私探しゲーム 増補 (ちくま学芸文庫 う 1-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080059

作品紹介・あらすじ

CM、ファッション、不倫、目立ちたがり症候群etc.-同時代のシャーマンたらんとする著者が、いわば「脱近代の波頭」をとらえて、差異化する商品の意味、アイデンティティの変質など、その根底にある時代の変動を浮かびあがらせる。卓抜な世紀末ウォッチング。その後のトレンドに潜む、新しい時代のうねりを分析した「トレンドごっこ」の章を新たに増補。

感想・レビュー・書評

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  • とある本で紹介されていたこともあり、読んでみました。
    社会学や社会学者については、よくわからないんですけど、何だか「自分のことは棚に上げて」「行き当たりばったり」で「思いついたもの勝ち」な世界や人々、という印象を受けました。

    この本については、「なるほど」と思う箇所もありますし、30年前の本とは思えないほど、現在(当時からすると30年ほど未来)をうまく見通しているように見える箇所もありますし、著者の知識が豊富であることはわかるのですが、「社会をこうしたい」や「社会はこうあるべきではないか」というビジョンや「ビジョンに向かうため、私はこうする」といった主体的な姿勢は感じられず、「なまじっか知識のある外野(野次馬)がワイワイ騒いでいる」感はぬぐえませんでした。

    社会の見方には、いろんな視点や変遷があるのがわかりますし、単に読むだけならば面白いといえば面白いのですが、その先の行動にはつながる気がせず。
    その結果として、冒頭で述べた「自分のことは棚に上げて」「行き当たりばったり」で「思いついたもの勝ち」な印象だけが残った感じです。

  • 80年代

  • 著者:上野 千鶴子
    解説:鶴見 俊輔
    カバー装画:D. K. ウラヂ
    内容:80年代の時事評論・社会学系の雑文まとめ。
    感想:文体は仰々しいが、(本文の途中で論文を引っ張ったりしているが、なにしろ雑なので)学術性は皆無。というわけで、妄想系の随筆集として気楽に楽しみください。
    注意:これは社会学ではありません!

    【簡易目次】
    序 「近代」の野辺送り 009
    I ポストモダンの波頭 
    II 差別化の商品学 
    III 〈私〉探しゲーム 
    IV 消費社会前史 
    V 女たちの欲望 
    VI 百貨店――都市空間の記号学 
    VII 大衆社会の変貌 
    VIII トレンドごっこ 

    あとがき
    増補文庫版へのあとがき
    解説


    【初出一覧】
    「近代」の野辺送り  書き下ろし
    世紀末ウォッチング  『中日新聞」一九八五・二・二〜二九
    “お嬢さま”ブーム  『現代」一九八六・七
    くらしのカタログ  『京都新聞」一九八一・一○・二九
    商品――差別化の悪夢  『現代思想』一九八二・五
    個性神話のパラドックス  『商店建築』一九八三・四
    「見せる私」から「見られる私」へ――インテリアの社会学  『朝日新聞」一九八二・六・一四
    流行の運命――衣裳の社会学  『is』一九八三・三 No. 20
    ハレ・ケ・スキ ―― ファッション考現学  『思想の科学』 一九八二・一〇
    戦後欲望外史――高度成長を支えた私民たち  『思想の科学」 一九八一・一二
    女性誌ニュージャーナリズムの同世代史  『朝日ジャーナ 一九八四・二・二三
    ロマンチックラブ・イデオロギーの解体  『is』一九八六・六 No. 32
    快楽という通貨  『季刊文芸クリティーク」一九八六・四
    ステージとしての百貨店――「見世」の文化史  『季刊ブックレビュー』一九八二・八 No. 2
    百貨店の記号学  『広告』一九八〇・二・一二 No. 223
    燗熟大衆社会の民主主義  『朝日ジャーナル」一九八四・一・六
    ポスト大衆社会論の構図  『毎日新聞』一九八六・一〇・二四、二五
    トレンドごっこ  『日経トレンディ』一九八八・三〜一九九一・三

    【筑摩書房によるPR文】
     “CM、ファッション、不倫、目立ちたがり症候群etc.―同時代のシャーマンたらんとする著者が、いわば「脱近代の波頭」をとらえて、差異化する商品の意味、アイデンティティの変質など、その根底にある時代の変動を浮かびあがらせる。卓抜な世紀末ウォッチング。その後のトレンドに潜む、新しい時代のうねりを分析した「トレンドごっこ」の章を新たに増補。”
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480080059/


    【目次】
    目次 [003-006]

    序 「近代」の野辺送り 009
    「近代」に引導を渡すために 010
      時代の転換期
      常識のスクラップ化
      アイデンティティの解体

    I ポストモダンの波頭
    世紀末ウォッチング 020
      食糧危機 1985・11・18
      酎ハイ 1985・11・14
      コーラ戦争 1985・11・15
      男のピンク 1985・11・28
      血液型 1985・11・13
      “お嬢さま”ブーム 1986・7
      ロマンス本 1985・11・19
      不倫 1985・11・20
      母子姦 1985・11・21
      人気者 1985・11・25
      公私混乱 1985・11・26
      恥の文化再再考 1985・11・12
      脱サラ農民 1985・11・27
      関西人ぶりっこ 1985・11・22
      ホモとヘテロ 1985・11・29

    II 差別化の商品学
    くらしのカタログ 060

    商品――差別化の悪夢 062
      商品のサンタグムとパラディグム
      商品――欲望の解発装置
      不可視の生産
      差別化の戦略――垂直から水平へ
      商品を介するコミュニタス
      悪夢の選択

    III 〈私〉探しゲーム
    個性神話のパラドックス 090

    「見せる私」から「見られる私」へ――インテリアの社会学 096

    流行の運命――衣裳の社会学 100
      ファッションという記号
      流行現象――境界性の創造と陳侭化
      イノベーションの定同進化性
    ハレ・ケ・スキ ―― ファッション考現学 108
      自己表現と画一性
      流行という強制力
      自己表現の大衆化
      着更える落差
      カジュアル化の進行
      制服のない不自由
      第三空間の拡大
      〈私〉探しゲーム

    IV 消費社会前史
    戦後欲望外史――高度成長を支えた私民たち 126
      ベッド――「性」の自己主張
      DK ――「食」の拡張
      LDK ――接客空間の喪失
      TV ―― TVという「父権」
      マイカー ――私空間の出前
      マイホームからマイトームへ――死後の家族主義
    女性誌ニュージャーナリズムの同世代史 142
      『アンアン』の衝撃力
      消費社会のミーイズム
      ニューファミリー現象
      雑誌文化と「民主主義」

    表IV- 1 同世代年表

    V 女たちの欲望
    ロマンチックラブ・イデオロギーの解体 156
      愛‐性‐結婚のトリニティ
      「ヘテロでモノガマスな性」からの解放
      ホモ対ヘテロ
      モノガミイ対ノンモノガミイ
      ヘテロでモノガマスなつがいの不自然さ

    快楽という通貨 168
      セクシユアリティの変貌
      セクシユアリティの近代とその終末
      〈快楽商品〉の背理
      快楽という通貨

    図V- 1 ロマンチックラブ・イデオロギーの三位一体
    図V- 2 どちらがベッドに誘うか(Blumstein & Schwartz, 1993〔南博訳『アメリカン・カップルズ』白水社、一九八五年〕p.207)
    図V- 3 ノンモノガミイの実例(Blumstein & Schwartz, 1993, p.273)
    図V- 4
    図V- 5

    VI 百貨店――都市空間の記号学
    ステージとしての百貨店――「見世」の文化史 182
      見世ものとしての百貨店
      大衆社会化のなかの百貨店
      ひろばとしての百貨店
    百貨店の記号学 191
      「百貨店の記号」の視覚
      記号学のモデル/都心空間のコミュニケーション
      できごととしての百貨店
      〈エンコーダーのモデル〉
      〈デコーダーのモデル〉
      〈観察者のモデル〉
      できごとから構造への帰還

    表VI-1 街の魅力(日本経済新聞社 編『消費者は変わった』1975. より)
    図VI- 1
    図VI- 2
    図VI- 3

    VII 大衆社会の変貌
    燗熟大衆社会の民主主義 206

    ポスト大衆社会論の構図 216

    VIII トレンドごっこ 226
      現代人のナルシシズムが「関心」産業をはやらす 1988.3
      世紀末の情報財ディスコに群がる若者が地価を上げる 1988.4
      「アフター5」から「アフター55」への軟着陸を 1988.5
      対面式キッチンで主婦は家族支配を完成する 1988.6
      みんな「トレンディ」しちゃう―― 一億総マーケッター時代 1988.7
      売れるなら私生活まで売るCMもどきの明るい表現者達 1988.8
      円高ミュージシャン、ロンドン・フィルをカラオケにした 1988.9
      女・子どもの国民的論争に終始沈黙を守った男たち 1988.10
      二次元世界のTV電話よりマイナス1のコミュニケーション 1988.11
      脱がされたい女心の反映か、シルク・ランジェリー・ブーム 1988.12
      「生活」と「文化」に目を向ける企業シンクタンク・ブーム 1989.1
      中立の看板の裏で“黒子”が支配する「メディアの戦争」 1989.2
      情報をDCブランド化する「トレンディ・キー・パーソン」 1989.3
      「生前後家楽」を満喫する主婦貴族の「女遊び」 1989.4
      企業内教育を商品化した企業立大学の陰謀〔アイデア〕 1989.5
      農業リッチ時代を予感する農大経営のニューウエイブ 1989.6
      全共闘世代の怨念から切れたポジティブな知性がウケる 1989.7
      街に高所得者層を呼び戻したGentrificationの光と影 1989.7
      一昔前なら「結婚」に逃げたOLたちの「海外留学」熱 1989.8
      オジサンが淘汰されるオバタリアンの時代 1989.9
      企業PR誌縞集者が自主規制、見えない“検閲制度” 1989.10
      洋式便器をめぐる日米論争、「学校便秘症」でケッ着? 1989.11
      買い手がつくか中之島改造案、頼まれぬ仕事をする安藤忠雄 1989.12
      「赤ちゃん少産時代」に突入、親や祖父母が子供をペット化 1990.1
      シティホテルの建設ラッシュ、慶弔両端のハレ需要にマッチ 1990.2
      新・改築ブームの前面に立つ女たちのエネルギーの蕩尽 1990.3
      レンタル・ドレスが加速する謝恩会の「目立ちたがり」衣装 1990.4
      首都圏家付き娘のHanako族、結婚後も恵まれたライフコース 1990.5
      都市ノマッド(遊牧民)の繋留点、携帯電請が空間感覚を変える 1990.6
      女の“あがり”は「玉の輿結婚」、昔も今も日本人は結婚好き 1990.7
      企業活動を自分の「作品」にしたドゥ・ハウス経営者、小野貴邦氏 1990.8
      主婦と団塊ジュニアに共通の仕事イコール遊びの年金生活 1990.9
      押しつけでライバルを育てるアメリカン・リベラリズム 1990.10
      米国で働く女性MBA保持者、企業の性差別が招く頭脳流出 1990.11
      フルタイム生産男の時代終わる。パート生産/パート消費男へ 1990.12
      情報ハンドリング用の装置系、インテリジェントホーム 1991.1
      ポスト新人類の団塊ジュニアがモノ語り時代の後に作る九○年代 1991.2
      モノからコト、イメージへ。ついに知性までトレンド消費財 1991.3

    あとがき(一九八六年一二月 京都にて 上野千鶴子) [315-317]
    増補文庫版へのあとがき(一九九二年四月 京都にて 上野千鶴子) [318-320]
    解説(鶴見俊輔) [321-327]
    初出一覧 [328-329]

  • 1992年刊(初出1980~88年)。著者は東京大学文学部教授。◆①単純な男女二項対立が如何に議論を粗雑にするか。男・女とも収入・教育・仕事・経験・容姿体格体力等、様々な属性において様々な特質を有している。いうなれば、男女だけの二項対立では変な結論、ないし著者の決め付けを不可避にする。この判り易い悪例。②西欧近代と日本近代とはその内実に多大な異質面があるのに、恰も全く同じであるかの如き分析視座の粗雑さ。性・愛・結婚の三位一体というなら中世の状況やC教等宗教の議論に入らざるを得ないが、全く皆無。
    ③悪い意味で、エビデンス軽視の社会学の例。教育社会学につき統計的手法、特に相関関係に関し、要素の重要度の重みづけを検討する重回帰分析等の方法論・説明(苅谷剛彦や志水宏吉らのチーム)を知ると、説明がこんなんで良いのかと言いたくなる程。殊に米国固有事情が措定される「アメリカン・カップルズ」の分析を、何の躊躇も、何の理由付けもなく自分の説明の為に引用する等理解に苦しむ。◆著者ならイスラム文化をどうこき下ろすのか。見てみたい。日本以上に苦しんでいる人々が世界に何億人もの規模で存在していそうですからね。
    ◆加谷珪一著書での「タレント学者」の最たるものか、◆どうでもいいが「ハウスマヌカン」「ナウい」といった、時代を感じさせる用語がちらほら。また「小泉今日子より菊池桃子の方が人気がある」と小泉ファンが聞くと怒髪天になりそうな箇所など、危うい発言も散見。◆逆に「商品論」「百貨店論」等は読める。というより余計な主張をさせず、分析に特化すればまともなものが書けるんだなと。

  • 固有名が多い。
    時流そのものについてや、当時あった出来事について筆者が分析する手法をとっている。
    特に過去の話題ばかりで興味もないことが多く、流し読み。
    そういえば、「個性神話のパラドックス」は高校の教科書に載っていた。これが一番面白かったように思う。
    スピード感がある文体だが、いかんせん、時代を感じてしまうような古臭さがあるのが残念である。

  • [ 内容 ]
    CM、ファッション、不倫、目立ちたがり症候群etc.―同時代のシャーマンたらんとする著者が、いわば「脱近代の波頭」をとらえて、差異化する商品の意味、アイデンティティの変質など、その根底にある時代の変動を浮かびあがらせる。
    卓抜な世紀末ウォッチング。
    その後のトレンドに潜む、新しい時代のうねりを分析した「トレンドごっこ」の章を新たに増補。

    [ 目次 ]
    序 「近代」の野辺送り
    1 ポストモダンの波頭
    2 差別化の商品学
    3 〈私〉探しゲーム
    4 消費社会前史
    5 女たちの欲望
    6 百貨店―都市空間の記号学
    7 大衆社会の変貌
    8 トレンドごっこ

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 上野千鶴子のコラム集。
    今の視点から読むと、なんだか当時流行りの概念を振り回してつまらないことを言っているな、と思ってしまうが、それは上野が当時、皆に先んじて真っ先に我々が迎える時代の特徴を言い当てたためである。

    見せる私から見られる私へ、とか、「わたし」の同一性の崩壊とか、今ではなんだか当たり前に聞こえるが、当時はそれは当たり前ではなかった。60年代の若者の強烈だが画一的な自己主張、70年代の個人化と軽薄短小への傾向を踏まえて、80年代の「自分らしさ」への探索へと――もちろんそれは社会によって規定される「自分らしさ」がなくなったから――向かうのである。それをいち早く見出したという点に、つまり同時代的な意味に、この本の価値は見出されるだろう。

  • 98

    消費社会とそれに翻弄される大衆をクールな視点で見つめた80年代の評論集。「日経トレンディ」連載のエッセイを増補。

  • 主に80年代に書かれた論文・記事が載っていて、著者が「増補文庫版へのあとがき」でも書いているように、「歴史的資料」として愉しんで読んだ。
    「ヒッピー」や「ディスコ」等、懐かしいというよりも、何それ?の域にある単語が出てくるたびに、自分が生まれる前の日本の姿を必死に想像した。
    どの論稿でもそうだが、やはり私は上野千鶴子の社会へのまなざしとそのもの言いに、どうしても魅かれてしまうのだ。

  • 石原千秋『教養としての大学受験国語』121頁

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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