排除の構造―力の一般経済序説 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080219

作品紹介・あらすじ

われわれの希望は、暴力なき社会の実現である。では、なぜ社会の生成過程には排除という暴力的な作用が出現するのか。秩序の生成と暴力をめぐる根源的な問いを、文化人類学の成果やマルクスの価値形態論などと関連づけながら、第三項排除効果論として精緻に分析し、展開した暴力的理性批判の書。生産主義的理性批判への出発点となった、現代日本を代表する思想家の記念碑的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の『暴力のオントロギー』(勁草書房)の続編で、「第三項排除」という考えにもとづく著者の社会哲学が開陳されている本です。

    社会的秩序の創設は、「法措定的暴力」によって「人間と神々とのあいだの境界線」を設定することだとベンヤミンは考えました。ひとたび社会的秩序が設定されると、今度はその秩序を維持するための「法維持的暴力」がたえず呼び出されることになります。著者は、ベンヤミンが人間の社会的秩序を裏打ちしている暴力の存在を明るみに出したことを高く評価する一方で、これらの暴力の彼岸「神的暴力」を置き、これにもとづいて秩序を設定し維持する暴力を批判していたことに対する批判を展開します。著者は、神的暴力が神話的暴力に堕する危険性をどのようにして避けることができるのかと問いかけ、暴力批判の課題は善悪の彼岸にある「自然史的力」の立場に立つのではなく、理性と言葉が編み上げている秩序のなかに踏みとどまりながら、そこに働いている暴力の機能と役割を解明することによってなされなければならないと主張します。

    さらに著者は、社会と文化のあらゆる領域に「第三項排除」という現象が見られることを明らかにするとともに、「第三項排除」の効果による秩序の形成の具体相をとりあげます。文化人類学による近代以前の社会についての研究は、スケープ・ゴートなどの第三項排除によって「聖なるもの」の領域が打ち立てられ、社会的秩序が創設されることを明らかにしたと著者は述べています。また、マルクスの経済学批判の仕事に対しては、近代の資本主義社会における第三項排除のあり方を明るみに出すことになったという評価をあたえています。

  • 著者:今村仁司(1942-2007、岐阜県、哲学者)

  • 第三項排除、スケープゴートに関する本。
    承認欲求と模倣に関する話は非常に面白かった。
    精神分析の概念が出てこないのが残念。

  • 第三項排除という考え方は、大澤さんの第三者の審級の話に影響を与えたのかな?なんて昔思ったことがあったが、検証せずに止まっている。

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著者プロフィール

1942年岐阜県に生まれる。1970年京都大学経済学部大学院博士課程修了。元東京経済大学教授。2007年歿。著書『交易する人間』(2000、講談社)『清沢満之と哲学』(2004、岩波書店)『抗争する人間』(2005、講談社)『マルクス入門』(2005、筑摩書房)。訳書 ブルデュ『実践感覚』全2巻(共訳、1988/1990、みすず書房、新装版2001、新装版2018)アルチュセール他『資本論を読む』全3巻(1997、筑摩書房)マルクス『資本論』第1巻(共訳、2005、筑摩書房)ほか。

「2018年 『実践感覚 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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