- Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480081711
感想・レビュー・書評
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マニエリスムは、マンネリという有り難くない言葉として現在流通している。
ルネサンスの延長として生まれたマニエリスムは、巨人たちの時代=ルネサンスのマヌエラ(手法)の模倣に過ぎないとして、後代に当たる17世紀バロック時代に徹底的に否定された。
それが、マニエリスムをマンネリとして貶めることになる起源だ。
そのため、マニエリスムは20世紀に至るまで無視され続けることになってしまった。
マニエリスムが再評価されるようになったのは20世紀に入ってからだ。
本書で若き若桑みどりが目指すのは、20世紀に<再発見>されたマニエリスムの復権だ。
その語りは熱い。
ルネサンスの秩序が崩壊した「危機の時代の芸術」がマニエリスムだと著者は指摘する。
そして、16世紀は、時代そのものを表現する様式としてマニエリスムの時代だったと言う。
マニエリスムは、単なるルネサンスのマンネリではなかったのだ。
時代の要請した芸術だったのだ。
マニエリスムが時代の要請した時代精神であるならば、時代の総体がマニエリスムとして把握されなければならない。
そのためには、どうしても必要なことがある。
それがアレゴリーへの理解だ。
アレゴリーへの理解を欠いたマニエリスム解釈はあり得ないのだ。
16世紀というエポック=時代全体をマニエリスムの作品と見做し、そのアレゴリーを読み取ることで、豊饒なマニエリスムの復権が初めて可能となる。
時代をアレゴリーとして読み解くことで、マニエリスムの復権を高らかに宣言するのだ。
美術史家若桑みどりの作品はいくつか読んだが、彼女の最高傑作は美術に関するものではない。
意外なことに日本史に関するものだ。
それが、天正少年遣欧使節を丁寧に描いた「クアトロ•ラガッツイ」(四人の少年たち)だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
11/6 読了。
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目次
序章 寓意の勝利
第1章 「愛」の寓意について(新プラトン主義の愛の理論
新プラトン主義的「愛」の二つの形式
ブロンズィーノの「愛の寓意」
「愛」を滅ぼす「時」
「時」と「永遠」)
第2章 プシコマキア―内面の葛藤(美徳と悪徳のたたかい
十六世紀の人体比例論
囚われた体
歪んだ鏡
ずれた消失点)
第3章 マニエリストの宇宙(火と水と土と空気の織りなす世界
ミクロコスモス
大地と空の夢想
水と火の想像力)
終章 万物の変貌 -
七十年代にこんな本を書き上げた若桑さんに驚き。だが・・・どういうわけだが、日本語がとても難しい気がする・・・。
俺だけか・・・? -
マニエリスムを本格的に説いた 日本で最初の方なので、内容は濃縮され 伝統性の意義を閃かされた感じ