資本主義を語る (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480083289

作品紹介・あらすじ

「ノアの洪水以前」から資本主義は存在した。その資本主義の中心にいるのは、はたして人間なのだろうか?「差異の原理」を分析しつつ、資本主義とは何か、そして日本独自の資本主義とは何なのかを解明するスリリングな論考。今村仁司・柄谷行人・網野善彦・水村美苗との四つの対談を併せ収める。

感想・レビュー・書評

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  • 1 資本主義と人間を語る(差異と人間;進化論と経済学;「法人」と日本資本主義;ニッポン人)
    2 『貨幣論』を語る(マルクスの逆説(今村仁司); 貨幣・言語・数(柄谷行人))
    3 歴史と人間を語る(「百姓」の経済学(網野善彦); 帰って来た人間(水村美苗))

    著者:岩井克人(1947-、渋谷区、経済学)
    対談:今村仁司(1942-2007、岐阜県、哲学)、柄谷行人(1941-、尼崎市、哲学)、網野善彦(1928-2004、笛吹市、日本史)、水村早苗(1951-、東京都、小説家)

  • 著者の講演やインタビュー、対談などを収録している本です。

    経済学と進化論の関係について論じた文章は、おそらくフーコーの『言葉と物』が下敷きになっているように思われます。

    『マルクスその可能性の中心』の著者である柄谷行人との対談では、かなり立ち入った議論に及んでおり、理解の行き届かないところがありました。著者の『貨幣論』と柄谷のマルクス論はかなり似ているように思えるのですが、対談中では両者の違いについて言及されています。たしか『貨幣論』では、貨幣の起源に関する2つの説、すなわち貨幣商品説と貨幣法制説が批判され、どのような起源であれ、貨幣が貨幣として流通するという事態が生まれたことが、貨幣とそれによって動いていく資本主義を創出したということについての考察がおこなわれていましたように記憶しますが、これに対して柄谷は、「起源」と「反復」に関する議論が経験的な水準で語られているのか、超越論的な水準で語られているのかという問題に、かなりこだわっているように見えます。「それじゃいったい、どういう語り方ができるの?」という疑問が出てきますが、これについては柄谷の『内省と遡行』から『探究Ⅰ・Ⅱ』に当たってみなければなりません。

    網野善彦との対談は、日本の中世における経済と産業の具体的な議論に基づきつつ、従来のマルクス経済学を超えていく契機が探られています。また、著者の妻である水村美苗との対談では、文学と日本社会をめぐって、比較的自由な議論が交わされています。

    『貨幣論』のようにかっちりまとまった内容ではありませんが、貨幣の問題を中軸にさまざまな領域へと伸びていく著者の思索の柔軟さに啓発されます。

  • 了。

  • 本書は『不均衡動学』の提唱者である経済学者岩井克人氏による、資本主義論です。

    第Ⅰ部において「資本主義」が語られていますが、その第一章で、岩井氏はマルクスにおいて断絶とみなされていた「商業資本主義」と「産業資本主義」を、「差異の原理」によって連続のものとみなすことから始めます。そして、そのような「差異」から捉え直した資本主義論を現在の「ポスト産業資本主義」へと展開していきます。

    面白いのは第二章で、資本主義論において「利潤」がどのようにして生まれるのかを「差異」から説明しようとした岩井氏は、当然今度は「差異」がどのようにして生まれるのかを説明しなければなりません。ここにおいて、岩井氏の「不均衡動学」なるものが登場するわけです。

    つまり、岩井氏は「利潤」は「差異」から生じ、「差異」は「不均衡」から生じるといっているのです。そしてその「不均衡」は「均衡」の例外として現れるものではなく、長期的に続いているものだと提言することで、ここにおいて岩井氏は主流の経済学と決定的に対立することになります。
    なぜなら、主流の経済学においては「均衡論」が支配的であったからです。
    こうした主流派に対して自己の経済学理論(特に不均衡の持続可能性)を主張する際に彼が援用したのが「進化論」でした。

    本書では、そのような岩井氏の「不均衡動学」および、そこから描き出される資本主義論を理解するにあたって非常にわかりやすいものとなっています。
    また、その他にも「法人」や「社会主義」への興味深い議論も収録されており、非常に平易で、読みやすく、かつ楽しめる本となっています。

  • 本書の構成は、前半部が著者による経済学(主に資本主義経済)にまつわる評論。後半部が、著者と当・他分野における著名人との対話が収録されている。
    自分は「経済学」に関して全くの素人でしたが、凄くわかりやすい内容でした。「商業資本主義」「産業資本主義」「ポスト産業資本主義」といった通時的なものだけでなく、経済学においてよく話題に上る「労働価値説」や「剰余価値説」等の基本的な観念が理解出来たように思われる。
    「経済学」と「進化論」との関連性という著者なりの着眼点が興味深い。また後半部は、様々の分野(日本近世史・現代思想など)との関わり合いが論じられていて、広範な知識の獲得が期待できる。

  • 文庫本です 安いです 読みやすいと思う まだ全部読んでないけど
    媒介としての貨幣があって、それが物事の交換速度を上げているということと(直接のやりとりがない分、変な感情とかが入らずんスマートに事が運ぶ)、媒介がモノでなくてはならないということがおもしろかった
    専門性はあまり高くないので、専門外の人でも気軽に読める(自分も専門外だし)そして楽しめる本だと思います。
    安いしね

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著者プロフィール

岩井 克人(イワイ カツヒト)
国際基督教大学特別招聘教授
1947年生まれ。東京大学経済学部卒業。マサチューセッツ工科大学よりPh.D.取得。エール大学助教授、ペンシルベニア大学客員教授、プリンストン大学客員准教授、東京大学経済学部教授等を経て、現在、国際基督教大学特別招聘教授。主な著書に『不均衡動学の理論』(岩波書店)、『経済学の宇宙』(日本経済新聞出版社)など。

「2019年 『資本主義と倫理 分断社会をこえて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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