老子 (ちくま学芸文庫 ロ 7-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480095138

作品紹介・あらすじ

自己研鑽し、知識を増やすことは、かえって人間を不幸にするのではないか-才知がものをいい、相手を出し抜き、騙すことまでもが出世につながる中国戦国時代の中で、老子はそう考えた。そして農村の自然で素朴な生活に人間の幸せな生き方を見出し、「無為自然」の境地にいたる。無為とは不必要なことは行わないという意味で、孔子をはじめ儒家が貴ぶ学問も、自我を肥大化させるだけの不必要なものと批判した。競争社会を強く否定する老子の思想は、生き方に迷う多くの日本人を魅了してきた。己れの無力を知り、自由に生きるための知恵を、碩学・福永光司の名訳と詳細な注釈で読む。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、老子の道徳経の解説の書です
    道徳経81章は、上篇37章(道経)と下篇(徳経)44章とに分かれています

    儒教と対比される道教ですが、なかなか向き合うことができないでいました。

    内容については、書き下し文と、解説があるも、複雑であり、残念ながら、即解できるほど簡単ではありません。

    帯に老子の概要が述べられています

    ・自己研鑽し、知識を増やすことは、かえって人間を不幸にするのではないか。
    ・農村の自然で素朴な生活の中で見出したものは、「無為自然」。
    ・無為とは、不必要なことは行わないこと、儒家のいう学問も、自我を肥大化するだけの不必要なものと批判している。
    ・己の無力を知り、自由に生きるための知恵であり、競争社会を強く否定するのが、老子の思想である。

    巻末に訳者福永光司の解説、興膳氏の解説の2つの解説があり、「老子」を概観している。おおづかみをされるのであれば、福永氏の解説をまず読まれてはいかがでしょうか。

    気になったのは、以下です。

    ■老子の教えとは

    ・道とは、形なき形、声なき声である

    ・一切万物は生滅変化を繰り返す有限の存在であるが、道は、万物の生滅と変化を超えて悠久であり無限である。

    ・己を低きにおいて他人と勝ちを争わず、争わないことを己の処世の根本とする。争わないためには、どのような汚辱にも耐え、どのような卑賤の地位にも甘んじ、凹地に溜まる濁水のように世の汚れを一身に受ける。

    ・老子には、固有名詞は一切でてこない、ただ、突如「我」があらわれてくる。

    ■老子という書について

    ・老子とは、道を説明する哲学的な著作である。

    ・「老子」とは、中国において、はじめて、否定の精神と論理を確立した哲学書である。

    ・「老子」という書物が箴言集としての性格をもつ。

    ■老子の言葉 番号は章番号

    天網恢恢:天網恢恢疎にして失わず 73
    多言なればしばしば窮す 5
    信足らざれば、信ざらざれる有り 17
    兵は強ければ則ち勝たず 76
    知足:故に知足を知りて足れりとせば、常に足る 46
    知る者は言わず、言う者は知らず 56
    信言は美ならず、美言は信ならず 81
    曲なれば則ち全し 22

    目次

    上篇 道経
    下篇 徳経

    訳者解説
    解説 福永光司の中国宗教思想史研究と「老子」
    索引

    訳者は、京大名誉教授で、老荘思想の第一の研究者、2001に逝去

    ISBN:9784480095138
    出版社:筑摩書房
    判型:文庫
    ページ数:384ページ
    定価:1200円(本体)
    発売日:2013年01月10日

  • 形あるものに囚われず、奢らず冷静・柔軟に思考する

  • 上篇(道経)◆下篇(徳経)

    訳者:福永光司(1918-2001)
    解説:興膳宏(1936-)

  • 一気には読めない本なので、通勤時に小声で音読してました。

    漢文なんて久しぶりに読んで新鮮でした

  • 孔老孟荘の中で老子が一番好きかなぁ
    人をいつくしむ心。何も持たぬ暮らし。人の先に立たぬ生
    漫画の読み過ぎかなぁ

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著者プロフィール

1918年大分県中津市生まれ。 1942年京都帝国大学文学部哲学科卒業。  同年10月熊本野砲兵聯隊入営。戦争末期に中国大陸に渡り、広東省で終戦を迎え、47年上海から復員。東方文化研究所(京都)助手、大阪府立北野高校教諭、愛知学芸大学助教授、京都大学人文科学研究所教授を歴任。 1974-79年京都大学文学部教授。 1980-82年京都大学人文科学研究所所長。  定年退職のあと関西大学文学部教授、北九州大学外国語学部教授を勤める。その後、故郷の中津に住み、執筆・講演活動を行う。 2001年没。 著書に、『荘子』(中公新書)、『老子』(ちくま学芸文庫)、『道教思想史研究』(岩波書店)、『魏晋思想史研究』(岩波書店)など多数。人文書院刊行の書籍に『道教と日本文化』『道教と古代日本』『中国の哲学・宗教・芸術』『「馬」の文化と「船」の文化 古代日本と中国文化』『タオイズムの風 アジアの精神世界』がある。

「2018年 『「馬」の文化と「船」の文化 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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