西洋中世の男と女: 聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫 ア 25-2)

著者 :
  • 筑摩書房
3.90
  • (10)
  • (7)
  • (13)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 128
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480091024

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • AK2b

  • 新書文庫

  • 現代の日本とは「常識」が異なる中世ヨーロッパの性や結婚への考え方は、非常に興味深いものでした。歴史に関する本を読むたびに、「今の常識がいつでも通用すると考えてはいけない」というのを実感します。

    最終章で取り上げている、アベラール(ペトルス・アベラルドゥス)とエロイーズに関する阿部先生の分析が、とても印象的でした。

    アベラールの「自分の師の間違いも容赦なく指摘する」という姿勢も、エロイーズの「愛の快楽を悔いる気にはなれないし、記憶から消し去る気にもなれない」という考え方も、とても近代的です。どちらかというとエロイーズの考え方のほうが、アベラールより新しいと思います。

    さらに、エロイーズは過去の2人の愛を振り返って生きるばかりではなく、女子修道院の運営についても合理的に考え、アベラールに質問を投げかけています。本当に優秀な女性なのだと思いました。

    エロイーズの著作が残っていたら、どのように彼女が物事を考え、書いていたか、読んでみたいと思うくらいです。この本によると、中世ヨーロッパでは女性のほうが教養があった(読み書きができる)とのことなのですが、残念ながら、日本のように女性が書き著したものはあまり現存していないようです。もったいないなあ、と思います。

    ※ 読み終えてから感想を書くまでに、非常に間が空いてしまいました。

  • 西洋中世の研究家が西洋中世の「聖なるもの」について、男女の愛、娼婦といった面から肉迫している。キリスト教の禁欲ドグマが社会を覆っていた時代に生きていた人々(例えばアベラールとエロイーズ)がいかなる行動をとったか。そして、その行動は果たして現代とどれほど同じなのか。そういったことをこの本は明らかにしてくれている。

  • 哲学者アリストテレスの背にまたがる妻


  • 教授におねだりして買っていただいた本です。
    今でもたまに当時の研究を思い出して読みます。

  • 西洋中世の男女について知りたかった。阿部謹也さんの本はどんどん読んでいきたい。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1935年生まれ。共立女子大学学長。専攻は西洋中世史。著書に『阿部謹也著作集』(筑摩書房)、『学問と「世間」』『ヨーロッパを見る視角』(ともに岩波書店)、『「世間」とは何か』『「教養」とは何か』(講談社)。

「2002年 『世間学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿部謹也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウンベルト エー...
ミヒャエル・エン...
宮部みゆき
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×