- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480087157
感想・レビュー・書評
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精神病患者を例に死と狂気についての考察がわかりやすく書かれていて人間の死に関する解釈のひとつとして面白く読めた
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死と狂気と歴史性と土着信仰と・・・・著者の分析眼はとても鋭い。精神科医ってこんなことまで考えているの?って感じがした。
と、同時に、恐ろしかった。狂者のコトバには本当に飲み込まれる感じがした。・・・ふぅ。
もうちょっと精神的に安定した時に再読しよう。 -
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面白かった。
重度の精神病の方たちと向き合ってきた精神科医の方が、言葉と生・死とかと狂気との関係などを書いたもの・・・だと思う。
言語新作とかに見られる、通常の言葉が失われることについての考察が面白かった。
私達が話している言葉は、他者である死者(この世の他者の殆どは死者だって書いていた)によって作られたもので、私達は死者が贈与する言葉を使っている。
生者たる主体が自己限定するのではなく、死者たちの言葉の力によって主体にしてもらっているそうな。
そういう死者という他者から完全に切り離された時、言葉はなくなってしまい、生の方向付けに必要なものの贈与を停止されてしまう。
そうなった時に、言語を主体的に取奪限定する機会を失った人は、今度は言葉を自力で創造していかなければならない。それがこの著者のいう「ネオ=ロゴス」であって、それは主体不在の閉鎖回路をめぐり続ける独語なんだそう。
ここには意識的な意図や無意識的な願望もなくなって、もっと深い、狂気に陥ったものの、人間としての最も原初的な力動が想定される。
はぁ…。
そうなのかな。
でも、新しい言語体系とか、言葉という他者とのつながりとか、何か何となくそうかもねって思えてしまうような話でした。
何か他者とか言葉とか贈与とか、めっちゃ精神分析的な言葉は沢山出てきたけど、この人はそれと死者を結びつけて考えたいんかな。むー難しい…。
鵜呑みにするつもりはないけど(まだもっと知らないと判断できないし…)、精神病と言葉の問題を考える新しい視点を見た気がする。