数学序説 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480095589

感想・レビュー・書評

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  • 本書は1954年3月に培風館より刊行、その後、改訂を経て、2013年3月に筑摩書房より文庫として刊行された。実に60年以上を生き延びてきたロングセラーである。
    著者の吉田洋一(1898-1989)は、数学者・数学教育者で、また優れた随筆家でもあった。『零の発見』(岩波新書)は一般向けの数学読み物として広く読まれた。
    共著者の赤攝也は、吉田の娘婿に当たる数学者である。

    本書は、
    「数学者」を増やすためのものではない。素人でも数学を楽しむことができることを説明したい
    との著者らの意図から生まれている。
    大学の一般教養における数学の教科書とするのが第一の意図であり、「教養としての数学」を平易な形で提供しようとするのが第二の目標である。
    数学の成り立ちから発展、現代の最先端に至るまで、「比較的平易に」「技術的要素を極力少なく」記述されている。

    エウクレイデス(ユークリッド)の「原論」、代数学の誕生、デカルトの幾何学、接線と微分法、面積と積分法、ヒルベルトの公理主義、群・環・体、実数と無限、確率と統計などが扱われる。
    各章は比較的細かい節に分けられ、懇切な解説が加えられている。
    文中の注や巻末には、さらに知りたい人向けの参考文献付き。

    以下、書評ではなく、感想で。

    個人的に、「数学のできる人になりたい」と漠然と思いつつ、大学教養以降はほぼ数学から離れて数十年。さて、何をどこからやればよいのかさっぱりわからない。教育テレビの高校数学Iなど見始めてみたが、基本的には数学が苦手だと思う子が受験期を切り抜けるための作りであるようで、それはそれでおもしろいのだが、自分が知りたいのは本当にこういうことなのか、というとよくわからない。
    それで本書を読んでみたのだが。
    幾何学と代数学のつながり、あたりは、はぁなるほど、とおもしろく読んだのだが、群・環・体となると「んー??」とよくわからない。やはり自分にはあまり数学的センスがないのかもしれないという身も蓋もない結論に傾きそうになる。
    何とはなしに、物理も数学も、古典幾何学や古典力学のように直観的な目に見える世界から、複素数や多次元、量子力学などの、感覚とは離れた「理論」の世界に向かっているように見える。
    自分はそちらに少しでも向かっていけるのかな? それは基礎をがっちり身に付けないと無理なのか? そもそもやはりセンスがないのか?
    よくわからないながら、もう少し、自分は数学のどこに惹かれるのか、何が知りたいのか、(まだあきらめずにw)断続的に考えてみたいと思っている。

  • 請求記号 410/Y 86

  • 系推薦図書 総合教育院
    【配架場所】 図・3F文庫新書 ちくま学芸文庫
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=188691

  • 数学
    これを読む

  • 数学の基本。

    数学を専門にしたい人にはオススメ。

  • 数学の壮大な歴史を紐解きながら、その動因と繋がりを示す名著。数学への興味がないとつまらないだろうが、私にはどの章も面白かった。

    ユークリッドの幾何学の具体的な証明、代数学の萌芽、解析幾何学、微分法、取り尽くしの方法、ヒルベルトの公理主義、非ユークリッド幾何学、脱皮した代数学、直線を有理数で切る実数の概念、集合、濃度、証明論、確率

  •  この本を読んで初めて数学というものを知ることができた。数学をもう一回勉強し直したいと思わせる本だった。
     昔は数学の厳密さにイライラしたが、今はその厳密さをきれいに感じる。

  • ユークリッド幾何、微積分から数学基礎論まで概念的なところから数学とは何かを解説する。数学の学問としての面白さに触れることのできる本。

    大学で数学を学ぶとあれよあれよという間に抽象化の度合いが高まっていく。新しい概念を手に入れると何とも言いようのない高揚感を感じることができる。その一旦を初学者にも何とか理解してもらいたい、そういう思いで本書は書かれているように思う。高揚感を感じるには一定の努力は必要だ。だから、教養としての数学云々…と帯にはあるが、この教養は、昨今、流行のお手軽で日々の生活に役立つような教養ではない。もっと重厚で役立たずでそれでいて理解するためには読者に努力を強いる教養だ。

    数学なんて役に立たないとある人はのたまう。しかし、役に立たなくたって、いや役に立たないからこそ、数学はこんなに面白い。(ところで、役に立つことばかり追いかけてしまうのは何故だろう?)有理数の切断として実数を捉えることで何かが変わるわけではない。でも、有理数の切断として実数を捉えることができればそこにある種の感動があることは間違いない。

  • 2014/03/13 購入。竹内薫氏が日経新聞の書評で絶賛してたので、今更だけどつい買ってしまった。それにしても、著者の吉田洋一氏は函数論やルベグ積分入門で、赤攝也氏は集合論入門で、それぞれ学生時代にお世話になった。

  • 時間足りず拾い読み。改めて。

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著者プロフィール

吉田 洋一(よしだ・よういち):1898−1989年。東京生まれ。東京帝国大学理学部数学科卒業。第一高等学校教授、東京帝国大学助教授、フランス留学を経て北海道帝国大学教授、立教大学教授、埼玉大学教授。著書に『函数論』(岩波全書)、『零の発見』(岩波新書)、『微分積分学序説』(培風館)、『微分積分学』、『ルベグ積分』(以上ちくま学芸文庫)。共著書に『数学序説』(共著者赤攝也、ちくま学芸文庫)。

「2023年 『数学の影絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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