日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.86
  • (169)
  • (209)
  • (160)
  • (26)
  • (12)
本棚登録 : 2482
レビュー : 219
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480089298

作品紹介・あらすじ

日本が農業中心社会だったというイメージはなぜ作られたのか。商工業者や芸能民はどうして賤視されるようになっていったのか。現代社会の祖型を形づくった、文明史的大転換期・中世。そこに新しい光をあて農村を中心とした均質な日本社会像に疑義を呈してきた著者が、貨幣経済、階級と差別、権力と信仰、女性の地位、多様な民族社会にたいする文字・資料の有りようなど、日本中世の真実とその多彩な横顔をいきいきと平明に語る。ロングセラーを続編とあわせて文庫化。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 刺激的な本だった。この先生の説から大いに刺激を受けている隆慶一郎の著作を読むときの様な興奮を読みながら感じる。同時期にニューズウィークに掲載されている「コロンビア大学特別講義」を読んだ事もその刺激をより強めてくれた様に感じる。歴史がいかに作られ、残されていくか。グラック教授の授業を読めば、この本で語られた、かつて当然のように認識されていた日本人や日本についての歴史が全く違った真実を埋もれさせていたという事がちっとも不思議ではない。網野史観は今でも議論があるというが、全く違う方向から光を当てたとき、「歴史」とされているものに起きてくる大転回は、歴史の教科書から士農工商が消える、といった程度のレベルではない。歴史は古代から作られ、様々な思惑から選んで遺され、また新しい発見がある。そしてこれからも作られていく。

  • 歴史音痴の私が言うのはおこがましいですが、大変素晴らしい歴史の本です!
    お百姓さん=農民と教わってきた歴史教育の大きな間違い。
    また非人については、神仏に使え世の中の穢れを清める特殊な力を持った人々と言う位置付け。
    あー、短い時間では書ききれない…あー…うー

  • あまりにおもしろいので再読したくらい。
    網野善彦さんは、日本中世が専門の歴史家だ。この本の内容も中世を舞台にしている。
    非定住の海洋民や様々な職能民たちの活躍。貨幣と商業・金融の発達。これら非農耕的な側面を軸にいままでの日本社会像を覆してくれる。
    読みながら思わず唸った。
    日本は農耕社会で海に隔てられた孤島というイメージだったが、この本を読むとその認識が間違いだったことが分かる。
    日本の歴史はこんなにもダイナミックだったのかと驚く。
    歴史好きな人はもちろんそうでない人にも是非読んで欲しい。

  • これまでの日本史観に新しい光を投げかけようという試みの本。
    研究が進めば違う知見も出てくるので、我々一般人も心を研ぎすませ、真摯に向かい合わなければならない。

    素人の哀しさか、網野先生の仰る前提と結論に飛躍を感じてしまう所もこの著書には時々あり、その間を埋める勉強をしていかなければならないと思った。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「その間を埋める勉強を」
      それこそ網野善彦が望んだコトでしょうね・・・
      「その間を埋める勉強を」
      それこそ網野善彦が望んだコトでしょうね・・・
      2012/09/05
    • 和音さん
      コメントありがとうございました。
      頑張って精進します。
      コメントありがとうございました。
      頑張って精進します。
      2012/09/05
  • 被差別階級と百姓についての認識が改まる。資本主義と、国体が相反するという観点で海運や、一向一揆を捉えると、歴史の見え方がまた変わって見えるだろうと思う。学生時分歴史は苦手だったが、ああ、なるほど、ストーリーが合理的でないからただの暗記になってしまっていたのだと納得。刺激的な本でした。

  • 何となく被差別民だと思っていた穢多・非人が、元は権力者に隷属する特別な「畏れ」多い民だというのは納得できるが、何故差別されるようになったかについては残念ながら明らかにはされなかった。続編の中心となるキーワード「百姓」も農民と同義と思っていたが、本書のように説明されるとその解釈に無理があることが納得できる。人の営みが農業一本で自給自足ができると考えることのほうが非常識だったんだ。また、陸上交通よりも海(水)上交通が実質的な幹線であったという論旨は明快である。

  • 本の内容よりも著者の網野 善彦氏に興味を持ちました。

    旧家の蔵に眠る古文書を丁寧に読み込み、「百姓は農民だけを指すのではない(山民、漁労、海運、、、も百姓に含まれる)」といった事実を探り当て、それをもとにして歴史をよみなおす(日本史を再構築する)姿に感銘を受けました。

    本書は読みにくく、とても時間がかかったので著者の別の本を読みたいとは思いませんが講演聴きたいなーと思ったら 2004年にお亡くなりになっていました。残念なり。

  • 語り口調なので、読みやすかった!

    日本人の持つ日本のイメージに、本当にそうだろうか?という、投げかけをしている。
    百姓という言葉と、日本は農業中心社会であるというイメージ。
    また信仰や差別、女性の立場など、時代の変遷と共にどう変わっていったかが見えやすく説かれている。

    個人的には、平仮名と片仮名の扱われ方の項も面白かった。
    口頭のものを記述する際に使われてきた片仮名。寺院関係の文書に多く使われているという。
    江戸時代には一般には用いられなかったものが、明治時代になると多用されるようになる。

    筆者自身の及ばないところまでの断定はしないという、そういう姿勢も好ましく思う一冊。

  •  20年前からのベスト&ロングセラー。
    常識は疑われなければならないし、学び続けなければならないということを改めて知らしめる一冊。例えば、中世・近世の日本が決して農業社会ではなかったということ。人口の90%が「百姓」であったが、「百姓」=「農民」というのは近代が解釈した間違いであったということ。もともと「百姓」は百の姓、つまり市井の一般の人々をさす言葉だった。漁民も森民も商人も工人もすべて「百姓」であった。そういうことが、ここ数十年の研究でわかってきた。そんなことがいくつもいくつもあって、こんなに鱗があるのかと思うほど、目から鱗が落ちた。
    新しい研究の成果を長い間知らずに、かつて学校で学んだことをそのまま真実だと信じて生きてきたここ数十年。すでに真実ではなくなったことをあたかも真実であるように話、発言をしてきたんだうろなーと思うと恥ずかしい。もっと早く読んでおくべきだった。

  • 正直、あまり読みやすい文章ではなかった。でも、内容はとても面白く、歴史という過去の事でさえも、立ち位置を変えて見つめてみると、まったく新しい世界が見えてくるということを実感した。

    自分が子供の頃は、穢多・非人などという表現は差別用語として習った。当然ながら、子供の頃は、それは人を蔑む表現だと受け取り、子供同士のけんかの時には、相手をののしるときにも使ったりもした。
    でも、それも史実のひもとき方によっては、まったく違う存在として浮かび上がる。
    また、百姓という言葉から、日本人の大半がほぼ同じようなイメージを持つと思うが、それもまた、本書を読むと、違って見えてくる。

    実際の所、著者自身の検証も執筆時点では途中であるので、終始歯切れの悪い表現になっているのだが、仮に間違いがあったとしても、こういう歴史の見方は、とても面白い。

全219件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1928年山梨県生まれ。東京大学文学部卒業。都立北園孝行教諭、名古屋大学文学部助教授、神奈川大学短期大学部教授、同大学経済学部特任教授を歴任。専門は日本中世史、日本海民史。著書に『日本中世の非農業民と天皇』『無縁・公界・楽』『異形の王権』『蒙古襲来』『日本の歴史をよみなおす』『日本社会の歴史(上・中・下)』『「日本」とは何か』『歴史と出会う』『海民と日本社会』ほか多数。2004年逝去。

「2018年 『歴史としての戦後史学 ある歴史家の証言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)のその他の作品

網野善彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
川端 康成
J・モーティマー...
ウィリアム・ゴー...
有効な右矢印 無効な右矢印

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)に関連するまとめ

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする