化学の歴史 (ちくま学芸文庫 ア 32-1 Math&Science)

  • 筑摩書房
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480092823

作品紹介・あらすじ

近代の錬金術師たちはどんな夢を見ていたのだろう。エピソードゆたかに多数の化学者たちが登場する、化学者アシモフの初学者むけ化学史。

感想・レビュー・書評

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  • アシモフというと、SFの大家というイメージが強いですが、同時にれっきとした科学者で、すなわちそれは科学史をしっかりと語ることのできる表現力があることを意味します。
    ひと通り大学の一般科学を学んだ身からすると、有名人が次々と出てきて、とても楽しく読める本です。今の知識からすると簡単なことでも、資源や技術がなかった時代の工夫や熱意、時には勘違いしていることが逆に良い結果をもたらすなどということもあって、その時代にはそれが発見されることが、強い興奮を持って受け止められたのでしょう、そのようなドキドキ感を追体験できる格好の教材となっています。

  • 化学という学問の歴史を振り返るにあたり、これほど素晴らしい本はなかなかないだろう。化学の思想と研究がどのようにして生まれ、発展し、今日に至るのかがこの一冊で理解できる。

    とりわけ化学に詳しくない初学者が読めるよう平易な言葉で書かれているのがありがたい。途中で用語の意味を調べたりする必要もなくどんどん読んでいける。もちろん、化学を学んできた人たちが読んでも楽しめるだろう。高校生の副読本にしても良いと思う。無味乾燥な化学の教科書などよりよほどためになる。

    化学の歴史は、古代ギリシア時代の天才たちを疑うことから始まっている。彼らの思想をそのまま取り入れてきた人達がほとんどの中、疑問をもち、実験を行い、異論を組み上げてきた変わり者たちがいたからこそ化学は進歩してきたのだろう。

  • 高校生のときに、副読本として指定してほしかった(笑)
    いや、本当に。

    人間が木と木を擦り合わせて火を発見して以来、「人間は実際的な化学者になった」(アシモフ)。
    「火の発見」から核爆弾をつくるようになるまで、化学反応を術(すべ)の一つとして使うようになった人類の歩みが、簡潔かつ濃密に綴られた一冊です。
    地球は宇宙の中心にあり、水は土の別の側面が見えているもので、粘土が金になると思われていた時代から、コペルニクスとヴェサリウスによる科学の転回期を経て、観念的であった原子の定義が陽子・中性子・電子から成る構造的定義に置き換わっていき、またメンデレーエフの予言が的中して周期表が埋まっていき、今度は周期表の1マスの中で各元素が多様化していくまでの、人間の知的奮闘史です。

    訳もいい。とにかく読みやすいし、分かりやすい。
    ひと通り高校化学を勉強したうえでこの本を通読すれば、目には見えない「化学とは何か」ということが、イメージを持って理解できるようになると思います。
    うまくいけば、有機化学の暗記も上達するような気がしますね。

    SF小説家でもある本書筆者 アイザック・アシモフの文章自体が知的好奇心に富んでいて「うまい」ということも多いにありますが、タレスやアリストテレスから始まる科学者たちが中性子の存在や同位体の発見に自分たちを導くまでの、その知的思考力に感動しました。
    「よくそんなこと思いつきますね」と。
    何年「流行語」になっているかもう忘れてしまいましたが、日本の教育が求め続けて、未だ見つけられずにいる「考える力」とは、こういう先人たちの物語を知るところから養われていくのではないかと思います。

    ただやっぱり、熱力学、化学熱力学は、アシモフを読んでさえもよく分からない。精進です。

  • 数学史とか、科学史っていうのは、単純におもしろいので、早い段階で興味のために教えるべきだと思っています。
    それのことを人生を賭けるぐらいおもしろいと感じた人がいるということを知ることは、けっこう、子どもの興味を刺激するのではないでしょうか?

    まぁ、数学史や科学史が授業に入ってきたら、その評価はどうするのか・、人物の名前を覚えてテストするのか?てな話も入ってきそうですが、でも、評価いらないと思うのです。
    評価されないおもしろい話がいっぱいあって、それがフックになって、実際の数学や理科にも興味を持つというのは、アリなんではないかと思うのです。

    そうすると、まぁ、実用の世界からは、「役に立たない」とかいわれて、勉強するだけ損とかいわれるのかなぁ。

    うーん、勉強しなくてもいいから、講談を聞くみたいな感じで楽しめるといいなぁと思うのです。
    そして、実際に、数学や科学で、そのことに触れたときに、発見した人の名前が出てこなくてもいいので、

    「これこれ。これって、誰だったかが自殺しようと思っていたのに、解けそうになって自殺思いとどまった問題だよなぁ」

    とか、そんな風につながると、

    「ちょっと、挑戦してみるか」

    とか、

    「ちょっとおもしろそう」

    と感じるようになるんではないかと思うのです。
    これは、多分、競馬をしていて、馬の物語に興味をもったりするのと似ているかもしれない。知識があると、より楽しめる。物語が加わると感動すらできるかもしれない。

    今ある、乾燥したデータだけでも、充分におもしろいんだけれども、その裏のドラマを知るとより楽しめる。そんな気がするのです。

    それで、今回、この本を読んで、化学っていうのは、けっこう発見の歴史に沿って教えられているんだなあと感じました。

    これを教えられる先生っていうのを養成していくのは、これからを考えるとけっこう大切なんではないでしょうか?
    全国学力調査のテスト対策をしているよりは……。

  • その名の通り、化学の歴史。人類による科学研究の大河を体験できる。オススメ!

  • 系推薦図書 総合教育院
    【配架場所】 図・3F文庫新書 ちくま学芸文庫
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=188983

  • 古来より化学に対する第一の要請は、理想的な物質をいかに作るかという点にあった。最も古いものを数えればまず火という、熱を用いた化学反応に行き当たるし、そうでなくとも博物館で青銅器やさらに時代を下った鉄器を目にした人も多いと思う。化学は人間が物質に対して試行錯誤してきた過程そのものであるし、現代になってもその根底は変わっていない。ただ少しばかり理屈が通るようになったに過ぎない。これはそんな化学の歴史を、古代から現代まで、ハーバードの助教からSF作家に転身したアイザック・アシモフが著した珠玉の化学史である。(化学システム工学専攻)

    配架場所:工5号館図書室
    請求記号:A-20:A2-1:1t

    ◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2002856188&opkey=B153973813309417&start=1&totalnum=7&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0000000

  • 化学史のクライマックスは、元素の周期律表の創出か。その後の化学の応用も興味深い。時代の制約からフロンの罪については触れていない。終わり方に気品すら感じる。

    高校化学を終えた人向けか。

  • SF小説で有名なアイザックさんの化学本。
    なかなか、勉強になり、SFを書く為にはこういう化学知識も大切だなと思える一冊。
    文系の方でも分かり易い。

  • ホントに歴史の本だった。面白い。
    面白いけど、眠くなるのでなかなか読み終わらない。
    歴史を知ることで新しい発見もあるけれど、私には『なかよし・いじわる・元素の学校』で充分かな。(^^;

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著者プロフィール

Isaac Asimov (1920―1992 )。アメリカの作家、生化学者。著書に『われはロボット』『ファウンデーション』『黒後家蜘蛛の会』等のSF,ミステリーのほか、『化学の歴史』『宇宙の測り方』等の科学啓蒙書やエッセイが多数ある。

「2014年 『生物学の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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