日本文学史序説 (上) (ちくま学芸文庫 カ 13-1)

著者 :
  • 筑摩書房
4.08
  • (27)
  • (20)
  • (12)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 509
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480084873

作品紹介・あらすじ

日本人の心の奥底、固有の土着的世界観とはどのようなものか、それは、外部の思想的挑戦に対していかに反応し、そして変質していったのか。従来の狭い文学概念を離れ、小説や詩歌はもとより、思想・宗教・歴史・農民一揆の檄文にいたるまでを"文学"として視野に収め、壮大なスケールのもとに日本人の精神活動のダイナミズムをとらえた、卓抜な日本文化・思想史。いまや、英・仏・独・伊・韓・中・ルーマニアなどの各国語に翻訳され、日本研究のバイブルとなっている世界的名著。上巻は、古事記・万葉の時代から、今昔物語・能・狂言を経て、江戸期の徂徠や俳諧まで。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ばらばらに読んできた本がつながる。
    この本を一冊読むだけで日本史、思想史、文学史
    全てが網羅出来る良書。

    「社会にーその社会が小さくても、大きくてもーよく組み込まれた作家は、その社会の価値の体形を、批判することはできないし、批判を通じて超越することはできない。」
    (引用)

    文学とは何か、読書とは何かを考えさせられる。

  • 上巻だけで550ページの大作。17条の憲法から始まり、古事記、日本書紀、と万葉の時代から元禄までの著者が考える文学の歴史書。当時の時代背景や政治状況との関連から、それぞれの文献を読み解き、同時代の西洋の文献との比較。一般的な文学だけでなく、仏教や儒教までも含めたその文学的意義まで語る。その博識に感嘆しながら、それを論理的にまとめ上げた著作。読み上げるには努力が必要であるが、論理的まとまりがよいので意外と読みやすい。

  • p.2009/3/13

  • 心酔した。

  • 名著。
    生まれた時から日本で過ごしている自分の文化的思想を客観視できる感覚。
    気づけていない自分のパラダイムに気付ける。

  • 豊富な知識に裏打ちされた、良質な文学史。
    中でも、竹取物語の位置づけが、高畑勲の竹取物語とだぶって見えてとても興味深かった。高畑勲がいかに古典を良く研究していたかもわかる。
    高校までに学習したこてんのうらで生きていた人たちの息づかいを感じさせてくれる文学史。

  • 【目次】
    目次 [003-005]
    下巻〔内容〕 [006]

    日本文学の特徴について 009
    文学の役割/歴史的発展の型/言語とその表記/社会的背景/世界観的背景/特徴相互の連関について

    第一章 『万葉集』の時代 047
    『十七条憲法』から『懐風藻』まで/『古事記』および『日本書紀』/民話と民謡/『万葉集』について

    第二章 最初の転換期 125
    大陸文化の「日本人化」について/『十住心論』および『日本霊異記』/知識人の文学/『古今集』の美学

    第三章 『源氏物語』と『今昔物語』の時代 183
    最初の鎖国時代/文学の制度化/小説的世界の成立/女の日記について/『源氏物語』/『源氏物語』以降/『今昔物語』の世界

    第四章 再び転換期 273
    二重政府と文化/仏教の「宗教改革」/禅について/貴族の反応/『平家物語』と『沙石集』

    第五章 能と狂言の時代 349
    封建制の時代/禅宗の世俗化/仲間外れの文学/芸術家の独立/能と狂言

    第六章 第三の転換期 405
    西洋への接触/初期の徳川政権と知識人/本阿弥光悦とその周辺/大衆の涙と笑い

    第七章 元禄文化 461
    「元禄文化」について/宋学の日本化/徂徠の方法/白石の世界/『葉隠』と「曾根崎心中」/俳諧について/町人の理想と現実

    【下巻 目次】
    目次[003-004]
    上巻〔内容〕 [005]

    第八章 町人の時代 009
    教育・一揆・はるかな西洋/文人について/富永仲基と安藤昌益/心学について/忠臣蔵と通俗小説/平賀源内と蘭学者たち/梅園と蟠桃/本居宣長/上田秋成と国学者たち/歌舞伎と木版画/笑いの文学

    第九章 第四の転換期 上 147
    近代への道/国体と蘭学/詩人たち/日常生活の現実主義/町人の逃避/農民たち

    第十章 第四の転換期 下 233
    吉田松陰と一八三〇年の世代/福沢諭吉と「西洋化」/中江兆民と「自由民権」/成島柳北と江戸の郷愁/一八六八年の世代/露伴と鏡花/鈴木大拙と柳田国男/子規と漱石/鷗外とその時代/内村鑑三と安部磯雄/「自然主義」の小説家たち〈一〉/「自然主義」の小説家たち〈二〉/幸徳秋水と河上肇/有島武郎と永井荷風

    第十一章 工業化の時代 397
    一八八五年の世代/谷崎潤一郎と小説家たち/木下杢太郎と詩人たち/一九〇〇年の世代/マルクス主義と文学/芥川龍之介とその後/外国文学研究者と詩人たち/三つの座標

    終章 戦後の状況 503
    戦争体験について/「第二の開国」について/高度成長管理社会について

    あとがき(一九八〇年三月、於 上野毛  著者) [531-535]
    事項索引 [16-46]
    人名索引 [1-15]

  • [ 内容 ]
    <上>
    日本人の心の奥底、固有の土着的世界観とはどのようなものか、それは、外部の思想的挑戦に対していかに反応し、そして変質していったのか。
    従来の狭い文学概念を離れ、小説や詩歌はもとより、思想・宗教・歴史・農民一揆の檄文にいたるまでを“文学”として視野に収め、壮大なスケールのもとに日本人の精神活動のダイナミズムをとらえた、卓抜な日本文化・思想史。
    いまや、英・仏・独・伊・韓・中・ルーマニアなどの各国語に翻訳され、日本研究のバイブルとなっている世界的名著。
    上巻は、古事記・万葉の時代から、今昔物語・能・狂言を経て、江戸期の徂徠や俳諧まで。

    <下>
    日本人の心の奥底、固有の土着的世界観とはどのようなものか、それは、外部の思想的挑戦に対していかに反応し、そして変質していったのか。
    従来の狭い文学概念を離れ、小説や詩歌はもとより、思想・宗教・歴史・農民一揆の檄文にいたるまでを“文学”として視野に収め、壮大なスケールのもとに日本人の精神活動のダイナミズムをとらえた、卓抜な日本文化・思想史。
    いまや、英・仏・独・伊・韓・中・ルーマニアなどの各国語に翻訳され、日本研究のバイブルとなっている世界的名著。
    下巻は、江戸期町人の文化から、国学・蘭学を経て、維新・明治・大正から現代まで。

    [ 目次 ]
    <上>
    日本文学の特徴について
    第1章 『万葉集』の時代
    第2章 最初の転換期
    第3章 『源氏物語』と『今昔物語』の時代
    第4章 再び転換期
    第5章 能と狂言の時代
    第6章 第三の転換期
    第7章 元禄文化

    <下>
    町人の時代
    第四の転換期
    工業化の時代
    戦後の状況

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 難しかったけど興味深いと思った。本筋よりディティール重視で世俗的、という日本文学の特徴は今のソーシャルメディア(ツイッターとか)の流行にも通じるんじゃないかなとなんとなく思いました。

  • 「十七条憲法」に始まり、「日本書紀」がなぜ「古事記」からそう時を置かずに書かれたのか、各地の風土記に書かれている神話的な物語(浦嶋子など)に見られる情についてなど。
    上巻は日本で始めて町人風俗をリアリズムで描いた井原西鶴と、新井白石に終わる。

    儒教的価値観を得た作品は物語としての射程距離(というか物語そのものの可能性)を大きく伸ばした(「うつほ物語」「落窪物語」「源氏物語」のあたり)とか、今まで個々の作品しか観察してこなかった私にとってはなかなかスリリングで興味深い本だ。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

評論家。「9条の会」呼びかけ人。

「2008年 『憲法9条 新鮮感覚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤周一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×