隣の病い (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 139
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480092663

作品紹介・あらすじ

病いへの深い洞察と患者への共感に満ちた珠玉のエッセイ集。新たな着想の展開を試みた「時間精神医学の試み」や「難症論」、平明な言葉で解き明かされる「統合失調症の病因研究に関する私見」や「サリヴァンの統合失調症論」、周到な観察が思わぬ姿を描き出す「霧の中の英国経験論」や「ハンガリーの旅」、近代史を卓抜な視点から瞥見した「引き返せない道」や「1990年の世界を考える」、災害と社会の相関を論じた「阪神大震災後四カ月」や「災害と危機介入」、そして著者の多彩な内面を物語る「現代ギリシャ詩人の肖像」や「詩の音読可能な翻訳について」など39編のエッセイを収める。

感想・レビュー・書評

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  • 0円購入2012-02-02

  • 「精神科医がものを書くとき」の分冊。小出版社の編集者が、著作集などから漏れていた、あちこちの機関紙などへの寄稿文までもを探し出して編んだ一品である。

    例えば「クラス会に出る」というありふれた主題の文章、一千字程度の医事新報新年号に掲載される自由題の随筆。そんな、いわば雑文までもが目を瞠るキマリようなのである。ヨーロッパ各国の旅行記が含まれているのが、割と目新しいテーマとして面白く読んだ。

  • シリーズ一巻よりこちらの方が、読むのに骨が折れた。 より専門的知識が求められる話題が多く、また、最後の章のギリシャ詩人の話などよほど、興味のある人でないと理解できないでしょう。

    しかし、阪神大震災後の復興にかかわる話もあり、現在の東日本大震災では、精神病に対するケアの話を寡聞にしてあまり聞かないだけに、どうなっているのか改めて考えさせられた。

  • ちくま学芸文庫の中井久夫さんのエッセイシリーズで、読み残していた最後の一冊。
    2ページなど、非常に短い文章が集められていて、バラエティに富んでいる。さすが、何を読んでもあいかわらず鋭い知性がきらきらと輝いているし、学識の広さに驚く。
    巻末のほうには現代ギリシャ詩についても詳しく書かれている。
    このように卓抜した知識と鋭利な思考をもっていながら、理論そのものに深入りせず、「臨床医」としてのスタンスを決して逸脱しないところが中井さんの凄さだ。「治療」という技術へすべて生かされてゆくのだから、精神医学上の多様な諸説も折衷的に取り入れられる。
    こんなに該博でしかもバランスの取れたお医者さんも、そうそういないだろう。

  • 共時性とアトピーの話が興味深かったです。

  • 精神科医の著述集。各方面で発表した著述を取りまとめ、この本で1本化した。
    精神病に関すること、学術論文、エッセイ、紀行文、詩の翻訳、などがある。

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著者プロフィール

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県生まれ。2022年逝去。京都大学法学部から医学部に編入後卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学名誉教授。公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構顧問。著書に『分裂病と人類』(東京大学出版会、1982)、『中井久夫著作集----精神医学の経験』(岩崎学術出版社、1984-1992)、『中井久夫コレクション』(筑摩書房、2009-2013)、『アリアドネからの糸』(みすず書房、1997)、『樹をみつめて』(みすず書房、2006)、『「昭和」を送る』(みすず書房、2013)など。訳詩集に『現代ギリシャ詩選』(みすず書房、1985)、『ヴァレリー、若きバルク/魅惑』(みすず書房、1995)、『いじめのある世界に生きる君たちへ』(中央公論新社、2016)、『中井久夫集 全11巻』(みすず書房、2017-19)

「2022年 『戦争と平和 ある観察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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