曙光 ニーチェ全集 7 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (1993年1月1日発売)
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感想 : 5
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784480080776

感想・レビュー・書評

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  • 「若き人々への言葉」よりは分かりやすいけど、やっぱりアフォリズムというのは取っ散らかっているように思えて読みにくい。哲学思想ほぼ素人なので、よくわからないところがいっぱいある。
    倫理とは風習であって、倫理的な人というのは、それに服従しているだけ、確かにそうかもしれない(私は、「空想的な因果関係」とっても好きですけどね)。キリスト教は道徳の名のもとに過剰で盲目的な服従を、それに従いえない人間に苦しみを与える、そうかもしれない。私は「クリスチャン」として育てられたので、それは本当に、よくわかるのだけど、有神論者でもあるので、ニーチェのキリスト教の排斥には反駁したくなる。
    ニーチェは同情は弱さであって、自分の憂苦を取り去るだけのものとして切り捨てるし、愛は利己心で偽りと言うけれど、虚栄心を拒絶して自分で自分を肯定しろと言うけれど、そうして自分の精神を徹底的に灰にして、一体何が残るのと思う。そのように高潔であることは素晴らしいかもしれないけど、欺瞞と感じるその全ては自然に生まれた人間の感情ではないの。人は群れる生き物であって、そのように生きている人々を激しく否定しても、人はそこから離れて生きることは難しいでしょう。ニーチェのように自分を蝕んで病みながら、一人で孤独に苦しみぬいて真理を求めることをしなければ、そこに行きつけない。
    キリスト教道徳から離れ、真理を求めてそこまで苦しまねばならないなら、既存の道徳の与える苦しみの中で安息する人々を否定することはできないでしょう。キリスト教は奴隷のために作られた、そうでしょうとも。ほとんどの人は奴隷であることに異議を唱えないし、真理を求める強さはないのだから。

    私は弱い人間だから、ニーチェの激しい批判には距離を感じてしまう。読んでいて思ったのは、「それは、そうかもしれないけど…」か、「それはわからないけど…」のどちらかばかりだった。合わないのかもしれない。

  • 3

  • ニーチェの思想はニーチェ自身の健康抜きには語れない、みたいなことを何かで触れた記憶があるが今作は全体を通して前向きな気持ちにさせられる。

    随所に惰性としてのキリスト教信仰への批判的分析がなされているもののそこまで攻撃的ではない。
    持病が回復してきたことと関係があるようで"力"に関する言及が増え、最後のアフォリズムは読み手を鼓舞してくれるような明るさを伴っている。

  •  
    ── ニーチェ/茅野 良男・訳⦅全集 7 曙光 19930901 ちくま学芸文庫⦆
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480080775
     
    (20231018)

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著者プロフィール

1844-1900年。ドイツの哲学者。近代という時代の問題を一身に受け止め、西洋思想の伝統と対決し、現代思想に衝撃を与えた。代表作は、本書のほか、『愉しい学問』(1882年)、『善悪の彼岸』(1886年)ほか。

「2023年 『ツァラトゥストラはこう言った』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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