西洋中世の男と女: 聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫 ア 25-2)
- 筑摩書房 (2007年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480091024
感想・レビュー・書評
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AK2b
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新書文庫
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現代の日本とは「常識」が異なる中世ヨーロッパの性や結婚への考え方は、非常に興味深いものでした。歴史に関する本を読むたびに、「今の常識がいつでも通用すると考えてはいけない」というのを実感します。
最終章で取り上げている、アベラール(ペトルス・アベラルドゥス)とエロイーズに関する阿部先生の分析が、とても印象的でした。
アベラールの「自分の師の間違いも容赦なく指摘する」という姿勢も、エロイーズの「愛の快楽を悔いる気にはなれないし、記憶から消し去る気にもなれない」という考え方も、とても近代的です。どちらかというとエロイーズの考え方のほうが、アベラールより新しいと思います。
さらに、エロイーズは過去の2人の愛を振り返って生きるばかりではなく、女子修道院の運営についても合理的に考え、アベラールに質問を投げかけています。本当に優秀な女性なのだと思いました。
エロイーズの著作が残っていたら、どのように彼女が物事を考え、書いていたか、読んでみたいと思うくらいです。この本によると、中世ヨーロッパでは女性のほうが教養があった(読み書きができる)とのことなのですが、残念ながら、日本のように女性が書き著したものはあまり現存していないようです。もったいないなあ、と思います。
※ 読み終えてから感想を書くまでに、非常に間が空いてしまいました。 -
西洋中世の研究家が西洋中世の「聖なるもの」について、男女の愛、娼婦といった面から肉迫している。キリスト教の禁欲ドグマが社会を覆っていた時代に生きていた人々(例えばアベラールとエロイーズ)がいかなる行動をとったか。そして、その行動は果たして現代とどれほど同じなのか。そういったことをこの本は明らかにしてくれている。
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哲学者アリストテレスの背にまたがる妻
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教授におねだりして買っていただいた本です。
今でもたまに当時の研究を思い出して読みます。 -
西洋中世の男女について知りたかった。阿部謹也さんの本はどんどん読んでいきたい。