- Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480088383
感想・レビュー・書評
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シャーマニズムをめぐって世界中の「シャーマン」の事例を記述していく、宗教的な民俗誌。フレイザー的な博識の書で、おもしろいエピソードもたくさんあるが、全体としては読んでいて退屈だった。
そもそも、「シャーマン」「シャーマニズム」という語を、最初から何の疑問もなく呈示し、本来まったく異なるはずの文化圏をつぎつぎと横断しながら、人類に普遍のものとしての「シャーマニズム」概念を補強していくという流儀には、疑問を感じざるを得ない。
しかしまあ、(古代社会における)シャーマニズムが、世界の原初、人間と動物の区別がまだなく、天と地の区別も存在せず、あらゆるものが未分化であったようなアルケーの状態へと回帰するためのエクスタシー技術である、とする理解には共感する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感動した。心が震えた。震えた心が体の外側へ若干飛び出したんじゃないか。
上・下巻通じて、世界のほぼ全ての地域におけるシャーマニズムを言表している。
“こういう所作がなされている”ことを体系的に記録し、伝えるという著者の「仕事」に大変感銘を受けました。こうして書物化され、人々に知れ渡る。
どの地域でも「シャーマンの衰微」、いわば弱体化の傾向があるのですね。感覚的にも合点がいく。
そして(これが大きいことだと思うのですが)私たちが採用しがちな科学的手法、つまり理論とか客観的論拠でもって考量する方法とは明らかに異なる仕組みがシャーマニズムの世界には「在る」。確かに「在る」のだと、思い知るのです。
これから様々な祭祀に触れることになると思いますが、それらの意味を強く噛み締めていきたいと思う次第です。
また、芸術・音楽についても広義のシャーマニズムに他ならないという気が致しました。