朱子学と陽明学 (ちくま学芸文庫 コ 41-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480095695

感想・レビュー・書評

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  • 放送大学の講義がベースになっているだけあって、短いけれど読み応えがある。ある程度儒教の予備知識があって、だけれども朱子学と陽明学の本質的な違いがあやふやな初学者にとっては非常に有用である。
    これを読むと原儒と宋学以降の儒教は別物であり、それらの差に比べれば朱子学と陽明学は親戚のようなものであることがわかる。朱子学も陽明学も治国、平天下が関心事で、その目的に至るアプローチに若干の違いがある感じ。一方で原儒は宗教だ。朱子学は静坐格物で読書と沈思、陽明学は致良知で善の実践という違いがあるが、本質的には政治哲学の一部。仏教や道教との違いも詳しく解説されている。
    これで頭の中がスッキリした。

  • 多分
    3%くらいしか内容わかってないけど
    朱子学が「至る」
    陽明学が「正す」
    っていうのが、しっくりきた。
    朱子学がまずは読書、静坐
    陽明学が現場主義
    っていうのも、なんとなくしっくりきた。
    どちらも
    孔子の教えを正しく伝えたいだけなのに、流派がわかれちゃったことを知った

  • 第75回アワヒニビブリオバトル「おうち時間DEビブリオバトル」4時間目 道徳で紹介された本です。オンライン開催。
    2021.05.01

  • 放送大学の教材を改稿した本で、朱子学と陽明学を中心に宋代以降の中国思想史をわかりやすく解説しています。

    本書とおなじタイトルで、名著として知られる島田虔次の『朱子学と陽明学』(1967年、岩波新書)がありますが、本書は「文庫版まえがき」で書かれているように、朱熹や王守仁らを「研究対象として突き放す立場」をとるとともに、「過去に存在した思想教説を彼らの意図に即して解析する」という方法にもとづいています。とくに、それぞれの思想家たちが彼らの生きた思想状況のなかで抱えていた問題にどのように対処しようとしていたのかという意図をあぶり出し、そこから思想形成にいたる過程を、ある意味では「覚めた」視線で書かれているのが印象的でした。

    中国思想史に対する関心を読者の心のなかに呼び起こすような本ではありませんが、中国思想史のなかで重要な位置を占める朱子学と陽明学の二つの流れを概観するうえでは、有益な入門書ではないかと思います。

  • 2015.08.02 Amazonで「ちくま学芸文庫」を検索していたら、見つける。

  •  朱子学と陽明学はどちらも儒学の学派であるが、何が違うのか?と問われると答えることは難しい。本書では熹と王陽明の生い立ちの違いから見られる対する考え方の違い、『論語』の読み方の違いを比較するという方法で、朱子学と陽明学の違いを解説している。中でも『論語』そのものよりも、朱熹が論語をどう解釈していたかという点に議論が移っていった点が興味深い。何しろ『論語』をそのまま読むと朱熹の解釈にはならなず、なぜ朱熹はこのように解釈したのかを考えなければならないからである。これは朱熹が弟子に対して異なる説明をしていたことが原因ではあるが、それ以上に、朱熹自身の考えを『論語』の解説に混ぜ込んでいたことが原因だろう。そして生じた歪を解消しようとする揺り戻しが陽明学ではあるのだが、これも結局は『論語』に戻りつつも結局は朱熹の解釈に対する解釈にとどまってしまっている。ここから見えてくるのは、古典に対する解釈に自身の意見を混ぜる、権威を背景に自説を押し通すという姿勢である。なるほど、たしかに長く儒教の支配下にあった国家が”なぜああなのか”が朱子学と陽明学から見えてくる。

  • 【資料ID: 1117023758】 125.4-Ko 39
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB13434467

  • 【書誌情報+内容紹介】
    東アジアの思想を一望する極めつきの入門書!
    近世儒教を代表し、東アジアの思想文化に多大な影響を与えた朱子学と陽明学。この二大流派の由来と実像に迫る。通俗的理解を一蹴する入門書決定版!

    シリーズ:ちくま学芸文庫
    定価:本体1,100円+税
    Cコード:0110
    整理番号:コ-41-1
    刊行日: 2013/09/10
    判型:文庫判
    ページ数:256
    ISBN:978-4-480-09569-5
    JANコード:9784480095695

    儒学は、中華帝国の正統思想として2000年の長きにわたり君臨してきた。その儒教史上に燦然とかがやく二つの学派がある。南宋の朱子によって体系化され、やがて明・清および朝鮮で体制教学となった朱子学であり、それを明の王陽明が批判的に継承し展開した陽明学だ。日本を含む東アジアの思想文化に決定的影響を及ぼしたこれらの流派は、はたして何を唱えたのだろうか。朱子学・陽明学が誕生した時代背景とその問題意識に焦点をあてることで、通俗的理解とは大きく異なる実像が見えてくる。両教説の異同を明快に説き、壮大な思想体系の全体をあざやかに一望する、入門書の決定版!

    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095695/


    【簡易目次】
    朱子学・陽明学とは何か
    士大夫の時代
    朱子と王陽明の生涯
    中国における展開
    日本における受容
    性即理と心即理
    格物と親民
    天理と人欲
    礼教と風俗
    理と気
    思想史における唐宋変革
    儒仏道三教の関連
    経学史のなかで
    東アジアにおける近世
    朱子学・陽明学の未来


    【蛇足】
    ・こんなイベントがあったようだ。
    「子どもたちに語る日中二千年の歴史」
    http://peatix.com/event/223557?lang=ja


    【抜き書き】
    “儒家思想において感情のむきだしな表出は控えるべきこととされ、これらの感情をどう統御するか、あるいは統御することが可能かが、修養論の一つの主題であった。”

  • 入門書としてわかりやすい。もっと読み返して、自分のものとしたい。

    日本に与えた影響。
    また、中国でどのように受容されきたのかもわかる。

    本書は、少し前に放送大学ように書かれたものであり、さらに研究がすすんでいると思われる。
    筆者のあらたな知見をもりこんだ書の刊行を望む。

  • まだあとちょっと残ってますが、小島先生のこの本は面白い。いわゆる朱子学と陽明学と、対立構図で描かれがちな両派の複雑な流れを明快に説明してあるので、よくわかる。今まで太い幹しか見えてなかったものが、その間にある細かな枝までが短いこの本の中に細大漏らさず描かれている点、好著だと思います。何度か読み返したい感じです。

    読了。
    2013に出版された新しいもの(ただし元になった内容は放送大学原稿で多少古い)で、おそらく一番新しい朱子学と陽明学についての概説本。最終章は、現代儒学の行く末について論じてあり、この古くて新しい東洋の思想の行く末について、読者の後学を促す。良い本だと思います。

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著者プロフィール

1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国思想史。『儒教の歴史』(山川出版社、2017年)、『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)、『宋学の形成と展開』(創文社、1999年)、『中国近世における礼の言説』(東京大学出版会、1996年)、『中国思想史』(共著、東京大学出版会、2007年)、ほか。

「2021年 『東アジアの尊厳概念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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