暗い時代の人々 (ちくま学芸文庫)

制作 : 阿部 斉 
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 150
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480089380

作品紹介・あらすじ

レッシング、ローザ・ルクセンブルク、ヤスパース、ヘルマン・ブロッホ、ベンヤミン、ブレヒト…自由が著しく損なわれた時代、荒廃する世界に抗い、自らの意志で行動し生きた10人。彼らの人間性と知的格闘に対して深い共感と敬意を込め、政治・芸術・哲学への鋭い示唆を含み描かれる普遍的人間論。『全体主義の起源』、『人間の条件』、『革命について』といった理論的主著を側面から補うにとどまらず、20世紀の思想と経験に対する貴重な証言として読まれるべき好著。

感想・レビュー・書評

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  • この本は完全に文芸評論で、レッシングやらヤスパース、ディネーセンなどを個々に拾い上げて評していく。従ってアーレントの<思想>はストレートに語られることなく、ときおり鋭い視点も見せるものの、さほど重要な書物という感じは受けなかった。
    巻中ではブロッホ、ベンヤミン、ブレヒトを論じた各章が比較的面白かった。
    ベンヤミンのくだりでカフカのことも結構触れられているが、そこが一番興味を惹いた。カフカだけで一文書いて欲しかった。

  • アレントがアイザック・ディネッセンについて書いている。『アフリカの日々』⬅︎映画愛と哀しみの果て、の原作。

  • 同化されたユダヤ人の自己欺瞞が、通常自分たちはドイツ人と同じようにドイツ人的であり、フランス人と同じようにフランス的であるとする誤った信念であったのに対して、ユダヤ知識人の自己欺瞞は自分たちが「祖国」を持たないと考えているところにあった。彼らの祖国は実施にはヨーロッパだったのである 。

  • 著者と同時代に生きた人物を含む10人の評伝。
    前半は何とか読み進めることができたが、ブレヒトの章で頓挫。あまりに難解な文章に、しばらく読み進めることができなかった、もちろん、ブレヒトの章については、ほとんど理解できていないと思う。
    特に頁が割かれているのは、ヤスパースとベンヤミン。
    ヤスパースは著者の師匠筋であるから当然であろうが、ベンヤミンについては、あともう少し運命の歯車のいたずらを辛抱できれば生き永らえたであろうという無念さが、ベンヤミンへの愛情溢れる文章となっていると思われる。
    ベンヤミンの著作も、少しだけ読んで積ん読状態となっているので、これを機会に読み直してみたい。

  • ローザルクセンブルクが1人の女として何を考えていたのかを読むと、今のイスラムやロシアとの西側諸国の対立などは種類の違う闘争に見えても根本は変わらないように思えてならない。

  • ヤスパースの項目では、ハイデガーのユダヤ人差別意識を暗に批判している記述がある。しかし、原文の英語は難しい単語が多く使われているだけでなく、ドイツ語が透けて見えるような文体で、やはりドイツ語で考えて英語に置き直したのかと思わせられるところがある。

  • 著名な政治哲学者であるH.アレントが、「人物」について語った文章を集めた評論集です。W.ベンヤミンやK.ヤスパースのような有名な哲学者も登場する一方で、英語版のWikipediaにも掲載されていないマイナーな人物も取り上げられています。

    ただならぬテンションを持つ著者の作品の中では、ちょっと異質な感じがする一冊です。弔辞など、パーソナルな動機から書かれた文章が多く、読者に対して何かを強く訴えかけるような勢いはあまり感じられません。

    H.アレントといえば『人間の条件』(ちくま学芸文庫)が何かとよく引き合いに出されます。しかし本書は、『人間の条件』のような抽象度の高い議論とは少し風合いが異なっており、個々の人物の生き様に集中的にまなざしが向けられて、話が進んでいきます。

    ローザ・ルクセンブルクに関する文章が印象に残っています。名前は聞いたことがあるけれど・・という人物でしかありませんでしたが、本書をきっかけにドイツ革命やスパルタクス団蜂起などの歴史を改めて調べてみました。彼女は現代ドイツ史の中で、きわめて強い存在感を放っています。また日本政治史の大事件とも通底するような、ある種のセンスを持ったひとだと言えるかもしれません。

    本書では自らの思考を「体系化」することにあまり重きを置いていませんので、『人間の条件』を読んでいまいちピンと来なかったという方であっても、逆におもしろく読めるかもしれません(ただし著者独特の言葉遣いや、分かりにくい翻訳という問題は同じように存在します)。

    そして本書の白眉といえば、どうしても以下の言葉に尽きます。

    "真理と人間性との間の関係についていわれてきた最も深遠なことは、レッシングの次の文章の中に見出すことができます。それはかれの全作品から知恵の凝集した言葉を抽き出したもののように思われるのです。

    JEDER SAGE, WAS IHM WAHRHEIT DUNKT, UND DIE WAHRHEIT SELEBST SEI GOTT EMPFOOHLEN!

    (各人は自分が真理と思うことを語ろう、そして真理それ自体は神にゆだねよう)"(P.56)

  • 和図書 283.04/A68
    資料ID 2013200606

  • ユダヤ人思想家による人間論。主にユダヤ系の知識人に焦点をあてる。20世紀前半は戦争と差別の時代だった。増幅した権力は暴力へと成り変わり人間の尊厳を打ち砕く。この時代の中でも信条を貫き抜いた人々の尊さをアーレントは冷静に客観的に分析する。彼女の拘りである公的領域の視野で、個々の人格から時代と世界を写し出す。ここで選ばれたのは特別な人達だ。多数の人間はもっと弱く、私的領域の中で個人を守ることに固執する。例え小さな意識を変革できたとしても行動を伴うことはとても難しい。このジレンマは一層深まるばかりに現代に至る。

  • いつも難解な文章を書くアレントやけど、第1章「暗い時代の人間性」は、アレントの政治思想のエッセンスをぐっと凝縮させた内容になっている。これと『責任と判断』を読んだ後に『人間の条件』にいくといいのかも。
    それとローザルクセンブルクのマルクスの資本論の読み方があまりにも凄く、そこも震える。ベンヤミン、ブロッホ、ブレヒトはやはり難解で・・・笑。あとは知らん人ばっかり。

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