スタンツェ―西洋文化における言葉とイメージ (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480091314

作品紹介・あらすじ

たとえば「メランコリー」。フロイトやラカンら近代の精神分析学により「対象」と「所有」の病理とされ研究対象となったこの病は、中世の修道士の無気力に発し、「狂気」「欲望」「並外れた詩人」という極端な矛盾を孕む黒胆汁の気質と考えられ、デューラーの作品に結晶する。中世の物語や恋愛詩、エンブレムや玩具、ダンディズムや精神分析、それらは言葉とイメージがつむぎ出した想像と忘却の変遷の保管庫=「スタンツェ」である。西洋文明における豊饒なイメージの宝庫を自在に横切り、欲望・感情・言葉のみならず欠乏・喪失が表象に与えてきた役割をたどる。21世紀を牽引する哲学者の博覧強記。

感想・レビュー・書評

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  • なにかとヴェールに包まれているヨーロッパ中世。
    残されている歴史資料も当然少ない。それゆえ、残されている資料の解読も難解にならざるをえないが、アガンベンは鮮やかな手つきで、「難解な」中世の恋愛詩を、プラトン・アリストテレスに発するプネウマ理論をもとにひもといていく。その過程にもっとも興奮。前々から怪しいとおもっていたロマン主義が、いかに浅はかなものであったかが実感できもした。

    かつて、精神の対義語は、物質ではなかった。身体ですらなかった。精神(精気 プネウマ)は理性と身体を媒介する中間項としてあった。読みながら、ものすごく東洋的だと思った。それもそのはず、忘れられたアリストテレスがアヴェロエスを介して西洋に逆輸入されたことじたいそうだ。アリストテレスを介した中世の表象理論は、厳密とはとうてい言えない漠としたものだけれど、その理論は、ベルクソンの『物質と記憶』にまで綿々と続いていることに気がつき、ヨーロッパは建物のみならず、過去の遺産をどれほど大切にしているかを実感。そういえばベルクソンの博士論文は、アリストテレスの場所論に関する内容だったような。

  • 1324夜

  • なんという衒学的な(笑) 好きだけどね、こういうの。

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著者プロフィール

1942年生まれ。哲学者。マチェラータ大学、ヴェローナ大学、ヴェネツィア建築大学で教えた後、現在、ズヴィッツェラ・イタリアーナ大学メンドリジオ建築アカデミーで教鞭をとる。『ホモ・サケル』(以文社)、『例外状態』(未來社)、『スタシス』『王国と栄光』(共に青土社)、『アウシュヴィッツの残りのもの』(月曜社)、『いと高き貧しさ』『身体の使用』(共にみすず書房)など、著書多数。

「2019年 『オプス・デイ 任務の考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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