増補 学校と工場: ニ十世紀日本の人的資源 (ちくま学芸文庫 イ 52-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • / ISBN・EAN: 9784480096074

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  • 天然資源が豊かではない日本にとって、人材の重要性は強調してもし過ぎることはない。経済的豊かさを規定するのは「人」であり、「人」しかない。では近代日本の経済発展を人材形成の歴史として読みなおしたとき、どのような特徴が浮かびあがるのか。本書では、経済成長をもたらした人的資源(human resources)の形成と配分を、学校、会社、軍隊などの教育・訓練の姿を中心に検証する。「持たざる国」日本では、知識と技能はどのように修得され、産業活動の現場に動員されたのか―。江戸期から現代への変遷をたどり、歴史と理論の両面から日本のシステムの核心に迫る。
    第1章 江戸の深さ、明治の新しさ
    第2章 工業化と労働力
    第3章 軍隊と産業
    第4章 戦後の学校
    第5章 工場内の人材育成
    第6章 高学歴化したホワイトカラー
    第7章 官吏から公務員へ
    第8章 移民と外国人

  • 【書誌情報+内容紹介】
    『増補 学校と工場―― ニ十世紀日本の人的資源』
    著者:猪木 武徳
    定価:本体1,300円+税
    Cコード:0137
    整理番号:イ-52-1
    刊行日: 2016/06/08
    判型:文庫判
    ページ数:432
    ISBN:978-4-480-09607-4
    JANコード:9784480096074
    在庫:品切れ

     天然資源が豊かではない日本にとって、人材の重要性は強調してもし過ぎることはない。経済的豊かさを規定するのは「人」であり、「人」しかない。では近代日本の経済発展を人材形成の歴史として読みなおしたとき、どのような特徴が浮かびあがるのか。本書では、経済成長をもたらした人的資源(human resources)の形成と配分を、学校、会社、軍隊などの教育・訓練の姿を中心に検証する。「持たざる国」日本では、知識と技能はどのように修得され、産業活動の現場に動員されたのか―。江戸期から現代への変遷をたどり、歴史と理論の両面から日本のシステムの核心に迫る。
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480096074/

    ・「webちくま」より、自著解説。
    https://www.webchikuma.jp/articles/-/214


    【目次】
    はじめに [003-012]
    取り上げた問題/労働経済学の視点/人材の育成は長期的な問題
    目次 [013-019]

    第1章 江戸の深さ、明治の新しさ 021
    1 藩校・寺子屋から「学校」へ 023
    藩士の教育・選抜システム/読み書き算盤/郷学と私塾/家訓と商家の現場教育/小学校の誕生/「教育令」から「諸学校令」へ
    2 外国の知識・技能の移入 047
    お雇い外国人/日本人の弟子たち/法律顧問/エンジニア教育/近代科学と学術/音楽/美術・工芸/留学/人が動くことによる技術移転の重要性

    第2章 工業化と労働力 073
    1 産業教育と労働の現場 076
    実業学校/職人を訓練/軍工廠の役割/軍工廠の養成工
    2 「女工哀史」と労働争議 088
    綿糸紡績/「下層社会」のありさま/女工と企業内教育/労働組合の誕生/激化した争議
    3 勤続年数と技能 113
    労働移動の実態と弊害
    4 研究開発と技術者たち 120
    原敬と大学令/大卒者の就職難/科学技術の研究開発/シンクタンク

    第3章 軍隊と産業 133
    1 陸海軍の教育と選抜 136
    陸軍幼年学校と陸士・陸大/海軍兵学校と海軍大学校/軍人の出身家庭/将校の級区分と進級/軍隊の進級制度の特徴
    2 軍事技術と民間企業 153
    「ゼロ戦」から新幹線へ/人的資源への戦争の影響/戦時期の賃金制度/労働力移動と「接触効果」/職業軍人の戦後

    第4章 戦後の学校 171
    1 占領と教育改革 174
    GHQの教育改革指令/教育勅語から教育基本法へ/旧制高校が姿を消す/女子教育の拡充
    2 人的資本理論の妥当性 187
    進学率の驚異的な上昇/教育は投資であり、消費でもある/大学教育の収益率/在学によって失う収入
    3 現実の動き 198
    選抜装置という見方/学校教育の価値/教育はどの段階で生産性の上昇に効果を持つか/高等教育における職業教育

    第5章 工場内の人材育成 215
    1 職場でのブルーカラーの教育訓練 217
    労働と生産性の関係/教育・訓練の形/OJTが中心
    2 0JTはなぜ有効か 235
    「生きた知識」を伝える/小コストで技能を高める/民主的な人材選抜方法
    3 発展途上国の経験が示すこと 244
    4 日本の高度成長期に起こったこと 247
    不確実性、変化、異常への対応/資本設備の高度化/間接部門の成長・拡大
    5 「日本的雇用慣行」は日本独自か 256
    長期勤続と年功賃金/大企業における長期雇用/雇用慣行を長期的に見れば

    第6章 高学歴化したホワイトカラー 271
    1 戦前と戦後のホワイトカラー 274
    戦後の傾向/大企業、大都市で圧倒的に多い/トップ・マネージャー層の特徴
    2 ホワイトカラーと「日本的雇用慣行」 284
    能力主義と評価システム
     報酬の形態 289
    3「年俸制」の三つのタイプ/年俸制の実態/日本生産性本部の調査/労務行政研究所のアンケート
    4 日本と米国の事情 298
    日本/米国/部門格差の問題/日本と米国のホワイトカラー
    5 ホワイトカラー・モデルを考える 310
    技能測定の難しさ/リスクと責任

    第7章 官吏から公務員へ 315
    1 官吏の任用 318
    情実から試験へ――「ペンドルトン法」/天皇の官吏/戦後システムとキャリア
    2 地方公務員の人事システム――東京都の場合 324
    任用制度の特徴/現代の科挙?/(1)主任職選考/(2)管理職選考/競争原理の適正
    3 「天下り」をめぐって 336
    「天下り先」の三類型/特殊法人への「天下り」/「天下り」批判論/「天下り」に見られる合理性――ひとつの仮説/特殊法人における勤続年数/公務員の量的問題/専門家集団としての公務員/部門間の人材の配分/中央から地方への人材の動き

    第8章 移民と外国人 371
    1 海外移民と日米摩擦 372
    日露戦争後の排日運動/南米移住と満蒙開拓/日系人強制収容所
    2 終戦からの半世紀 386
    抑留・引揚げ/米国のアジア人パワー/九○年代日本の外国人労働者問題

    おわりに [397-400]
    初版あとがき(一九九六年三月 猪木武徳) [401-402]
    増補改訂(文庫)版へのあとがき(二〇一六年弥生 筆者しるす) [403-406]
    参考文献 [i-xx]

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著者プロフィール

猪木 武徳(いのき・たけのり):1945年生まれ。経済学者。京都大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学大学院修了。大阪大学経済学部長を経て、2002年より国際日本文化研究センター教授。2008年、同所長。2007年から2008年まで、日本経済学会会長。2012年4月から2016年3月まで青山学院大学特任教授。主な著書に、『経済思想』(岩波書店、サントリー学芸賞・日経・経済図書文化賞)、『自由と秩序』(中公叢書、読売・吉野作造賞)、『文芸にあらわれた日本の近代』(有斐閣、桑原武夫学芸賞)、『戦後世界経済史』(中公新書)などがある。

「2023年 『地霊を訪ねる もうひとつの日本近代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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