- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480080349
感想・レビュー・書評
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日本の景観、もっと言えば、日本人が好む景観を類型化する。
盆地、谷、山の辺、平地の4つである。
西欧は凸型で男性的、日本は凹型で女性的。甘えの構造。
東北沿岸の人たちが、海辺に戻ってしまうメカニズムもよく理解できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は1981年に春秋社から出版されたものであり,私の手元にあるのはちくま学芸文庫になったもの。
風景・景観に関する論文は2013年に『地理学評論』に発表した内容で一段落つけたが,同テーマで講義は続けているので,本来読むべき基本文献は読んでおこうかと思う今日この頃。著者は1975年に『景観の構造――ランドスケープとしての日本の空間』(技報堂)を出しているが,そちらはまだ読んでいない。本書は裏表紙にも「景観工学の代表作」とあるが,読んでみるとあまり工学的な印象を受けない。
序章 風景の成長と代償風景の創造
第1章 日本の自然観と風景観
第2章 日本の景観
1 盆地の景観
2 谷の景観
3 山の辺の景観
4 平地の景観
5 日本の景観の原型
第3章 生きられる景観
1 美しい景観と生きられる景観
2 自然の景観と生きられる景観
3 都市の自然と生きられる景観
4 都市の景観と生きられる景観
5 最後に
まあ,本書の副題が1970年代の本質主義的な雰囲気を醸し出しているが,先日紹介した牧口常三郎の『人生地理学』との類似性を感じざるを得ない。1900年前後の地理学の書物はナショナリスティックな色彩が濃いが,第2章はそれに近いものがある。しかし,第3章では最近翻訳されたアプルトン『風景の経験』をかなり利用していたり,山水画やドイツの風景画家フリードリヒの話にまで及び,風景美の普遍性を追求しようとする。
タイトルには景観が用いられているが本文中では「風景」の使用も多い。その辺のこだわりはないのだろうか。全体的に各論の連続で総論的な議論も意外にない。結局,景観や風景とはなんなのだろうか。 -
景観工学の代表作。
内容は、副題通りらしい。 -
感性に重点を置いた上で、日本の基本的・伝統的な景観(山辺、水辺など)を分類・分析している。
日本における景観を語る上で、基本となる知識や解釈が詰まっている。
読み物としても面白い。
(研究室) -
偉大な樋口先生の代表作。こんな素晴らしい先生の下で研究できてるなんて素晴らしい経験だとつくづく思っています。