経済政策を売り歩く人々: エコノミストのセンスとナンセンス (ちくま学芸文庫 ク 17-1)
- 筑摩書房 (2009年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480092076
感想・レビュー・書評
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頭のいい人の書く本を読むと頭が良くなった気がするとはよく言われるが、まさにピッタリの本。これまでサプライサイド経済学を典型として、経済学者の言うことは全く当たらないし、経済学は役に立たないと思ってきてが、クルーグマンの本を読んで、初めて経済学者に感服した。なるほどと思うことばかり。
しかし、こんなに頭のいい人でも思い通りにならない経済というのはなんだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
90年代の作。ノーベル賞をクルーグマンが受賞したから文庫本で、筑摩が出版した旧作の再版。
とはいえ、クルーグマンのマクロ経済上の政治的立場を明らかにして、米国の保守派、政府は民間経済に介入しないことを旨とするマクロ経済学派を70、80年代、90年代と通観している。
政策を売り歩く人は、TVに頻繁に出演してマクロ経済を語る人、は米国でもかなり多く、またそれが御多分にもれず、胡散臭いものになっているという点は、日本でも同じ、だ。
政策を売り歩く人たちのマクロ経済学派、レーガン時代のサプライダー経済学、クルーグマンによるとこの経済学を信奉している経済学者はほとんどいないとのこと、でたらめな理屈。マネタリズムのフリードマンの理屈の紹介には、ニューケインジアンであるクルーグマンからの批判がある。
ルーカスの合理的期待形成学派へのごく当たり前の批判、リアルビジネスサイクル学派への批判、またquwerty経済学の誕生とその限界などの指摘など、一般書としては特異な方にはいる経済学派紹介の本となっている。
素人にとっては、専門家の間での思潮の潮流が概観でき、また、それらの理屈も紹介し、国際貿易の観点から理屈や簡単なモデルをつかって、それらの間違いを指摘してくれているので、納得がいく仕組みなっている。そこが啓蒙家としても、クルーグマンの人気のあるところなのだろうと思う。 -
文庫化!
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1470円購入2010-11-18
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タイトルに惹かれて借りたが、いかんせん原書発刊年が1994年と古く読む気があまり湧かず。
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あまり興味の持てない内容だったので、読んでて眠かった(´・_・`)
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経済学の勉強をしたくなる本。
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再読。
アメリカ経済がいかに政策プロモータに振り回されてきたかのお話。景気と同じように流行の経済理論があって、ヒステリックに左右に振れて、日本も例外なくサプライサイダーのような主張が流布したりする。
ただ、官僚の力が強いのか、魅力的なプロモータがいないせいか原因は色々あるにせよ、比較的影響が小さく思えるのは幸いなるかな。
最近の自称評論家は、90年代までに議論し尽くされたような経済論争やら単純な誤解なんてものからさえ、一段下がったレベルの議論が多すぎるのでは…。 -
95年に書かれた本の文庫版。
60年代から90年代にかけて左右に振れる米国の経済政策。それら政策を推したのは経済学者とゆうよりかは政策起業家とでも言うべき人たちであった。サプライサイダーや戦略的貿易論者などなど。
ケインズ理論をコミュニティのベビーシッターで説明したのはわかりやすい。また財政出動が民間が支出を抑制し金融緩和が現金保有を増加させるだけの「流動性の罠」に陥ったとき必要であることも理解した。
また予想された金融政策は意味をもたないとする合理的期待仮説、物価が長期成長率と整合的に安定するように一定率で貨幣量を増加させ、タイムラグのあるその他政策はいらないとするマネタリズム。それぞれの理論とともにデータを示し現実との整合性も議論する。また米国の生産性の低下も様々な観点から論ずる。
財政赤字のもたらすものやサッチャリズム、ユーロの前身についても触れている。
そして新しいケインズ経済学の紹介。限界合理性や不完全競争の市場ゆえに政府の介入が有意義たりうること。偶然性を強調するQWERTY経済学、不況も自然で最適な活動と捉えるリアルビジネスサイクル理論やえせ科学のようなサプライサイド経済学などなどの解説と戦略的貿易政策が間違っていることの証明。国際経済学において生産性と違い競争力とゆう言葉が無意味であること。
そして経済の二大問題、生産性の低下と貧困層の拡大。これは日本にもそのまま当てはまる。解決しようとすべきではない、だが問題の程度を軽くするために財政赤字を減らし、無意味でムダな規制の改革。子供たちに栄養を与え、母親たちに医療を提供し、教育の充実のため支出すべきであること。また最後に誤った政策が正しい政策を駆逐する恐れについて述べたあと、学者の役割は良質なアイデアを蓄積することにある、希望を持とうの言葉で締める。
とにかく学ぶことが多すぎる一冊。 -
エコノミスト5/19号では逆にクルーグマン教授が取り上げられていますが、
さておき、本書は楽しく読了できます。
しばらく経済学関係書籍を読み進めたいと思います。