自分を知るための哲学入門 (ちくま学芸文庫 タ 1-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 1149
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480081094

作品紹介・あらすじ

哲学とは自分を深く知るための、他者とほんとうに関わるための、もっともすぐれた技術(アート)なのだ。哲学の読みどころをきわめて親切に平易に、とても大胆に元気にとらえなおした斬新な入門書。もちろんプラトンもデカルトもカントもヘーゲルもニーチェもフッサールもハイデガーも大物はみな登場。この一冊で哲学がはじめてわかる。

感想・レビュー・書評

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  • ほとんど全部が平易な言葉でかかれているので、やはり分かりやすい。そして「哲学する」ことの方法論・思考法の変遷がよくわかる。著者も記しているが、やはり現代の哲学は現実とのギャップがあまりに大きいようだ。でもこれで、次に哲学書を読む時の心構えが定まった気がする。

  • これを読んで初めてニーチェに関心を抱いた。

  • 色々学んだ後に再読したい一冊。巻末に読書案内もあり。

  • 著者の若い頃の哲学体験をもとに書かれた入門書。古今の哲学書は生き方の真理を教えてくれるものではない。その代わりに、自分自身に対する自分の了解を大いに助け、生を豊かにするものである。哲学は、自分で自分を深く知るための一つの技術(アート)である。・・・なるほど、と思う。
    そして著者は現象学に触れる。フッサールによれば、客観と認識の一致はあり得ない。これもなるほど・・。では、我々は何を確信して、あるいは妥当と見做して生活をしているのか?著者は、個人の内在的確証は他者の承認が付け加わることがなければならないと指摘している。「妥当」は、他者との相互的な確証が必要、というわけだ。
    このような視点は、他者と関わりながら日々生活する私達の考えのポイントしてはとても参考になるのでは、と思う。良書。

  • 哲学とはなんなんだろうと思って図書館で借りたが、私にはまだ早かったみたいだ。
    また巡り会えたら読んでみよう。

  • タレスからハイデガー、現代思想(といっても原著は1990年刊行なのでそれ以前)までの哲学の流れを示したもの。哲学とは考える技術である。そのため、哲学を学ぶことにはあまり意味は無く、哲学をすることに意味がある。日本には哲「学者」は多いが、「哲学」者はほとんどいない。

    ざっくりと哲学を概観するには良い。

  • 引用

     自分の(=世間から受けとった)習慣的な考え方でものごとを考えると、どうしても自分が苦しく、行き詰まってしまうときがある。そういう場合にはじめて、人間はこの習慣的な考え方に逆らい、それに抗ってものごとを根本的に考え直そうとする動機を与えられる。まさしく哲学は、そういう場合にわたしたちにとって、”役に立つ”。そういうときこそ哲学は、その”何のためにあるか”という意味をはっきりとわたしたちに告げるのである。
     こういう動機に支えられないなら、哲学は無味乾燥で、おびただしいエネルギーを必要とするだけの馬鹿げた世界である。学者や知識人人なるとするのでない限り、「それってオレに何の関係があるの」と言って済ませられる世界なのである。(p.11)

     人間が生活してゆくのは、一匹のロバに乗って歩いてゆくようなものだ。ロバの上にいる人間はロマンや理想を自分の存在意味を照らすものとして多く持ちたいのだが、この荷が大きいほど歩きつづけるロバは苦しくなる。ロバののどが渇き、腹が空けば、水や食べ物を与えてやらなくてはならない。これが生活の原則だが、ロマンや理想の積み荷は、そのためには何の役にも立たないのである(p.55-56)

  • 万物の根源、イデア、我思う故に我あり、神=自然、アンチノミー、の力への意志…と、哲学史は一見何の関係もない意味不明なキーワードに溢れています。本書の第二部では、こうした次々と現れる異説の歴史から、「主観と客観の一致」問題と「真善美」を軸に、各哲学者の直観を抜き出していきます。

    世界の原理を理性で推論していくタレスらギリシャ哲学者の考え方は、人間の精神こそ世界(何が真善美なのか)を秩序づけるとしたソクラテス・プラトンによって留保されました。
    デカルトの二元論も、スピノザの一元論も、理性の能力をいたずらに使用して世界の全てを捉えようとした不可能な試みとしてカントによって片付けられました。
    このように、自由な理性の持つ客観的な世界を主観的に捉えようとする傾向を避け、目には見えない真善美をどのように捉えるかという構図で一貫しているので、哲学史が一本につながります。とても気持ちのいい読書体験でした。

  • 高校時代、倫理をとっていたのだけれど、その始まりが「世界の万物は〜」というところで「なんで?」となっていた自分にとって哲学の枠組みが見えて面白かった。内的な部分の分析に至る流れも、文章は難しかったけどわかりやすい。

    ただ、「自分を知るため」に読む本ではなかった。自己への理解、人という生き物の探究に関して読むならもっとライトな本がある気がする。高校の頃にこういう風に説明してくれれば、もっと倫理が面白く感じられたかも。西洋哲学についての大まかな系譜に関して知的好奇心が満たされたので、東洋の哲学についても何か本を読んでみたい。

  • 最初に借りてから1ヶ月も経ってしまってやっと読み終わった。
    哲学は何のためにあるのだろうか、自分の人生を、というかもっと世間的な生活を送る上でどう役に立つのだろうか。この本はこういう質問に答えるべく書かれていると思うのだが、そして実際になるほどソクラテスやプラトンは、そしてカントはフッサールは、スピノザは、そういう系譜なんだなって分かって面白かったんだけど、やっぱり完全に腑には落ちていないなというのが読後感。
    Amazonで370円くらいで買えたから、届いたらまた読んでみよう。

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著者プロフィール

1947年生まれ。哲学者、文芸評論家。著書に『「自分」を生きるための思想入門』(ちくま文庫)、『人間的自由の条件ーヘーゲルとポストモダン思想』(講談社)など。

「2007年 『自由は人間を幸福にするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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