ルポ 高学歴発達障害 (ちくま新書 1756)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480075826

作品紹介・あらすじ

エリートなのに仕事ができない――理解が得られにくい不条理に自身も発達障害者であるライターが、当事者、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて迫る。



エリートなのに仕事ができない――

理解が得られにくい不条理に

自身も発達障害者であるライターが迫る。



「ケアレスミスが多い」「人間関係がうまくいかない」――生活や仕事上で問題を抱える「大人の発達障害」が注目を集めて久しい。実はその中に「高学歴でありながら、発達障害を抱えている人」が少なからず存在する。「エリート」のイメージと「障害」の実情の狭間で理解が得られず、周囲と自分を比べては落ち込み、アイデンティティの葛藤を抱える……。当事者、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて、発達障害が取りざたされる背景にある「異質であること」「非効率的であること」に不寛容な社会の姿を浮かび上がらせる。



【目次より】

・「あなたは早稲田大学を出ているんだから発達障害とは違う」

・人としての〝合格ライン?が上がってしまう感じ

・自分の意志がないのに〝意識高い系?になってしまった

・エリート同期たちからはニート扱い

・アイデンティティが負い目に変わる

・合理的配慮はあらゆる人に関係がある問題

感想・レビュー・書評

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  • 発達障害当事者・姫野桂さんが語る、生きづらさの正体とコロナ禍で感じた「孤独と依存の関係」 | ヨガジャーナルオンライン(2021-11-21)
    https://yogajournal.jp/11182

    姫野桂 さんの記事一覧|ぜんち共済株式会社
    https://www.z-kyosai.com/writer/himeno

    筑摩書房 ルポ 高学歴発達障害 / 姫野 桂 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075826/

  • ■発達障害は「ニューロ・ダイバーシティ」(脳の多様性)であるという捉え方も広まりつつある。ニューロ・ダイバーシティとは発達障害を「障害」として捉えるのではなく、「神経系の多様なあり方」として尊重していくという考え方。
     定型発達の人でも多かれ少なかれ凹凸がある以上、ニューロ・ダイバーシティという概念はあらゆる人を包含するものである。

  • 高学歴でありながら就職後に様々な困難を抱え、退職や診療内科へ通院した経験を持つ人々を追ったルポ。際立った特性を持つ故に他の人が出来る「当たり前」が出来ない。この苦しさは誰にでもあると思いますが「高学歴」という一つのレッテルが更に本人を苦しめています。

  • 高学歴な人たちの具体的な大変さがたくさん紹介されている。
    できないことが目立たない場所を見つけるのがいいって言葉、なるほどと思う。ともすれば、つよみを活かすことばかりを考えがちなので、高学歴ではない人にも視点を変えるいいヒントになりそう。

  • 高学歴とくくる必要がない
     著者は偏差値60の日本女子大学に入ったことを高学歴でもなんでもないと書いてるが、疑問。立派な高学歴ではないか。

     また、これは健常者でも戸惑ふよなといふ事例もあり、健常者にたいして認識にズレがある発達障害のひともゐるのではないか。

     あと、わざわざ高学歴発達障害と限定してゐて、高学歴とさうでないのとで、何か発達障害にちがひがあるのかとおもったら、できない仕事が多く社会に馴染めず、高学歴プライドで鬱憤がたまると言ふ。結局それは学歴または発達障害関係なく、誰にでも起りうる事である。

     要するに、高学歴と限定する必要性を感じなかった。

     なほ、発達障害の生きづらさの解決に向けて、示唆に富む部分は多かった。
     案外かういふのは、Kaien代表の鈴木氏も言ってゐたやうに、日本のメンバーシップ型雇用社会が原因なのではないか。海外のジョブ型雇用社会における発達障害の話を聞いてみたい。

  • 他人事じゃない。誰もが抱え得る発達の障害。


    高学歴なのに発達障害とわかった方の、社会に出てからの生きづらさがリアルに紹介されている。
    良い大学を出て良い会社に就職したものの、電話に出てメモを取りながら話を聞いて、こちらから伺うべきことを聞くことができない。マルチタスクができない。
    高学歴なのに単純作業で障害者月給で働くことになったケースも紹介されている。

    「どうしてもこれが苦手」ということは誰にでもあるだろう。
    生活や仕事に支障はなくとも、気づかずに他人に迷惑をかけていることがあるかもしれない。

  • 当事者へのインタビューが中心です。当事者の苦労(苦悩?)を知る機会になりました。発達障害は近年、知られるようになってきましたが、怖い・近寄りがたいといったイメージが強い気がします。私も全然理解できていないので、当事者に寄り添える人間になりたいと思いました。

  • 昔は障害とされていなかった特性が今では障害とされている。そういう視点は大切にしたいです。
    認知行動療法は自分を責めてしまう事になるかもしれないと聞いて目から鱗でした。

  • 高学歴発達障害というキーワード。
    発達障害を抱えている人にとって高学歴というのが、かえって足枷になっている現実は理解した。

    ただ、人によって生きづらさはそれぞれにあるだろうし、それを努力で克服した人もいるので、何だか複雑な気分は。

  • 最近発達障害に関する本を続けて読んだり、情報を得たりしているが、多かれ少なかれ自分自身にも身近な人にもその事象に心当たりがある。

    「発達障害」というカテゴリーが注目される背景について熊代亨さんの説明が腑に落ちた。

    言うなれば、「まっとうな人間」の基準が高まっていったのだ。(p156)

    考えてみれば、人間が人生を生きるのは、生きづらさとの共存だ。その中でささやかな喜びを噛み締めながら生きている。生きづらさを抱えている一人一人が互いを認め合えれば、少しは生きやすくなるような気がする。

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著者プロフィール

姫野 桂(ひめの・けい):フリーライター。1987年生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学日本文学科卒業。専門は社会問題や生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている――発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)などがある。

「2023年 『ルポ 高学歴発達障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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