万葉の秀歌 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 117
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094575

作品紹介・あらすじ

宮廷の貴族が、秘めた愛や篤き友情を詠み交わした「相聞歌」。防人が異国の地で望郷の想いをうたった「防人歌」。農民が戯れに紡いだユーモアあふれる「東歌」。古えの日本の心を豊かに伝えてきた『万葉集』全4500余首より珠玉の252首をセレクト。万葉研究の第一人者があらゆる地域、階層の万葉人の心に寄り添い、歌に隠された数々のドラマや四季折々の日本の風景に想いを馳せながら、丁寧に味わい、深く読み解く。巻一から二十まで順を追って辿り、それぞれの巻の歴史的背景や、用語などの基礎知識を学びつつ鑑賞できる『万葉集』解説の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 令和 提案者ともいわれる中西進さんによる万葉集からの選歌・解説本。
    日本の花鳥風月や人情の機微について、千数百年前から豊かに言葉にする文化があったことに感心した。

  • 万葉集の入門書としてNO.1だろう。元号の令和で一躍時の人となった筆者による初級者から上級者まで名句を解説した作品。

    令和の世となり注目される万葉集そして筆者。分量的にも内容も本書が万葉集入門書として一番であろう第一巻から二十巻まで満遍なく様々な句を解説している。ただし内容はかなり高度。

    一気に読むよりじっくりと少しずつ読みたい一冊。

  • 巻一から巻二十までを通しで読む前に摘み食いする気分で全体像を掴むことができる。相聞歌のなかでも女歌と言われるもののうつくしさ。旋頭歌の巻き起こる労働風景。東歌で強気に笑う男達。秀歌といえどもこれだけの数を見ていくと好きな歌人、違和感を覚える歌人、てんで心に響かない歌人など自らの趣向が明らかになる。気に入った歌人の歌を、もっと読みたい。

  • 書店で見つけて手に取った。分厚い。

    万葉集4500余首から、252首を取り上げて詳説した読みもの。古語や文法の解説には寄らず、高校生程度の古文の語彙や知識があることを前提として直截に鑑賞に踏み込んでいるため、文法学習には向かない。
    巻二十をそれぞれ1章とし、その巻の成り立ちや特色も述べている。万葉集全首が載った別の書籍を傍らにして、自分好みの巻だと直感したら本書に紹介されていない他の歌も鑑賞してみると楽しいだろう。楽しかった。
    ボリュームがあるので一気読みはせず、3、4章ずつ6日かけて読んだ。本書を読むまでは詰まらないように思えた歌が急に輝いて見えて戸惑うこともあった。文芸を味わうには、やはり前提知識というのは重要だ。高級料理店で食べる刺身と同じものでも、四畳半の卓袱台でポリ容器から移しもせず割り箸で食べたとしたら、やはり味わいは違ってくる。全てを味わうための知識の下敷きがないことが悔しい。

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著者プロフィール

中西 進(なかにし すすむ)
1929(昭和4)年東京生まれ。東京大学卒業、同大学院修了。文学博士。
筑波大学教授、国際日本文化研究センター教授、大阪女子大学学長、帝塚山学院学院長、京都市立芸術大学長などを歴任。全国大学国語国文学会会長、日本ペンクラブ副会長、奈良県立万葉文化館館長なども務める。
「万葉集」など古代文化の比較研究を主に、日本文化の全体像を視野におさめた研究・評論活動で知られる。読売文学賞、日本学士院賞、大佛次郎賞、和辻哲郎文化賞ほか受賞多数。
主な著書に、『万葉集全訳 注原文付』全五巻(講談社文庫)、『中西進 日本文化をよむ』全六巻(小沢書店)、『古代日本人・心の宇宙』(NHKライブラリー)、『中西進と歩く万葉の大和路』(ウェッジ)など。

「2022年 『万葉秀歌を旅する 令和改装版 CD全10巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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