時間論 (ちくま学芸文庫 ナ 8-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480086839

作品紹介・あらすじ

時間とは、"いま"が次々に姿を現しては過去へと消えていく流れである-こうした「一般常識」は、西洋哲学でも支配的だった。その「現在中心主義」というべき時間像においては、非日常的な長さや幅のない極小的"いま"が前提にされている。しかし、その前提自体が誤解なのだ。この誤解を解いていくと、むしろ、想起の対象としての過去との対比で、初めて"いま"が成立するという「過去中心主義」が迫り出してくる。人間を呪縛してきた「現在中心主義」に疑義をとなえ、時間とは何なのかを見つめなおす、新しい時間論。

感想・レビュー・書評

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  • ベルクソンやフッサールを現在中心主義におちいっていると批判したうえで、過去中心主義をとなえる。
    極小的な理論上の「いま」の連続をとらえることは時間をとらえることにならず、想起によってひとつ前の「いま」を排除し現在を獲得することで、時間が立ち現れるそうである。 内容はわかりやすかった。
    氏の思想を述べるなかで上記2名に加えてデリダやカントも紹介されるので、彼らの時間に対する考えも知れた。
    ただこれは別にこの書の批判というのではないが、時間論というのは思いのほか瑣末な議論なのだと感じた。どっちでもいいよ! なんていうのは哲学というか学問においてもちろん禁句なのだが、おもわずそういいたくなるようなものだった。

  • 今今今今
    って考えているうちに、三時間経ってしまった。
    今って考えた今は過去で、その今もすでに過去で、
    いつの間にか今はどうでもよくなってて、それでも今は持続している。

  • 難しい。難しい。後半の自由論・責任論と交わってきた辺りは比較的読めた。出直してきます。

  • 過去の成立を時間成立の根源的事態とする過去中心主義のおはなし。

    現在=「想起している時」、過去=「想起の対象の時」。時間認識は「想起」を中心に成立していて、想起によって一つ前の<いま>=過去を開示することが足もとの<いま>=現在を自覚することにつながる。現在だけに関心を持ち、現前の現象や最中の行為に時間の原型を求めようとすると時間はいつまでたっても成立しなくて、知覚できず想起によってしか到達できない時としての過去に視線を注ぐからこそ時間は成立する。

    現在と過去とが登場してこないような連続的変化はまだ時間じゃない。美しいメロディーに聞き入ってる時、一心不乱に読書してる時、僕らは時間のうちにはなくて、「時間以前の何か=X」のうちにいる。それが時間であるためには、一端過去に視点をずらして、そこで生まれた「時間」という概念を自らに適用して「現在」という意味を得る必要がある。

    <いま>はその都度の関心によって適当な幅をもった時で、前の<いま>と後の<いま>を区別できるからこそ<いま>であって、幅のない数学的点は意味を失う。物理学的時間は<いま>に無関心な時間だから、それは厳密には時間じゃない。

    時間の成立は単に客観的継起を測定することができる尺度の発見じゃなくて、現象の客観的継起に分節的な複数の<いま>を打ち込み、<いま>(現在)とその一つ前の<いま>(過去)という互いに相容れない時間的あり方を発見することにある。物理学的時間という客観的尺度のうちに、現在と過去を読み込むからこそ、僕らはそれを時間と了解しうる。

    何となく分かった気でいるけど実際どうかね。

  • 未読了。節読み。

  • 過去中心主義だって
    ふーんっすね
    大森とかフッサールとか批判してるけど、フッサール現象学の時間論のが好きです

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著者プロフィール

1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』, 『てってい的にキルケゴール その二 私が私であることの深淵に絶望』(ぷねうま舎)など.

「2023年 『その3 本気で、つまずくということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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