増補 大衆宣伝の神話: マルクスからヒトラーへのメディア史 (ちくま学芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480096098

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  • ヒトラーが、自国民を興奮の渦の中に巻き込んでいき、第三帝国の成立を目指す闘いに乗り出すとき、国民を意のままに操る手段のひとつとして、宣伝を活用してきたと一般的には言われている。

    本書は、ヒトラー以前、ドイツの社会主義者マルクス、エンゲルスがサロンで国際的なプロレタリアートの少数エリートに語りかけた思想を、実践者であるラサール、そしてSPDが、当時のマスメディアである新聞を使って、一般大衆のレベルまで押し拡げ社会運動として進めていく経緯を分析する。そして、その手法の分析を踏まえ、ヒトラーが率いるナチス党はニューメディアであるラジオを活用し、より早く、そしてより広範囲に大衆の気持ちを操り、扇動し、そして戦争に向かって突き進む。
    ラジオは、チャップリンの映画、独裁者のラストシーンでも効果的、そして象徴的に用いられていた。

    改めて思うのは、マスコミュニケーションという手段は、n対nのコミュニケーションではなく、1対nのコミュニケーション、つまりある人や組織の意思や思想を、受け手に向けて、一方的に効果的に伝える手段であるということ。
    したがって、昨今馬脚を現しつつある某大手新聞社が、あたかも報道機関のような体裁をとりながら、社会主義の技法や裏切り、欺瞞といったについては充分研究を積んでいる他国の意を受け、国民に嘘の情報を流し、そして植えつけようとしてきたことは、その成立からして当然のことなのかもしれないと思った。呼吸をするように嘘をつく。それはマスメディアの本質なのかもしれない。

    私たちはいま、n対nのコミュニケーション手段となりうるニューメディア、インターネットを手に入れた。
    情報のお下げ渡しメディアである、マスメディア(宣伝)のくびきを離れるチャンスなのかもしれない。

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著者プロフィール

1960年広島市生まれ。1984年京都大学文学部史学科卒業。86年、同大大学院修士課程修了。87-89年ミュンヘン大学近代史研究所留学。89年京都大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学新聞研究所助手、同志社大学文学部助教授、国際日本文化研究センター助教授などを経て、現在、京都大学大学院教育学研究科教授。メディア文化論専攻。著書に、『現代メディア史 新版』『「キング」の時代』『ファシスト的公共性』(共に、岩波書店)、『増補 大衆宣伝の神話』『増補 八月十五日の神話』(共に、ちくま学芸文庫)、『言論統制』(中央公論新社)、『輿論と世論』(新潮選書)、編著に『ヒトラーの呪縛』(中公文庫)、『近代日本のメディア議員』(創元社)などがある。

「2019年 『大衆の強奪 全体主義政治宣伝の心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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