英文翻訳術 (ちくま学芸文庫 ア 10-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480081971

作品紹介・あらすじ

達意の訳文で知られる著者が、文法事項を的確に押さえ、短文を読み解きながら、翻訳の秘訣を伝授する。大学受験生から翻訳家志望者まで、一読三嘆、必読の訳文指南書。

感想・レビュー・書評

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  • 英語の文章を日本語に翻訳するときの、日本人が苦手とする分野を取り上げて適切な訳の選び方が学べる。採用されている英語の文章が比較的難しく、その場で適切に英語に訳せるかと言われると難しいものもあった。今読んでいる英書を一つとっても、英単語の知識不足で、どうして他人の国の言葉の習得なんて、という気持ちも湧き起こる。サクッと読めて自分の英語の知識不足の再認識となった。

  • 私の教科書!

  • 何度も読んでみにつけたい本。1回じゃ無理だけど。目から鱗。

  • 今までなんとなく翻訳をして来た。そんな自分のやり方が正しかったことを確認できた点もあるし、今まで知らなかった訳し方を知るきっかけにもなった。

  • 翻訳で一番役立つ本のように思える。文法から説明しているのがわかりやすい。

  • この本の内容だけ頭に入れるだけでも、英文の見え方がガラッと変わってくる。頭の中で自然な日本語に直せるということはそれだけ理解できてるということだ。あとがきでグサッと刺さる。

  • きっと、分かりやすい解説なんだろうと思う。
    しかし、いかんせん自分の英語力がこの本を読むレベルに達してしないため、かなり難しく感じた。
    巻末にも書いてあるが、翻訳には、英語力、日本語力、翻訳に対する想いの三つが必要とのこと。
    まずは一つ目の英語力が不足しているのだな、ということが分かっただけでも良かったかも知れない。

  • わかりやすくて良い
    読みやすい

  • 原題:『翻訳英文法 訳し方のルール』日本翻訳家養成センター、パベル・プレス、1982。
    著者:安西徹雄



    【目次】
    目次 [004-009]
    はしがき(1982年2月 安西徹雄) [011-013]

    序章 語順の問題そのほか 015
    §1 原文の思考の流れを乱すな 015
    §2 文体の問題 020
    §3 文法のテキスト 022

    I 所有格を考える――名詞(1) 023
    §4 A 主語を表わす所有格 025
    §4 B 代名詞の所有格 028
    §4 C 動名詞の意味上の主語 029
    §4 D of+名詞(主格関係) 030
    §5 A 「目的格関係」を表わす所有格 030
    §5 B of+名詞(目的格関係) 032

    II 「核文」と「変形」――名詞(2)  037
    §6 所有格構文の意味構造 037
    §7 「核文」と「変形」 039
    §8 翻訳のプロセスと「核文」 042

    III 「無生物主語」その他――名詞(3)  046
    §9 無生物主語 047
    §9 A 動詞が内包されている場合 047
    §9 B 動詞を補ってやるべき場合 049
    §9 C 仮定法がふくまれている場合 053
    §10 「形容詞十動作者(名詞)」の表現 055

    IV 演習(1)――名詞 058

    V 代名詞は切れ代名詞(1) 067
    §11 人称代名詞 067
    §12 名詞の反復を避けるためのthat, etc. 072

    VI 演習(2)―― 人称代名詞 078

    VII 関係代名詞をどうするか――代名詞(2) 088
    §13 接続詞を補う 089
    §14 いったん切る 093

    VIII 関係代名詞をどうするか(続)――代名詞(3) 099
    §15 分解する 099
    §16 解体する 103

    IX 演習(2)――関係代名詞 110

    X 述語的に訳すべき場合――形容詞・副詞(1) 120
    §17 A No 120
    §17 B Many, Few 122
    §17 C Much, Little 123
    §17 D Some 124
    §18 文修飾の副詞 126

    XI 副詞に訳したほうがよい形容詞――形容詞・副詞(2) 131
    §19 A a little reflectionの型 131
    §19 B All, Every, Each, Both 133
    §19 C その他,一般の形容詞 136
    §19 D 転移形容詞 139

    XII 比較の表現――形容詞・副詞(3) 143
    §20 A 普通の比較級・最上級 144
    §20 B 否定のからんでいる場合 149
    §20 C as…asの構文 151

    XIII 時制について――動詞(1) 155
    §21 A 現在形 156
    §21 B 現在完了の代用として 157
    §21 C 「歴史的現在」 160
    §22 進行形 162
    §23 時の一致 163

    XIV 受動態をどう処理するか――動詞(2) 168
    §24 実例研究 169
    §25 三つの対応策(1) 能動で訳す 172
    §26 三つの対応策(2) 受身のまま 175
    §27 三つの対応策(3) 翻訳調を生かす 177

    XV 受動態をどう処理するか(続)――動詞(3) 179
    §25’ A 能動で訳す(1)自動詞を使って 179
    §25’ B 能動で訳す(2)「は」を活用して 180
    §25’ C 能動で訳す(3)主語と動作主を入れかえて 182
    §26’ C 受身のまま(1) 183
    §26’ B 受身のまま(2) 184
    §27’ 翻訳調を生かす 185
    §28 応用問題 187

    XVI 演習(4)――受動態 

    XVII 仮定法の問題点――動詞(4) 205
    §29 主語に仮定がふくまれている場合 206
    §30 副詞(句)に仮定がふくまれている場合 208
    §31 Otherwise 209
    §32 発想を転換する 220

    XVIII 直接話法を生かす――話法(1) 216
    §33 実例の検討 217
    §34 直接話法を生かす 219
    §35 混合話法・描出話法 220

    XIX 直接話法を掘り起こす――話法(2) 228
    §36 直接話法を掘り起こす 228
    §37 名詞(句・節)に応用してみる 232
    §38 直接話法の問題点 235

    XX 演習(5)――話法 239

    XXI 強調構文その他――接続詞の問題点もふくめて 249
    §39 強調構文 249
    §40 省略・共通構文 251
    §41 A Till(Until)  253
    §41 B Before 254
    §41 C As 255
    §41 D Except 237

    終章 何よりも大切なこと,三つ 261
    §42 英語を知ること 261
    §43 日本語を習うこと 263
    §44 翻訳という仕事を愛すること 264

    マニュアルの向うにあるもの――あとがきに代えて [267-278]
      技術によって何処まで行けるのか
      かくされているからこそ,発見がある
      〈断絶〉を跳びこえるコミュニケーション
      他者の眼差しが促し支える

    内容索引 [279-282]

  • 【原文の思考の流れを乱すな】p20
    ①原文の思考の流れにできるだけ忠実に従うように工夫すべきである。そのためには
    ②原文の形式的な構造をなぞるのではなく、一度これを解体して、形式の背後にある思考の流れをよく読み取り、この流れを
    ③日本語本来の構造に移しかえて再構成しなければならない

    名詞・代名詞の所有格、あるいはof+名詞という句の背後には、実はS+Vという文(節)の構造が潜在している。したがってこれらを翻訳する時には、まず形式上の句を内容的に文(節)に読みほどいてから、これを改めて日本語に再構成することが有効である。p37

    【生成変形文法「核文」「変形」by E. A. ナイダ】p40
    変形文法がもたらした最も意義深い洞察の一つは、全ての言語には6〜12ぐらいの基本構文があるだけであり、それらの基本構文(核文)に変形という操作を加える事によって、他のすべての複雑な文が作り出せる、ということである。これと逆の過程で、逆行変形とは、表面構造から、その底にある核文に還元してしまう分析の過程をいう

    【代名詞は切れ】p75
    ①代名詞は、前後関係から見て、誤解を生んだり、曖昧さが生まれたりする惧れがない限り、訳文からはできるだけカットする。
    ②どうしても表に出さなくてはならぬ場合(つまり、さもなければ誤解の生じる余地のある場合)には、安易に「彼」とか「それ」とかとするのではなく、むしろ元の名詞を繰り返すほうがよい。

    【関係代名詞を料理する方法】p98
    ①接続詞を補ってみる
    ②いったん切る
    ③分解、解体する

    (時制に関して)毛利可信教授「英語は知覚に沿って言語化が行われるのに対して、日本語では知覚という動作が行われたという過去の報告を言語化する」p158

    【受動態を訳すときの対応策】p192
    ①能動で訳す
    1. 自動詞で置き換える
    2. 主題提示の「は」を活用する
    3. 「誰も」を入れる
    4. 動作主を主語にする
    ②受け身のまま
    ③翻訳調を生かす

    日本語の情況論理的な特性からして、間接話法を訳す場合、「直接話法を生かす」ことが有効である。p228

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著者プロフィール

安西徹雄 (あんざい・てつお)
1933年、松山市に生まれる。
愛媛大学文理学部卒業。
上智大学大学院文学研究科博士課程修了。
英国バーミンガム大学シェイクスピア研究所留学。
上智大学文学部英文学科教授を経て、現在、上智大学名誉教授。
シェイクスピアを中心として英文学の研究・教育に
あたる一方、演劇集団「円」を拠点に演出を手がける。
著書
『シェイクスピア——書斎と劇場のあいだ』(大修館書店)
『シェイクスピア劇四〇〇年——伝統と革新の姿』(NHKブックス)
『仕事場のシェイクスピア——ある伝記の試み』(新潮社刊、現在、ちくま学芸文庫)
『この世界という巨きな舞台——シェイクスピアのメタシアター』(筑摩書房)
『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)
『彼方からの声——演劇・祭祀・宇宙』(筑摩書房)ほか

訳書
ピーター・ミルワード『イギリスのこころ』(三省堂選書)
ピーター・ミルワード『シェイクスピアの人生観』(新潮選書)
イアン・ウィルソン『シェイクスピアの謎を解く』(河出書房新社)
ピーター・ミルワード『愛と無—自叙伝の試み』(人文書館)
シェイクスピア『リア王』(光文社古典新訳文庫)ほか

「2007年 『愛と無 自叙伝の試み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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