奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 755
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480088772

作品紹介・あらすじ

意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルム-近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。本書は、奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、"異端"ではなく"主流"の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ!図版多数。

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの画家の個性と作品のもつパワーが、相互に作用しているのが感じられます。1968年の雑誌連載をまとめたものとのことですが、古さは全く感じられず、むしろ新鮮な力を持った文章だと思います。

  • 都立美術館で行われた奇想の系譜企画展をきっかけに読みました!
    江戸美術が広まったきっかけとなった著書。大変楽しく読ませてもらいました。

  • 奇想の系譜を読み、『奇想の系譜展」を観覧してきた。
    個人的には岩佐又兵衛狙いだったのだが、本書を読んで思っていた感覚と実際に見た感覚には少し乖離があった。

    彼等は決して奇をてらってあた訳ではなく、時代背景や伝統からくる様々な制約という殻を破り、人々の生活や感情、もっと言えば人間の本質を描きたかったのではないかという事を強く感じた。

  • 日本美術史家の辻惟雄先生が40年ほども昔に書かれた名著。80歳を越えた大御所の先生にも若くて熱い頃があったんだなぁ、と微笑ましく読みました。この本が書かれていなかったら、今、これほどまでに江戸絵画に注目が集まっていなかっただろうと言われています。なにしろ、先生の筆の走ることといったら、スーパーカーのよう。今すぐにでも実物を見たくなる気持ちに駆り立てられる力に溢れています。
    先日、京都国立博物館でその奇想に身の毛がよだった狩野山雪も取り上げられていて、より興味深くその人物像を知ることができました。6人の中では岩佐又兵衛にもっとも興味がわきました。山中常盤、いつか、じっくりと見てみたい。

  • 著者の辻先生について、
    自分が結婚を世話した弟子に「早く身を固めろ」と言ったとか
    伊勢神宮で迷子になったとかの
    天然エピを目にしてからずっと気になっていた本。

    読んでみたら、面白かった!
    内容はもちろんなんだけど、語り口というか文章の切れ味にやられました。メロメロになりました。
    こんな文才迸ってる人が伝説級の天然ボケとは…萌えるじゃないか…

    取扱い作家は、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳。
    『日本美術応援団』が好きな人には絶対オススメ!

    へうげものには岩佐又兵衛が出てきますが、
    村木道重の子だっていうのは絶対へうげ設定だと思ってた。ゴメンナサイ。

  • この本を手に取ると、はじめての研究の題材に国芳を取り上げたいと言った時の先生の苦笑いを思い出す。

    この本は、学生時代にはじめてまともに読んだ日本美術の本だ。
    なんとなくの興味で決めた配属先“芸術学研究室”で、研究テーマを決めるために図版をめくっていたら、
    国芳の浮世絵に目を奪われた。
    その文献として、最初に手に取ったのがこの「奇想の系譜」だった。

    辻惟雄のこの著書は、それまで日本美術史においてあまり評価されていなかった
    岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳らを「奇想の画家」として取り上げ、
    再評価をうながした本として有名な一冊だ。

    わたしがこの本を手に取るころには、上記の画家たちは日本美術史のなかで主役級の座にすわり、
    この本も美術史を学ぶ上での基本の一冊として定着してしまっていた。

    その有名さゆえ、まずこの本を選んだのだが、
    美術史の知識などまったく持ち合わせていない当時のわたしが読んでも、この本はおもしろかった。
    日本の美術に少しでも興味のある人、ひねくれたものやヘンテコなものが好きな人なら、
    特別な知識がなくても十分に楽しめると思う。
    芦雪の虎や、国芳の三枚続きスクリーンの怪物は、今見ても目を見張るものがある。

    日本の美術に関心のある人にはぜひ読んでほしいし、
    興味関心を広げるはじめの一冊としてもオススメしたい。
    しかし、それだからこそ、この本で日本美術史に興味をもったなら、
    これまで美術史の本流とされてきたものに目をむけてほしい。
    1970年、この本を読んで目からウロコをおとした人々と同じ感動を味わうために、
    また、「奇想」の「奇想」たる所以を知るために。

    わたしは相変わらず不勉強なので、まだこの本のほんの一部も理解できていないのかもしれないが、
    3,4年ぶりに読んだこの本に、再び新鮮なおどろきをもらった。

    自分の裾野が広がるたびに、何度でも楽しめる一冊。

    図版がカラーでないのが残念。
    できれば、傍らに大きなサイズの図版をおいてみるのがオススメ。

  •  70年代にこの本を出したのは本当にすごいと思う。現在の若冲・蕭白ブームの立役者。(いいぞもっとやれ)
     あっさりすっきり地味にこぎれいにまとまって侘び寂びであることが特徴のように思われてしまいがちな日本美術ではありますが、決してそんなことはない! と判りやすく面白く導いてくれる入門書。

     そしてこれを読んだら、是非に是非に、近くの美術館へ出かけることを勧めたいのです。まったく違った世界がそこにはあるはずですから!

  • 若冲や蕭白のブームの火付け役はこれが犯人。
    あまりに奇怪でグロテスクで異端・・・そんな理由から疎まれ忘れられた(と言っても過言では無い)江戸時代の画家達に再評価を与えた。その後の長沢蘆雪や伊藤若冲や曾我蕭白の注目のされ方といったら、まるで手のひらを返した様。
    著者の辻惟雄も、もはや日本美術史の大権威。
    この本はそうした偉大な功績があるのです。

    内容に触れてみますと、若冲も蕭白も研究がそれなりに進んだ現在になってみると、内容は普通のように思えなくもない。「あ、知ってるわー」みたいな。
    しかし、繰り返しますがこの著書がこうした研究の端緒であるのです。(ちょっと盛ったかも)

    確かに若冲は、まさにthe most eccentric artist in Japan!!yeah!!とでも評したくなるような本当に面白い画家だと個人的には思います。ってことはぼくも知らずのうちに多くこの著書の恩恵にあずかっているということでしょう。

  • この本は歴史的な背景や位置づけをわかってないとホントの評価はできない。若冲などがすでに十分に再評価された現状においては、どの程度価値があるのか判断が難しい。<br>
    しかし解説を読むと、その価値は高そうだ。淡々と既知のことが書かれているように見えて、当時一般にはほとんど知られていなかったことであったりする。そこには著者と読者の知識に相当のギャップがあるのだろう。<br>
    自分には絵を見る目はないが、若冲の絵を見るにつけ、なぜかルソーを思い出していた。思いもかけず指摘された類似性に、案外的外れじゃなかったのかと嬉しくなったな。<br>
    あと、蕭白かっけぇ。<br>
    (2007/10/3)

  • あまりにも有名な辻惟雄による美術書。ほとんどの作家を事前に展覧会などで見てからこの本に行き着いたわけだけれど、面白い。なんだか、これを読んでて思ったんですけど、この人は写真家みたいですね。あくまで表現者は奇想の画家達なわけであって。けれど、こうゆう切り取り方をすると本当に面白いという。やっぱり、ある種の表現者なんじゃないかな。

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著者プロフィール

辻 惟雄(つじ・のぶお)
一九三二年愛知県生まれ。東京大学文学部美術史学科卒業。東京大学大学院博士課程中退。美術史家。東北大学教授、東京大学教授、多摩美術大学学長、千葉市美術館館長、MIHO MUSEUM館長などを歴任。現在、東京大学、多摩美術大学名誉教授、MIHO MUSEUM顧問。
主な著書に、『奇想の系譜』『奇想の図譜』(ともにちくま学芸文庫)、『日本美術の歴史』(東京大学出版会)、『奇想の発見:ある美術史家の回想』(新潮社)、『辻惟雄集』(岩波書店、全六巻)、『若冲』(講談社学術文庫)ほか。


「2019年 『十八世紀京都画壇 蕭白、若冲、応挙たちの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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