フ-コ-・ガイドブック: フ-コ-・コレクション (ちくま学芸文庫 フ 12-8)
- 筑摩書房 (2006年11月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480089977
作品紹介・あらすじ
我々が生きている時代を考えるために必要な知の枠組を、根本から変革した20世紀最大の思想家フーコー。本書は、その壮大な思想のエッセンスを集約した必携ガイドブックである。『狂気の歴史』『言葉と物』『知の考古学』『監視と処罰』など主要著作のブックガイドとキーワード解説、フーコー自身が執筆した講義要旨11年分を収録。波乱にみちた生涯を詳述した年譜を付す。『フーコー・コレクション』各巻をはじめ、フーコーの著作を読みたいひとのための、ここから始める一冊。
感想・レビュー・書評
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フーコーコレクションの補遺として、翻訳者による主要著作の概要と、フーコーによるコレージュドフランスの各年度講義要旨、生誕から死までの詳細な年譜が付いている。フーコーコレクション1〜6は新聞雑誌論文集『思考集成1〜10』からの抜粋である。概念解説つきの主要著作概要も良いが、フーコーの研究の狙いがわかる講義要旨が特に面白い。
以下メモ。
『狂気の歴史』…デカルトの懐疑が非理性として排除した狂気は、ヘルダーリン、ニーチェ、ゴッホ、アルトーで復活する。狂気とは、理性や真理など歯牙にもかけず、それ自体として存在するような他者。
『言葉と物』…認識と対象の基礎となる知、エピステーメーの時期を、ルネッサンス、古典主義、近代に分ける。
ルネッサンスは類似(適合、競合、類推、共感)認識と模倣表現。類似は無限に連鎖され錯誤になる。
古典主義はデカルト的な比較、分類、演繹。数量・軽量的な知マテーシスと分類による知タクシノミア。意味は世界の秩序の構成の中にある。
近代は時間の変数を導入し、歴史、系列、関連により特徴の恒常性を見出す。
後期近代としてフーコーは、言語学、人類学、精神分析といった反科学性を示唆した。
『知の考古学』…言語活動として言われたこと・書かれたこと(エノンセ)の集合体で、生産に規則性を与えているのが言説(ディスクール)、その時代的集合であるディスクール編成は、エノンセの保存・制度化(アルシーヴ)によって成立する。
『監視と処罰・監獄の誕生』…死権力である前近代の公開処刑は真理を生産し権力を誇示する。生権力である監獄は精神処罰とし、規律訓練により身体を活かす。同時に学校・工場・兵舎・病院でも規律訓練は行われ、従順な身体を生産する。監獄は矯正訓育には失敗しているが、非行者を固定的に再生産することで、犯罪を0にするのではなく、扱いやすくしている。規律訓練により権力は内面化され、近代的人間が鋳造される。非行者を切り離し、安全を使った管理型権力に繋がっていく。
『性の歴史』…「性について語ることは、口にできない恥ずべきことであるが故に真理である」とする西洋文明を、キリスト教の告解から精神分析の移行にに見る。
『思考集成』…『講義集成』主要著作以外の記事や講義によって遡行的にキーワードを読み解ける。生政治は、人口の安全を目的とする政治メカニズム。統治性は、政府の統治のみならず、操舵、指導、司牧などの広がりを持つ。
これらの概念は、権力論から自由主義を再定義する概念である。真理の誤謬を人間の本質と捉えるニーチェの認識を、フーコーはエピステーメー、装置などで標定し、自己や主体への配慮も道徳の系譜を継承している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フーコーの主著の解説、コレージュ・ド・フランスでの講義の要旨、とても詳しい年譜を収録。著作を読む前に目を通しておくと、なんとなくの見通しは良くなると思う。機会をみて挑戦してみたいのだがなかなか。
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p.2006/11/17
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フーコーについて勉強したくて、図書館で借りまくった内の一冊。
フーコーの主な著作の概要はダイジェストで知っていたし、本そのものは(完成されすぎているがゆえに)かなり難解なのだが、本を書くモチベーションが講義録からわかる珍しい書籍。
この本を読み終わったのでもう一度著作に戻ってみたい。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/738491 -
フーコーの概観がわかる。
ただ中山元著の「フーコー入門」の方が入りとして丁度いい。
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フーコーのおさらい、です。
フーコーが亡くなったのが、1984年6月。
死後30年。
わたくしがパリにいたのも同じ年。
あれから、30年。
フーコーのおさらい、
それから、私自身のおさらい。
(2014年2月22日)