新編 教えるということ (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 833
レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480082879

作品紹介・あらすじ

50年に及んで一教師として教育実践の場に立ち、退職後も新しいテーマを研究・発表しつづけている著者が、本当に"教える"ということはどういうことなのか、具体的な数々のエピソードを通して語った表題作「教えるということ」をはじめ、「教師の仕事」、「教室に魅力を」、「若いときにしておいてよかったと思うこと」を収録。プロの教師としてあるべき姿、教育に取り組む姿勢について、きびしくかつ暖かく語る。教育にかかわる人をはじめ、教育に関心をもつすべての人々、とくにこれからの社会を担う若い人々に贈る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 教えるということ。

    自分に厳しく、きっと最期まで前向きに、子どもたちに向き合ってきてくださった方なんだろうなぁと想像できる。
    戦後の焼け野原の中で、教室すらないところで、手作りの教材を子どもに与えたとき、待ってたとばかりに食いついて勉強し始めた子どもたち。それを見て、子どもは本来、成長したい、学びたいという欲求があるんだと気付いた。その欲求に応えるために教師が、環境を整え、どんな教材なら子どもの欲求に応えられるか、どんな風に教えたらいいか、を考えること、それが教師の仕事だ、と。
    ここに書かれていること、教師としての心構えは、時代が変わっても、変わらず大切なことであると思う。

    先生の仕事についての本だけど、どんな仕事にも通じる、プロとしてどうあるべきか、という心構えでもあると感じた。

  •  ずっと前に買ってあった本ですが、この週末、一気に読み切りました。内容は、研修会等で大村さんが実際に講演をされた記録が4本、もちろん校正はされているはずですが、お話しになった雰囲気がそのまま伝わってくる語り口で書かれているのが魅力です。

     教えるということ、教師の仕事、教室に魅力を、若いときにしておいてよかったと思うこと、同じテーマで自分が話すとしたらどんな話ができるのか、考えさせられました。どの話にも、大村さんの人柄や、教育に向かう真摯な姿勢がにじみ出ていて、同じ教育に身を置くものとしては、心が引き締まる思いでした。

     例えば、「静かにしなさい」と言うことがあります。場合によっては、ひっきりなしに言うこともあるでしょう。でも、大村さんは、「ほかの人が言うのと全然違うのです。心に冷たい涙を流し、慚愧にたえぬ思いなのです。能力がなくてこの子たちを静かにする案を持てなかったし、対策ができなかったから、万策つきて、敗北の形で〝静かにしなさい〟という文句を言うんだということを、私はかたく胸に体しています。」と書いています。こんな覚悟で教壇に立っていたのです。

     この本の中には、「未来を建設する」という表現が度々出てきます。
     p.88 教育の仕事とは何であるか-それは未来を建設する仕事なのだ、…
     p.96 やはり未来の建設に役立つ人間を確実に育て上げる人、育て上げようとしている人だけが教師なのです。
     なかなか言えないフレーズです。それだけ、心血を注いで教壇に立っていたということが分かります。

     最後に、こんな言葉がありました。
     p.198 子どもたちひとりひとりを、優劣を超えた、優劣のかなたの世界につれていって、そして、ほんとうの成長ということを、成長の喜びを知らせていくには、簡単に言えば単元学習の幅広さ、自由さでこそと思います。
     〝優劣のかなたの世界〟そんな世界を、教師だけではなくて、子どもも保護者も感じて欲しいと思いました。

  • 休校が明けしばらくして、「ようやく子どもたちを思い通りにできる」とでも言わんばかりの学校の雰囲気に、はま先生ならなんと言うだろうか・・・と再読。マインドを継承しながら、また違った形で進めていけたらと思う。

  • 教師の心得や意気込みみたいなものが語られている。超人として捉えていた大村先生がやっぱり超人なんだと理解を新たにすることができた。
    職業としての教師ではなく、教師としての人生を歩んできていた方なので、現代の働き方には合わないけど、一読の価値はある。教師の仕事はどうするべきか分かる。

    曰く
    優しいということは人としての大前提であり、それはウリにならない。子どもが好きということは教師として大前提であり、それはウリにならない。楽しいということは授業の成功ではなく、苦しくても成長を実感できる授業にすべし。

  • とにかく厳しい(笑)

    でも、『教える』という本質が詰まっています。
    時代が変わり、政治家が代わり、教育制度が変わる中、教師がするべき本質は変わらない。

    もう一度言う。すごく厳しい言葉(笑)

    今の教師はとにかく忙しい。
    この本に詰まった言葉を噛み締めて、でも自分を責めないで、読んで欲しいなと思いました。

    • QAZさん
      普通の会社員ですが、あみさんのレビューを見て読んでみようと思いました!
      普通の会社員ですが、あみさんのレビューを見て読んでみようと思いました!
      2018/06/20
    • あみさん
      ぜひ♪教えるっていろんな場面で活用できると思います♪
      ぜひ♪教えるっていろんな場面で活用できると思います♪
      2018/06/21
  • 2014年お気に入り本。
    時代的にどうかな?という懸念は、読み始めてすぐ杞憂だと悟りました。
    真理は不変、普遍ですね。
    教育に携わる者の必読書。教育の在り方に迷走し、教育体制も崩壊寸前の今、私たちはもう1度原点と根っこに帰って考えるべき。
    己の無知を知るとともに、だからこそ希望に燃えています☆
    購入して、ソウル本になるまで読み込みたい1冊。でも、大切なのはそこから自分に何ができるか。
    取っ付きにくいタイトルかもしれませんが、大村さんの講演がもとになっているので、実に読みやすく、心に染み込んできます。
    たくさんの方に読んでいただきたい本です。

  • 私が思っていること、望んでいることがズバリと書いてあり、何度も「その通り!!」と頷きました。とても平易な文章でわかりやすく書いてあり、そういうところも素晴らしい先生なのだなぁと思いました。
    「教師は専門職」と言い切り、子ども達を導く師としての心構えや姿勢が全編を通して書かれています。教師を目指す方々には勿論のこと、教育に携わる方、お子さんをお持ちの方に強くお薦めします!

  • ずっと現場で戦後から先生をやっていた、大村はまさん(女性)のエッセイ集。自分を超えて、次の時代を作っていく人たちに自分のできることを伝える、と考えて、生徒に教えている、と語っているところがとても印象的。
    「声帯を震わせずに本を読めるようにしてあげることの重要さ」など、知らないことも多くためになりました。いやー面白かった。

  • 叱咤激励されているような気持ちになりました。

    同じ国語教師としては、子どもの言語能力をあげるためには、日々の教材探しを怠らない姿勢に感服。
    そして、「子供は伸びたがっている」という言葉に勇気づけられました。

    日ごろ、静かにしない、興味を持たれない授業をしがち。
    叱りつけることが必要だと思っていたのですが、面白い授業、夢中になる作業を与えることが、教師の務めなのだと思いました。
    それも、面白さがきちんと中身のあるものとなっていて、子どもが自立して一人前になるための言葉の力をつけられるものじゃないといけない。

    それを「してあげた」というのじゃなくて、子どもが気付かないうちにそうなっているようにしてあげる。
    本当にいい先生というのは、思い出に残る先生じゃなくて、子どもが一人で歩める力へと導いてあげることなのだと実感いたしました。

    そのほかにも学ぶことは多かったです。

    とにかく、大村さんの自分自身への厳しさに胸を打たれました。
    教師が学ぼうとする姿勢が、子どもと同じ視点に立つことだと書かれていましたが、まさに、大村さんの学ぼうとする姿勢、つねに新鮮でいようとする姿勢は、私のような新米の教師の「学ぶ側」と同じ視点に立っていると感じられ、「この人のいう事なら聞ける」という気持ちにさせられました。

    わたしもいつまでも学ぶ姿勢を持つ教師でいたいです。

  •  なんと身の引き締まる本であることか。教職への思いを新たにしました。わたしも将来であった子どもたちに、こういう本を読んでおぼえるような感動を日々与えることのできる教師になりたいと強く思いました。
     「どのような単元構成にするかは、子どもにつけたい能力ありき」という考え方は、大村先生の弟子である世羅先生から学びましたが、改めてその考え方の根本にある子どもへの愛情を目の当たりにし、背筋がしゃんとしました。
     教師という職業はおそろしいです。社会の構造においてもっともおそろしい部分が学校にはある。だれもが当たり前のように学力競争になびき、優劣がパラダイムとなってしまっている。わたしたちはこれからそういう世界に乗り込んでいくのだということを忘れず、現在も、そして教育に関わり続ける限りにおいて、学ぶことをやめてはいけないのだと気持ちを新たにしました。
     そして、変わりゆく時代のなか、目の前の子どもたちに対して、数十年前に教壇に立たれていた大村先生の教えはあくまで参考に、わたしはわたしなりにまた次の世代へ希望を繋いでいかなければならない、創造していかなければならないと考えます。偉そうなことを言いますが、この本を読んで、わたしはそういう姿勢を持たなければならないと感じました。

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