- Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480080035
感想・レビュー・書評
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何も起こらない映画、と言われている。
ヴィム・ヴェンダースを始め、海外の映画監督に多くの影響を与えている(彼らが、影響を受けていると言って憚らない)。
墓碑銘は「無」の1文字。
…小津安二郎、という人。
彼が監督した映画は、目新しいというのでもないし、かと言って、古典的な日本人的な情緒で観る人の感動を誘うというわけでもない。
ストーリー的にそれほど大きな事件や出来事が起こるわけでなく、家族の日常の風景を撮っていることが多いので、「何も起こらない」とか「淡々」とか言われるわけだが、それにしても妙に心に残るのは何故か。
蓮実は、その「何故」を言葉にして、解明していく。
ローアングルのカメラ、会話の時の話者の目線、カメラに添ってたどる家の間取り……などの細かい具体から、小津の映画がなし得たことを明確にしていく。それまでの映画の文法を破っている、ことを論考する。
目から鱗が落ちまくる。
しかし、これだけ手法としては前衛的とも思える映画でありながら(笠智衆、原節子といった魅力あるスターの存在はともかくとして)、なぜ今も忘れ去られることなく、人の心をつかんでいるのか。やはり不思議に思わずにおれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文芸評論まで含めて筆者の最高作だろう。
ただ、こういう画面だけを見る方法というのも小津だからできたことで、誰にでも通用する方法ではない。もっとも、方法を持った映画評論って今あるっけ。 -
どうもお世話になりました。とは言い切れません。なかなか縁が切れません。