てつがくを着て、まちを歩こう: ファッション考現学 (ちくま学芸文庫 ワ 5-2)

著者 :
  • 筑摩書房
3.57
  • (17)
  • (24)
  • (50)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 512
感想 : 35
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480089878

作品紹介・あらすじ

ケータイ電話が日常のコミュニケーションの主流となり、現実とヴァーチャルな世界との境界がかぎりなく曖昧なものになりつつある今日、ファッション、モードの世界はかつての規範から解きはなたれた人びとの思い思いの「てつがく」の交響の場となっている。目まぐるしく変遷するモードの世界に、変わることのない肯定的眼差しを送りつづけてきた著者のしなやかなファッション考現学。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 良い本だった! ファッションそのものというか哲学の本で、時代に廃れぬまなざしがある。身にまとうものを含めた自分というおしだしについての哲学。
    その人がそのまま表出されているすがたというのが一番魅力的なんだと語るような場面(ちょっと受け取り方に語弊があるかもしれないけど)が何度となくあって印象的。あるがままのシワとか、そのひとの人生史(時間の澱という言葉が心に残る)をいつわらぬ顔というものに価値を見いだすこと、それはやはり豊かだよな、かくありたいね、と思える。
    そしてなにより言葉選びがつくづくツボで、非常につやっぽい。読んでて無性にどきどきした。乾いた肌に湿り気を取り戻すような読書体験だった

  • エッセイ形式で読みやすい、ファッションにまつわる哲学本。
    旅先とかでも読みやすいかも?

  • 印象⇔表現

    いき=諦めと意気地と媚態が織りなす綾のこと

    はずし=かっこよさ

    104 身体の象徴的切断

    125 メルロポンティ「まなざしによる触診」

    196 椎名林檎

    装飾過剰・演出過剰→らしさ→らしさの台無し

  • わー!おもしろかった!
    モード(ファッション)論ですが、身体についてもかなり触れているので身体論としても興味深いです。
    私は大学の身体論をほとんど理解できなかった人間だけど、この本だとおもしろい視点がどんどん入ってきたので、理解が深められた気がする。

    そしてことば使いがとてもきれいで、読んでいて気持ちがいい。漢字とひらがなのバランスがすごく好きな感じだった。

  • 服装が身ごなしを誘導しているという話が印象に残っている。社会的に女性にされていく過程のなかに、服装による影響があることはわかっていたんだけれど、ふるまいへの強制力には気づいていなかった。

  • てつがくを着て、まちを歩こう
    2020年2月29日読了

    何冊目かの鷲田清一の著作。パッと見に白い文章分かりやすい文体で書かれているためサクサク読めました。

    私たちはじぶんのことが一番見えない。

    じぶんの顔は鏡を通してしか見られないし、身体のパーツにも見ることが叶わない箇所がある。それは当たり前なのだけど、当たり前すぎて忘れてしまっていること。

    だからこそ、他者と全く違うことを怖がる。

    じぶんの顔を常に他者に晒しているにもかかわらず、じぶんでは見ることができない。だから他者の目線や評価が気になるのだ。

    他人と全く同じファッションを嫌がる一方で、全く異なることも恐れるというなぞ。それを以上の理由をもって説明されていて、とても納得しました。


    一番気になった一節を引用します。

    『一分の隙もない人は、尊敬されても魅かれない。不幸の影がぜんぜんないひとはうすっぺらに見える。百パーセント男性の人、あるいは隅から隅まで「女」そのもとであるようなひとはどうしてもマンガになってしまう。逆に、なにかになろうとしているのに、それを裏切るものを同時に分泌してしまう、そういう対立を秘める人は、危なっかしくて目が離せない。つまり気を惹くのだ。』

    どちらか一方ではない、矛盾を内奥した存在、つまり人間臭さを感じる人物ってことじゃないかなぁ。そんなゆらぎがあって、かつそれを楽しめる人間でありたい。

  • 少し前のファッション考現学の本。八ヶ岳リゾナーレのbooks&cafeで目に止まり。ファッションに興味のない自分なので、雰囲気の力って怖い。そういえば代官山蔦屋も無駄に本買わせるな。 女性の認知症の進行を止めるための化粧セラピーの話題から、「他人の眼にうつるじぶん、それへの関心を失うとき、ひとはおそらくじぶんへの関心をも失う。」おっしゃる通り。耳(目)が痛い。

  • ファッションとは、自己の表現であるとともに、他人へのホスピタリティの表出であるとの考え方に激しく同意した。

  • 2000年前半に書かれている本なので
    今現在と比較するとあーそうそうあったわ、そうゆうことも。とか
    懐かしいような
    それでいて、ごもっともと思うこともしばしば。
    自分に一番遠い自分とか。
    鏡越しで見ないと自分を見れない自分がいて
    でも自分以外の人からは自分がよく見えるって。
    当り前なんだけどごもっとも。
    化粧もファッションもなんだかんだでそうゆうことよね、って。
    誰かに承認されたいし自分はこうです!っていう理想とか。

  • 随分前に購入して、積読になってた本。
    購入したきっかけはなんだったかなー…。

    収録されている文章が書かれたのは90年代なので、ファストファッションが隆盛を誇っている現代から見ると「へー」「ほー」という感じ。

    引用も参照。

全35件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

鷲田清一(わしだ・きよかず) 1949年生まれ。哲学者。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鷲田清一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×