- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480083777
作品紹介・あらすじ
独創的な幻想が綾なすファンタジックな世界-この幻想空間を描いて他の追随をゆるさない上田秋成『雨月物語』。それは、中国白話小説の用字や修辞を巧みに活用し、芸術的香気ただよう文章のうちに、主人公たちとその運命の悲劇的な情念世界をみごとに造形化した。貞女宮木、悪霊磯良、蛇精真女児らの悲しい運命を、作者の夢想的稟質と自覚的な方法が知的で美しい幻想小説に織りなしていく。この『雨月物語』の世界を、読みやすい本文とともに、語釈、現代語訳、さらには鋭角的な評を付しておくる。「訳注日本の古典」シリーズの決定版。
感想・レビュー・書評
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やっぱり古典は読むべきです。怪異譚として素晴らしい。特に「吉備津の釜」、「邪性の婬」が気に入った。京都に行った折、「仏法僧」に出てくる「悪ぎゃく塚」を尋ねて瑞泉寺を訪問しました。
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上田秋成の雨月物語を村上春樹の本で紹介されていたので読んでみた。
雨が降る日、もしくは月夜の日に幽霊や鬼などの怪談話が繰り広げられる内容である。
作者の上田秋成が怪談話という物語に乗せて、自分が思っている思いや考えを伝えているところが特徴的。
上田秋成の仕事は「町人」。江戸時代の職人、商人のことを「町人」というらしい。「貧福論」という章では、町人の上田秋成らしさが一番出ていた気がする。
現在の貧富は前世の行いによって決まるというのだから、もし前世の行いが良くて現在で富んでいるのであれば、現在も行いが良くなるはずだ
でも、実際には10人に8人は富を守るべく悪行をしている。
一方で貧しい人は前世で悪い事をしていたから貧しいとしても、昼も夜も一所懸命に働いている人もいて、それは善行だと言える。
では、結局貧富を分けるものは何なのか?とお金に(お金の神様や仏様ではないと本人がいう)問うのである。
お金はこう答える。
「私は人間のことは、金ゆえによくわからん。でも、1つ言えることはお金をどうやって使うのか?というのは、前世で良い行ったかどうかとかは関係ないという事だ。
どんなにお金を持っていても使い方を間違えれば、水のように高いところから低いところに一気に流れ出てしまう
お金を持っている・持っていないというのは技術の話であり、技術があるものはお金を集め、下手な人は集められない。
時の運を得たものが倹約し、節約して良く働けば自然と家は栄えていく。そこに徳があるとか、無いとかは関係ない。別の道理なのだ」
この文章は商人でもあった上田秋成だからこそかけた文章であるし、きっと書きたかった文章なのだと思う。
「良いことをすればお金が溜まる」
というのは人としての道を示す上では正しいかもしれない。実際、良い事をしてお金が溜まる世の中の方は、悪事でお金が溜まる世の中になるよりも社会的には良いからである。
しかし、実際お金の立場からすれば、「集まる所に集まるだけ」というシンプルな話なのだ。
そして、集まるような技術を身につけているかどうかがポイントだというのも、また事実だ。
大金を稼いだプロ野球選手が破産をした話があるように、どんなにお金を持っても使い方を間違えると破産の方向へ突き進む。
「時(時代)」を読んでお金を稼ぎ、それを上手く運用していったもの(貯金ももちろん含まれるし、節約も含まれる)がお金持ちになるのだという事を江戸時代に言っているのだから面白い
昔も今も、色々な話が出てくるけれど、本質は同じなんだとしみじみと感じた -
話は当然に面白いんだけれど評が読んで楽しくてかわいい
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何回も読みたくなる本。日本のファンタジー。
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近世中期の文人上田秋成の代表的作品。怨霊、亡霊、魑魅魍魎が登場する怪談集である。原文(書き下し文)で読んだが、やはり現代語訳では伝えられない微妙かつ繊細なニュアンスが感じ取れてよかった。話の内容もさることながら、その文体自体が作品の本質的な価値を発露を可能にせしめる機関装置であることを再三確認することとなった。話の残酷さ、恨みつらみ、その因果がもたらす結果の恐ろしさがひしひしと感じられる一方で、艶麗な表現技法に息を飲まずにはいられない、美しさがそこにはある。
では私も著者にならって、締めることにしよう。
雨霽れ月朦朧の夜、窓下に編成して、以て是を書き示す。 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18357
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA32896906 -
中国や日本の古典から題材を得た江戸時代の短編小説集。「雨月」に「物語」ときて、てっきりハーレクイン的な(あるいは『源氏物語』的な)ロマンスものだと思っていたけれど、本当は怪奇的で幻夢的な「雨」であり「月」だった。流麗な文章なので、原文でも十分に美しくダイナミックな情景が浮かび上がってくる。
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上田秋成(1734―1809)の短篇集
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【要約】
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【ノート】
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