現代思想の系譜学 (ちくま学芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080622

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  • 著者:今村仁司(1942-2007、岐阜県、哲学者)

  • 近代主体主義vs.関係主義。どちらを取るかが政治的態度決定であるというのに、この世界の現実政治の貧困はいったいなんだろう?
    特定領域の小哲学(フーコー)、根源へ向かう細部へのまなざし(ベンヤミン)、合成の過剰による調和の力(フーリエ)、これら魅力的な方略の数々は古くて新しい。不在をかこつのはリアルな政治家だけかもしれない。

  • 構造主義やポスト構造主義といったフランスの現代思想を、19世紀から20世紀にかけてドイツの哲学者がおこなった形而上学批判のモティーフを継承しながら、新たな展開をもたらしたものとみなす観点から考察している。

    形而上学批判をおこなったドイツの哲学者として本書で念頭に置かれているのは、ハイデガー、アドルノ、マルクスらである。ハイデガーとアドルノは、それぞれの観点から西洋の形而上学への批判をおこなった。またマルクスは、ヘーゲル哲学を転倒することで思想から実践への転回がなされなければならないと考えた。

    著者はまずフーコーを考察の対象に取り上げる。従来の理論的ないし思弁的な哲学の枠組みを超えた、実証的で経験科学的な歴史的分析がフーコーの思索のスタイルだ。彼はこうしたスタイルを採用することで、これまで形而上学が見過ごしてきた「社会化した形而上学」ないし「政治化した形而上学」への根源的な批判をおこなう。こうしたフーコーの思索のスタイルに、著者は新しい「知的実践」の形を認めている。

    さらに本書では、フーコーに見られるような「知的実践」と同様のスタイルが、ドゥルーズの「逃走の思想」やJ・F・リオタールの「漂流の思想」、R・バルトの「快楽の思想」、さらにクリステヴァやセールといった思想家たちにも見られることが明らかにされる。

    本書の第3部には、現代思想のさまざまな問題を著者自身の立場から論じた論文が6編収められている。中でも、テクスト論的な観点から「空白」の意義を論じた論考はとくに興味深い。

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著者プロフィール

1942年岐阜県に生まれる。1970年京都大学経済学部大学院博士課程修了。元東京経済大学教授。2007年歿。著書『交易する人間』(2000、講談社)『清沢満之と哲学』(2004、岩波書店)『抗争する人間』(2005、講談社)『マルクス入門』(2005、筑摩書房)。訳書 ブルデュ『実践感覚』全2巻(共訳、1988/1990、みすず書房、新装版2001、新装版2018)アルチュセール他『資本論を読む』全3巻(1997、筑摩書房)マルクス『資本論』第1巻(共訳、2005、筑摩書房)ほか。

「2018年 『実践感覚 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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