同盟と9条をめぐる「せめぎあい」の歴史をたどり、ゼロから問いなおす。著者、さいごの戦後論。
感想・レビュー・書評
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これがきっかけで、西春彦、都留重人を読んだ
森嶋通夫も読んでみたい
沖縄に国連本部を持ってきたらいい -
憲法9条。戦後から現在まで、様々な議論がなされてきた。改憲派、護憲派に片寄らず9条をめぐる戦後史を丹念に掘り起こした加藤典洋氏の最後の提言。
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著者は対米従属や復古的改憲論に批判的だが、丸山眞男に代表される昔ながらの護憲論にも同調しない。むしろ著者は、これら護憲論者は、9条と平和主義の「正しさ」を絶対視する前提から離れられないとして批判する。
一方、坂本義和と森嶋通夫の非武装中立論と久保卓也の「基盤的防衛力」構想、更には井上成美まで同列に並べ肯定的に評価するのが面白い。9条の思想を前提とせず、また軍事力以外の「ソフトウェア」を使った国防論に共通点があるのだという。
また、立憲デモクラシーの会に集う新しい憲法学者とSEALDsに対しては、前述の「正しさ」を相対化しているとして割と肯定的。
著者の結論は、日米安保解消と国連中心主義、役割を限定した国連待機軍と国土防衛隊への改編、この理念を明記する憲法改正だ。ただ、現代の国際政治で国連がどれだけ機能するのか、疑問に思わざるを得ない。著者もその疑問は想定しているようだが、それでもなお国連を理想化しているのを読むと、著者が批判した昔の護憲論の非現実性と同様、やはり現実から乖離しているのではないかと感じた。 -
ひとまず一周目を終了。本書における著者の主張を把握するには、先に『戦後入門』(ちくま新書、2015年刊行)を読んでおいたほうがいい(この本にも度々そう書いてある)。
【書誌情報】
シリーズ:ちくま新書
定価:1,430円(税込)
Cコード:0236
整理番号:1569
刊行日: 2021/05/06
判型:新書判
ページ数:560
ISBN:978-4-480-07402-7
JANコード:9784480074027
〈https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480074027/〉
【簡易目次】
目次 [003-008]
それが僕の夢だ。君らはどう思う?――「はじめに」に代えて(野口良平) 009
第I部 日米安保条約と憲法9条―― 1950年代
第1章 改憲論の登場
1 吉田茂と憲法9条
2 改憲論の創始者たち――重光、鳩山、岸。
3 重光外交と「相互防衛条約」
4「押しつけ憲法論」について――石橋と中曽根のあいだ
5 存在した脅威――安保改定とキューバ危機
086
第II部 安保闘争と日米安定期 ~80年代
第2章 さまざまな護憲論
1 ユルくてずぼらな護憲論
2 丸山眞男の護憲論
3 理念的把握と国際的文脈
4 坂本義和の非武装中立論
第3章 折り返し地点――保守系ハト派の護憲型政治
1 日米安保と9条の結婚
2 吉田ドクトリンと「解釈合憲」システム
3「護憲体制」への懐疑――清水幾太郎と江藤淳
4 森嶋通夫の「ソフトウェア国防論」 226
第III部 冷戦終結から日本の閉塞へ―― 1990年代以降 267
第4倉 冷戦以後の日米安保協
1 なぜ日本の対応は遅れるのか
2 久保卓也の「積極的平和主義」
3「見直し」の攻防――ジョセフ・ナイ対都留重人
4 新日米安保と日本社会の変容
第5章 世紀と凋落のはじまり
1 護憲派の安全保障論――平和基本法に欠けているもの
2 自民党の従米改憲案――なぜ戦前回帰が必要か
3 徹底従米と明治憲法復元―安倍晋三と日本会議
4「正しさ」のゆくえ――九条の会
5「正しさ」からの離脱――立憲デモクラシーの会、SEALDs
第6章 歴史像の改定――捨象される経験の核心
1 護憲的な歴史像の改定――和田春樹の「平和国家論」
2 アメリカ国体論――日米同盟は永遠なり 460
おわりに 憲法9条/使用法 487
1 対案について
2 2009年の蹉跌と新しい展開
3 憲法9条の使用法―私の対案
参考文献 [538-544]
この本の位置――「あとがき」に代えて [545-555] -
東2法経図・6F開架:B1/7/1569/K
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323.142||Ka
9条の戦後史 加藤典洋著:東京新聞 TOKYO Web
https://www.to...
9条の戦後史 加藤典洋著:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/118926?rct=book