戦争がつくる女性像: 第二次世界大戦下の日本女性動員の視覚的プロパガンダ (ちくま学芸文庫 ワ 4-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480085375

作品紹介・あらすじ

第二次大戦中、日本の軍部は戦時体制の中で女性をどのように位置づけていたのだろうか。またその役割へと女性たちを動員するために、国家・メディアはどのようなプロパガンダを展開したか。本書は、戦時下において160万部の発行部数を誇った「主婦之友」をはじめとする婦人雑誌の表紙や口絵の絵画作品を徹底的に検証し、「戦時文化」のイメージが女性をどのように戦争へ誘導していったかを解き明かす。もの言わぬ「母」たちの体験した大戦はどのようなものであったのか、新たな戦争史の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 戦時中の女性誌の挿絵や表紙を絵画史の中に位置づけようという意気込みは感じる。しかし女性の役割りについての結論は至って当然で、それの繰返しだから、壮大な遠回りという感じがする。

  •  第二次大戦中の女性雑誌に描かれた女性の姿、すなわち戦時下で求められた女性の理想像を分析することで、当時の社会や政府が女性をどう捉えどう扱おうとしていたかを考察している。

     著者のことは良く知りませんが、いわゆるフェミニストと呼ばれるタイプの研究者でしょう。時に感情を抑えきれないような記述もありますが、全体としては冷静な分析を重ねています。

     戦時下の女性に期待された役割は、子供を育て戦場へ送る母であり、傷ついた兵士を癒す看護婦であり、夫のいない家を守る妻であり、兵器を生産する工女であり、要するに武器を取ること以外の形で戦争を支援する存在だった──という結論は当然と言えば当然でもあります。

     特に意外性のある内容ではありませんが、あまり注目を浴びるテーマでなかったのは確かでしょう。こういう研究が論文ではなく文庫として出版されるのは良いことだと思います。

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著者プロフィール

若桑みどり (わかくわ・みどり):1935-2007年。東京藝術大学美術学部芸術学専攻科卒業。1961-63年、イタリア政府給費留学生としてローマ大学に留学。専門は西洋美術史、表象文化論、ジェンダー文化論。千葉大学名誉教授。『全集 美術のなかの裸婦 寓意と象徴の女性像』を中心とした業績でサントリー学芸賞、『薔薇のイコノロジー』で芸術選奨文部大臣賞、イタリア共和国カヴァリエレ賞、天正遣欧少年使節を描いた『クアトロ・ラガッツィ』で大佛次郎賞。著書に『戦争がつくる女性像』『イメージを読む』『象徴としての女性像』『お姫様とジェンダー』『イメージの歴史』『聖母像の到来』ほか多数。

「2022年 『絵画を読む イコノロジー入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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