音楽機械論――ELECTRONIC DIONYSOS (ちくま学芸文庫 ヨ-1-10)
- 筑摩書房 (2009年8月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480092274
作品紹介・あらすじ
1984年、東京-思想界、音楽界の巨人が音楽・文化について語りあった。坂本の創作現場に吉本が立ち会い、デジタル・シンセサイザーなどを用いた最先端の作曲手法を坂本が解説する。そこでは音楽が作品として屹立していく様が丁寧に描かれ、同時にモードが変わりつつある文化の時勢を見極め、未来を予測する先見的な対話が紡がれた。既成概念が壊され、技術革新による新時代到来を予見できた時代の、出色のドキュメント。巻末に1984年を振り返る、坂本への文庫版特別インタビューを収録する。
感想・レビュー・書評
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吉本隆明×坂本龍一の音楽にまつわる対談本。タイトルから受ける印象で、私自身 理系脳が断絶していると半ば確信しているため読み切れる自信が無かったが、思っていた以上に分かりやすくとても純粋な発想からのお2人の会話が面白く2日程度で読み切ってしまった。
「1984年、思想界、音楽界の巨人が音楽・文化について語りあった」というキャッチコピー。
吉本氏は詩人であり評論家である(
吉本ばなな氏の父)。音楽に詳しくないそうだ。そんな思想界の巨人と、インタビュー当時は1984年ということだから、YMO散開後、戦メリ出演を果たした後の教授=音楽界の巨人の語らい。高度な思考を持つ人達の異文化交流は、互いにとても探求に純粋で真摯。頭の良い人達のリスペクトし合う関係性、傾聴、対話、会話の間のような瞬間にとても心を打たれた。
中でも、教授が事前にリストアップしておいた音源を、吉本氏が事前に聴き、その感想を自身が取ったメモを見ながら教授と意見交換する章は、にやけるほどに面白い。
そして、音楽に疎いという吉本氏の、私からは発想もしえない角度の音楽の聴き方、解釈、純粋な疑問に目から鱗がバラバラと。一瞬にして視野がぐわぁぁんと広がった。凝り固まった視野に改めて気付かされる。非常に楽しい読書体験だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若かりし日の坂本龍一が音楽制作の現場を見せながら吉本隆明と語り合う軽い本。
わりかし若いころから解体して考えてたんだなぁ。 -
とても素晴らしい本。
吉本隆明という人を知らなかったが(後で調べてすごい人だとわかった(笑))、対談の中での質問がとても優れていると感じた。
音楽に関しては、それほど詳しくないと言いながらも要所要所で優れたツッコミを入れている。
また、それに対して的確に応える坂本龍一もさすが。
優れた人物たちによる優れた対談といえる。 -
1984年に坂本龍一と吉本隆明が対談した時の記録。25年も前の話なのに、未来を予見する内容には驚嘆。吉本氏を自分のフィールドに引き込む坂本氏の楽しそうな様子が良い。(図書館)
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坂本龍一と吉本隆明の音楽対談録。教授が、音楽には門外漢であった吉本氏を自分のフィールドに招き、作曲までさせてしまう。音楽の批評家はいないという教授の指摘は鋭い。
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2009年10月-読了
四半世紀前の1984年、坂本の創作現場に吉本が立ち会い、当時先端の電子機器を用いた作曲手法を坂本が解説、
音楽が作品として屹立していくさまが具に描かれ、モードが変わりつつある文化の時勢、未来を予測する先見的な対話が紡がれた。 -
十年ぶりに再読しましたが、吉本隆明が音楽が苦手な人で、言い回しも難しい人なので、全体的に難しい本になっている印象です。
しかし、文庫化の際に巻末に収録された坂本のインタビューを読むと「なるほど」と腑に落ちる部分も多いです。また数年後に読むとおもしろさも変わりそうな気がする、伸びしろのある本だと思います。 -
<blockquote>坂本 つまり、日本人というのは、音楽とか芸能に対して、底まで強い意味を持って新入してきて欲しくないというか、そういう気持ちが強いんじゃないかな。つまり、アイドルにしても、そんなに歌が上手くないぐらいの方がいいというか、それ以上は強すぎちゃって、もう進入しすぎちゃって、それはもうちょっと困るという。</blockquote>
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【要約】
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【ノート】
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