- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480092892
作品紹介・あらすじ
戦前戦中の日本映画界を代表する卓抜したシナリオ作家、映画監督伊丹万作。「無法松の一生」「赤西蛎太」「国士無双」などの作品で知られるが、彼はまた、映画論や社会評論にも絶妙な筆をふるった批評の名手でもあった。数々の演技論・映画論は、現在でも映画芸術のバイブルとされ、なかでも「演技指導論草案」は今なお高い評価を得ている。映画関係者のみならず、広くファン必読の書といえよう。その批評は、知的な諷刺のきいたユーモアにあふれ、透徹した観察によって人間性の本質をしかと把握。近年、絶えて久しい、剛直で骨っぽい珠玉の人生哲学を展開する。
感想・レビュー・書評
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小津安二郎「父ありき」についての批評が興味深く。
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映画『ハンナ・アーレント』を見た翌日に「戦争責任者の問題」の項を読んで、ふたりの視点が似ていることに驚いた。
ハンセン病について。映画、シナリオについて。
関係者の努力や医療の進歩などにより、当時の偏見や常識が書き換えられている事もあるが、今も尚、根本的な問題は解決されていないようにも感じた。 -
映画監督とかシナリオについての話が続くので、少し読むのがしんどかった。とはいえ、趣味で小説を書いているので、参考にはなった。
しかし、当時の日本と今の日本、さして変わらんのだな…。 -
大江健三郎の伊丹評は一読の価値あり。
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「演技指導論草案」が面白かったので、エッセイも読んでみたが、途中で挫折。後半は映画(シナリオ)に対する論評が続くが、観たことのない映画に対する論評は、やっぱり分からない…。時代背景を考えると、彼のフラットな考え方は尊敬に値する。
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『俳優から彼の内包せる能力を抽き出すためには必ず多少の努力を要するものであるが、抽き出そうとする能力があまりにも深部にかくされており、俳優自身もその存在を確信しないような場合には我々の仕事は著しく引き伸ばされ、仕事の形式は訓練という言葉に近づいてくる』という文章があります。
これは、映画監督について語った言葉ですが、「俳優」を「学生」や「子供」に置き換えれば、教育そのものについての話になると思います。