ゆたかさをどう測るか ウェルビーイングの経済学 (ちくま新書 1842)
- 筑摩書房 (2025年2月7日発売)
本棚登録 : 178人
感想 : 14件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784480076700
作品紹介・あらすじ
経済のための人間から、人間のための経済へ
「ゆたかさ」とは何だろう。国が経済成長を遂げ、モノが溢れかえる一方、人々のつながりは希薄化し、自然環境は破壊され、現代社会はますます息苦しくなっている。GDPという指標の下で富の増大を目指し、社会を測ろうとする経済学は、私たちの「ゆたかな生(ウェルビーイング)」を捉えることができているだろうか。経済成長至上主義を問いなおし、経済のための人間から人間のための経済へ――。国家や市場という枠組みに囚われず、独立した個の連帯からなる社会のかたちを構想する。
感想・レビュー・書評
-
GDPが上がっても豊かになった実感がない。そんなことを思う人も多いのではないだろうか。逆に「あの時代はよかった」などと耳にすることも少なくないように感じる。
「ゆたかさ」を測ることの難しさ、そしてGDPが一国の経済規模を測るうえでは有効であるが、けっして個人のウェルビーイングの計測にはつながらないことが指摘される。本書は経済学の視点を取り入れながら、世に溢れる指標に切り込んでいくところが魅力だろう。
また、本書の巻末には20ページを割くほどの参考文献が記されており、著者の造形の深さがうかがえる。
自分には所々で難解な部分があったため、関連する知識を身に付けた上で再度、本書に向き合いたいと考えている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
点検読書I:ゆたかさの測定はこれまでGDPで計測されてきた。しかしWell Beingという概念がでてきており、Well Beingとの整合性について議論している。他の指標も紹介している。読みながら、書籍「測りすぎ」の議論も追っかけるのが良いとおもった。
-
ウェルビーイング研究はアナウンサーの吉田尚記氏が挙げていたことで興味を持ったものの
その内実が判然としてないままであったので参考になった。
一般的な経済学の進展の中で(経済の浮沈を伴いながら)、「よりよき生」を求めていたはずの理想との乖離や、経済学上のホモエコノミクス像への違和などがいよいよ現代にあって新しい解答を求める筋道がウェルビーイングの研究であることに得心した。
クロポトキンや宇沢弘文の社会像や、ウェルビーイングを図る指数の妥当性の追求など、果たして現実にどう構築すべきかといった問題は依然としてあるものの、昨今の書籍でキャッチーに用いられるウェルビーイングの理念がこうして科学的に論証される際には、経済・社会学上の概念として非常に魅力的で考究しがいのあるものと思われた。 -
ウェルビーイングの概念
- ウェルビーイングの定義: 「ゆたかな生」として人間が豊かに成長し、自らの生を創造・享受する状態を指す。
- 社会的絆: 個人が社会の中で生きがいを感じ、共に喜びを分かち合うことが重要とされる。
ウェルビーイングの実現に向けた課題
- GDPの限界: 従来の「一人当たりGDP」では「ゆたかな生」を体現できないことを指摘。
- 新たな指標の必要性: ウェルビーイングを測るための新しい指標の開発が求められている。
市民社会と社会的経済
- 第三のセクター: 市場や国家とは異なる市民社会や社会的経済の重要性が強調されている。
- 協力と信頼の経済: 市民社会における協力や互酬の原理が、ウェルビーイング社会の基盤となる。
経済学とウェルビーイング
- 経済的枠組みの転換: 伝統的な成長至上主義から、ウェルビーイングに基づいた経済的枠組みにシフトすることが必要。
- 人間形成主義: 経済活動の目的が人間の成長に向けられるべきであるとする考え方。
具体的な施策と実践
- 対人社会サービスの強化: 医療、教育、福祉などの分野で対人サービスの充実が求められている。
- 地域社会の重要性: 地域に根ざした活動や市民の参加が、ウェルビーイングの実現に寄与する。 -
■感想
TOPPOINTで読了。 -
よさげ。ゆっくり読みたい。
-
東2法経図・6F開架:B1/7/1842/K
-
【請求記号:331 ヤ】
著者プロフィール
山田鋭夫の作品
