『日本文学史序説』補講 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 97
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094896

作品紹介・あらすじ

世界7カ国語に翻訳され、高い評価を受けた『日本文学史序説』。本書は、この不朽の名著について、著者みずからが集中講義を行った全記録である。『日本文学史序説』のエッセンスを分かりやすく説きつつ、執筆の方法論を明かし、その後の発見なども織り交ぜて縦横に語る。日本文学の細やかな味わいについて、中国や西洋の文学との比較、文学にあらわれた思想について-自著の解説やすでに語られたことの要約に留まらぬ、芸術・文化、政治、社会に及ぶ白熱の講義録。文庫化にあたり、『日本文学史序説』をめぐる、大江健三郎、小森陽一、成田龍一各氏の追悼鼎談を「もう一つの補講」として収録。

感想・レビュー・書評

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  • 一気に読んでないのであまり覚えてない。座談会形式で結構いろんなジャンルの質問が出てた気がする。

  • そろそろ「日本文学史序説」読まなくては…と思いつつ手をつけなかったが、この補講が誘い水に…なりそうな。
     寝る前の読書だから、なかなか進まないが、知的興奮は大。そういう考えなのか、そういう問題意識なのか、が冒頭から。

    読み終わった。文学だけでなく、ものごとを考えるときの基本を考えた。「なるほど」の多い読書体験。準備体操が済んだので、本体「日本文学序説」に取りかかるか…。

  • 以前読んだ「日本文学史序説」は大著であって、その内容は殆ど記憶に無いのだけれど、実朝の金槐集を褒めていたことと、虎関師錬の「元亨釈書」までをも「文学」として取り上げていたことだけは、妙に印象に残っている。
    今年出たこの「補講」には、著者が何を目指して「序説」を書いたのか、が説明されていて、「元亨釈書」はもちろん「正法眼蔵」も「論語徴」も「折たく柴の記」もみな文学だ、という著者のスタンスが良く分かる。
    本書でもう一つ分かることは、著者が丸山眞男の諸研究を良く吟味して自分の思想に取り入れている(ように思える)ことだ。
    なお、本書巻末に付いている大江健三郎らの鼎談は、中味が濃くてオマケのレベルを超えている。

  • 「日本文学史序説」に関して、著者が集中講義をした際の記録。質疑応答形式を書き下ろしているので、分かり易く説明が為されている。
    出版当時に記した内容を近時の情勢に照らしながら評する内容も興味深い。
    加藤氏の語ることに「重み」を感じるのは、彼が偉大な知識人であり、知識人たるもの、単たる知識だけでなく、経験の積み重ね(行動)が知識とシンクロしているからなのだろう。
    大江健三郎曰く、
    「自分の研究をし、海外での経験も積んで、普遍性を持ったところで世界的に活躍できる人こそが知識人なのだと。だから若い人たちは外国に行ってきちんと議論できる者になる必要がある、少なくともそれが知識人となるための第一歩なのだと考え、(加藤は)自らの人生でそれを証明されました」


    以下引用~
    ・「過ぎ去った出来事を記録し、分析し、相互の関係を求めて説明する、それを歴史という」とウェブスターは書いています。・・・「繰り返されない物事に関する科学が歴史である」。
    ・明治になってからの日本人が、驚くべき観察力を発揮したのは岩倉遣米遣欧使節団です。あれはすごい。実に広く深く観察し、正確に記述し、その解釈はほとんど間違っていなかった。・・・社会の秩序は法律だけではコントロールできないから、もっと内面化された価値観、倫理が必要だという問題意識です。・・・それで結局つくったのは天皇制、国家神道でした。・・・彼らは実際に教会にも行っています。信仰はないけれど、米国で教会が生きている役割は重大だということで礼拝にも行ったのです。
    ・その後の日本の美学を決定するのは、すくなくとも抒情詩に関する限り、圧倒的に「古今集」です。・・・「古今集」があったから「源氏物語」が出てきた。・・・(源実朝の)次に「古今集」の上に「万葉集」を置いたのは正岡子規です。だから子規は歌に関しては革命的な主張をしたのです。
    ・(ばらの騎士より)「時間とは不思議なもので、それを気にしないで生きているときは何も意識にのぼってこない。そういうふうに暮らしてきたが、一度時間の流れを意識すると、もうほかのことは考えられない」。
    ・もう一つ、視点を動かさないようにすることとからんで出てくるのは、光の方角の不動性です。ありとあらゆる方向から漫然と光が射するのではなくて、ある一点からある方角へ入ってくる。フェルメール、レンブラントらの光は一方向です。・・・それを崋山は取り入れた。
    ・ナポレオンの天才だけでは百戦百勝というのはちょっと怪しい。・・・19世紀前半のフランスは人口でヨーロッパ最大の国でした。・・もうひとつはナショナリズム。愛国主義でできた最初の軍隊です。
    ・100年前の福澤は勘所をいってます。「富国強兵」をほんとうに実現する気なら、「愛国心」はどうしても必要な要件です。「愛国心」をどうやってつくるかといえば、政治参加です。
    ・それを丸山さんは日本人の「古層」といったのです。私は「土着世界観」といいました。国学は<大和心>の意識化です。

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著者プロフィール

一九一九(大正八)年、東京生まれ。東京帝大医学部在学中から、押韻定型詩の文学運動「マチネ・ポエティク」に参加。一九四七(昭和二二)年福永武彦,中村真一郎と「一九四六―文学的考察」を発表、一九五一(昭和二六)年医学留学生として渡仏し西欧文化を体験。五五(昭和三三)年医業を廃し、以後、各国の大学で日本の文学や美術を講じつつ、文学,美術,政治などの評論活動をおこなう。七五(昭和五〇)年『日本文学史序説』で大仏次郎賞。八八(昭和六三)年東京都立中央図書館長。九二(平成四)年立命館大学国際平和ミュージアム館長。九四(平成六)年朝日賞。二〇〇八(平成二〇)年没。著書に評論「雑種文化」、自伝的回想録『羊の歌』、小説『運命』、『加藤周一著作集』(全二四巻)など。

「2021年 『都鄙問答』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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