- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480091451
作品紹介・あらすじ
言葉とは何か?根源的で正解のないこの問いに真正面から取り組んだ、もっとも明晰な入門書。記号学・言語学研究の第一人者である著者が、言葉という永遠の謎に迫る。言葉はものの名前ではない。"表現"であり"意味"である。では"意味"とは何なのか-ソシュールをはじめとする言語学研究の軌跡を紹介しつつ、具体的な例を駆使し、平易な語り口で、伝えがたいことをできるかぎり噛み砕いて解き明かしてゆく。言語学、記号学、ソシュールに関心をもったとき、まず最初に読むべき一冊。述語解説、人物紹介、参考図書案内付き。
感想・レビュー・書評
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「言葉とは何か」を突き詰めて考えことはなかった。
言葉とは対象を認めるために必要な道具ぐらいにしか。
本書によって業務で扱う「定義」としての「言葉」をどのように扱うべきかを理解できるようになった(気がする)。
仕事において「ソシュール」というキーワードが出てきた。
よし読んでみるか!と気合を入れて図書館で探すと2000ページを超えていた...ら本書と出逢う。
言葉とは「物の名前」でもなければ、「既成の意味や概念を指さす記号」でもない
言葉は一つの体系をなしている。
言葉とは、バラバラに寄り集まった、互いに何の結びつきも持たない個の集合体ではない。
言葉の持つ価値は、その体系の中で占める位置と大きさだけによって決定される。
わかってきた。
自然界に存在する事物を指さす言語は日本語とフランス語ではズレが有り、日本語の体系とフランス語の体系の中にある他との関係差異によって示された記号であるということ。(私まとめ)
日 本 語 |木 |森|
フランス語 |arbre|bois |
結論は、読んで良かったです。
大学生は読んでおくべき言語学だと思います。 -
ソシュール言語哲学の解説書。
フランス哲学、構造主義の流れで辿り着いた。これまで、認識論や分析哲学ばかり追いかけていたので、考えの枠組みを概観でき刺激になった。ただ、本質は緻密な分析にあるはずで、その本質的・作業的な部分をすっかり隠してしまっているので、このような考え方を進める土台となる言語そのものを扱う作業を誰にでも再現できる、というものではない。 -
とてもわかりやすく、丁寧にまとめられたソシュール入門書。言語というのは意味や対象を表現する二次的なものではなく、言葉は表現すると同時に意味付けるものであり、他の意味付けられた言葉との相互作用によって対象が恣意的に揺らぐものだと語り口調で解説してくれている。また、導入として言語と文化の話から入っていくが、そこでは言語とはひとつの文化的視点そのものであり、異なる言語を学ぶことは異なる文化からの視点を獲得することだと指摘することで他文化に「かぶれ」過ぎてしまうことへの警鐘をきちんと鳴らしていることも信頼できる。
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とてもわかりやすく、読んでいて面白いソシュール入門の本だった。しかしこれだけわかりやすく解説されていても、言葉と世界との(そして人間の)相互規定性を理解できない人はきっといるに違いない。人間は言葉がなければ世界を認識できず、世界がなければ言葉が生まれず、そして人間は、その緊張関係の中で偶然(人間にはランガージュが必然的に伴うことを考慮すれば決して偶然ではないが)生まれた言葉の上に制約されていると同時に、唯一作り替えることのできる存在である。ふとしたきっかけでソシュールと丸山が言わんとしていることを理解できたとき、世界は全く異なった様相を見せるはずである。すでにソシュールの思想について部分的に知っている人にとっても、頭を整理するのに最適な書ではないかと思う。
それに引き換え、やたらと長い解説の出来の悪さは際立っている。蛇足以外の何者でもない。 -
シニフィアンとシニフィエの図が、言葉の意味にある
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丸山圭三郎によるソシュール言語学の紹介。わかりやすく
書かれ、簡単な人物紹介・術後解説・参考図書案内も収録
されており、格好の入門書である。何となくぼんやりと
わかった気でいるソシュールもいずれきちんとやっつけない
と、だな。 -
んー、まだ掴めてない。
ソシュールの超絶基礎的な考えは読み取れた気がする。
言葉はあるものごとを示すためのものではないということ。
言葉によって意味は作られているし、意味によって言葉は作られている、相互作用の中にある。
どちらかが無くなったら成立し得ない。 -
カテゴリ:図書館企画展示
2018年度第1回図書館企画展示
「大学生に読んでほしい本」 第1弾!
本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。
木戸功教授(人間関係学科)からのおすすめ図書を展示しています。
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2018年4月16日(月) ~ 2018年6月15日(金)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース
大学生のころ、30年くらい前になりますが著者のファンでした。構造主義言語学の祖ソシュールの研究で名高い著者の『ソシュールの思想』(岩波書店)をずいぶん時間をかけて、それでもなんとか読了しました。事物がありその名称としての言葉があるのではなく、誤解をおそれずに端的にいうならば、言葉が事物を、そしてそれら事物たちからなる現実をつくりだしているのであるというアイデアに初めて出会ったのが著者の著作でした。 -
とてもわかりやすく、読みやすかったです。「言語の恣意性」という言葉を聞いたことがないレベルの初心者向け。
そして解説と術語説明が本文と同じくらいある。
言語の恣意性、ラングとバロール、シニフィエとシニフィアン、言語学の授業で習った源流が、ここにある。偉大なソシュール。
言葉は事物のラベルではない、人々が話す言葉と共通項としての言語を切り離す、音素と意味素の発見、今は当たり前だと思うけど、当時には革命的な発想だったのだろうと改めて感じた。
そしてその思想を日本に持ち込み、解説した著者もすごい。次に「ソシュールの思想」を読もうかなと思いました。 -
内容は本当に基本的なもので、言語学の門外漢が最初に読む本という感じ。コンパクトで分かりやすく、後ろに用語集や読書案内などもついていて、よりレベルの高い本を読むときに傍に置く基本書としても使えそう。
言語能力は二足歩行能力などと違って生物的に自然な能力ではないという。すごい。人間の進化だけ異常過ぎないかという思いが加速する。
ソシュールの体系という考え方については、これが近代思想のパラダイムシフトを起こした概念かという感慨があった。言葉と認識についてもう少し深く知りたいと思った。
「言語に先立つ観念はなく、言語が現れる以前は、何一つ明瞭に識別されない」(ソシュール)106p
このへんに国民性があるようですね。
このへんに国民性があるようですね。
国民性というのは1年レベルではない蓄積のうえで成り立っているから本当の理解は数年その土地に住んでみないと理解できないんだろなーと
国民性というのは1年レベルではない蓄積のうえで成り立っているから本当の理解は数年その土地に住んでみないと理解できないんだろなーと