奇想の系譜 又兵衛‐国芳 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (2004年9月1日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784480088772

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの画家の個性と作品のもつパワーが、相互に作用しているのが感じられます。1968年の雑誌連載をまとめたものとのことですが、古さは全く感じられず、むしろ新鮮な力を持った文章だと思います。

  • 都立美術館で行われた奇想の系譜企画展をきっかけに読みました!
    江戸美術が広まったきっかけとなった著書。大変楽しく読ませてもらいました。

  • 奇想の系譜を読み、『奇想の系譜展」を観覧してきた。
    個人的には岩佐又兵衛狙いだったのだが、本書を読んで思っていた感覚と実際に見た感覚には少し乖離があった。

    彼等は決して奇をてらってあた訳ではなく、時代背景や伝統からくる様々な制約という殻を破り、人々の生活や感情、もっと言えば人間の本質を描きたかったのではないかという事を強く感じた。

  • 日本美術史家の辻惟雄先生が40年ほども昔に書かれた名著。80歳を越えた大御所の先生にも若くて熱い頃があったんだなぁ、と微笑ましく読みました。この本が書かれていなかったら、今、これほどまでに江戸絵画に注目が集まっていなかっただろうと言われています。なにしろ、先生の筆の走ることといったら、スーパーカーのよう。今すぐにでも実物を見たくなる気持ちに駆り立てられる力に溢れています。
    先日、京都国立博物館でその奇想に身の毛がよだった狩野山雪も取り上げられていて、より興味深くその人物像を知ることができました。6人の中では岩佐又兵衛にもっとも興味がわきました。山中常盤、いつか、じっくりと見てみたい。

  • 著者の辻先生について、
    自分が結婚を世話した弟子に「早く身を固めろ」と言ったとか
    伊勢神宮で迷子になったとかの
    天然エピを目にしてからずっと気になっていた本。

    読んでみたら、面白かった!
    内容はもちろんなんだけど、語り口というか文章の切れ味にやられました。メロメロになりました。
    こんな文才迸ってる人が伝説級の天然ボケとは…萌えるじゃないか…

    取扱い作家は、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳。
    『日本美術応援団』が好きな人には絶対オススメ!

    へうげものには岩佐又兵衛が出てきますが、
    村木道重の子だっていうのは絶対へうげ設定だと思ってた。ゴメンナサイ。

  •  70年代にこの本を出したのは本当にすごいと思う。現在の若冲・蕭白ブームの立役者。(いいぞもっとやれ)
     あっさりすっきり地味にこぎれいにまとまって侘び寂びであることが特徴のように思われてしまいがちな日本美術ではありますが、決してそんなことはない! と判りやすく面白く導いてくれる入門書。

     そしてこれを読んだら、是非に是非に、近くの美術館へ出かけることを勧めたいのです。まったく違った世界がそこにはあるはずですから!

  • この本は歴史的な背景や位置づけをわかってないとホントの評価はできない。若冲などがすでに十分に再評価された現状においては、どの程度価値があるのか判断が難しい。<br>
    しかし解説を読むと、その価値は高そうだ。淡々と既知のことが書かれているように見えて、当時一般にはほとんど知られていなかったことであったりする。そこには著者と読者の知識に相当のギャップがあるのだろう。<br>
    自分には絵を見る目はないが、若冲の絵を見るにつけ、なぜかルソーを思い出していた。思いもかけず指摘された類似性に、案外的外れじゃなかったのかと嬉しくなったな。<br>
    あと、蕭白かっけぇ。<br>
    (2007/10/3)

  • あまりにも有名な辻惟雄による美術書。ほとんどの作家を事前に展覧会などで見てからこの本に行き着いたわけだけれど、面白い。なんだか、これを読んでて思ったんですけど、この人は写真家みたいですね。あくまで表現者は奇想の画家達なわけであって。けれど、こうゆう切り取り方をすると本当に面白いという。やっぱり、ある種の表現者なんじゃないかな。

  • 岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の作品紹介と評伝をまとめた本。1970年に、こうやって、このへんの画家をまとめて紹介したという功績は大きいだろうなと思う。俺が国芳とかを意識して見るようになった1982年くらいでも、まだ国芳の戯画のまとまった画集とかは無かったわけだし。若冲の入手しやすい画集なんて、未だに無いし、蕭白の画集も美術全集くらいしか見ない。しかし、この本に取り上げられている「奇想」の画家達に共通するのが、卓抜したテクニシャンであるというのが、何というか当たり前だけど面白い。「奇想」なんてものを形にするには、相当な技術が必要なのは当たり前というか前人未到に説得力を与えるのがテクニックというか、それを思い知らされる。日本画のイメージって、未だ固定的な気もするから、この本の役割はまだ終わってないのだと思う。

  • p.2025/2/22

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著者プロフィール

東京大学名誉教授/多摩美術大学名誉教授

「2021年 『日本美術の歴史 補訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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