工場日記 (ちくま学芸文庫 ウ 5-3)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480096463

作品紹介・あらすじ

人間のありのままの姿を知り、愛し、そこで生きたい――女工となった哲学者が、極限の状況で自己犠牲と献身について考え抜き、克明に綴った、魂の記録。

感想・レビュー・書評

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  • とてつもない本だった。シモーヌ・ヴェイユという人物はとても偉大な女性だ。
    この本の最初200数ページほどは、素朴な日記、あるいは日誌のような形式で書かれている。淡々と書かれた中に、職場の人間関係や、思ったことが散りばめられている。そして、最後の数十ページは、彼女が宛てた手紙が載せられている。わたしはこの手紙の部分にもっとも息を呑んだ。文章から受ける印象は、日誌の文体と手紙の文体ではかなり違うように思う。やさしさの度合いというか、温もりというか。日誌における言葉と、手紙における言葉はやはり何かが違う。何が原因かは、一考の価値あり。

  • 考えることが削られていく感覚の描写が、読んでいて辛い。
    こういう生々しい労働の現実を知らずに、あれこれ哲学したり、倫理的に考えたりすることは、虚しいことなのではないかと思う。

    医師や看護師が働く現代の病院にも当てはまるよね?と思った。

  • 同じ頭痛持ちとして、頻出する頭痛の訴えがとにかく胸に迫り、痛ましかった。私には無理だ…。
    他者という人間を人間扱いする、こんなシンプルなことが実は非常に難しく、私たちは誰一人としてできていないことを日々痛感している。せいぜい、半径1mの手が届く人間のことしか本当に「人間」としては考えられない。コミュニティを形成して生きる人間のそうした致命的な欠陥に、机上の哲学ではなく全身全霊の愛をもってぶつかり、当事者意識という言葉を超えた実践を行った人だ。

  • ヴェイユが過酷な工場労働をし、最終的には1日当たりのネジの数ばかり記録している痛ましい記録。最後の方の手紙でぎりぎり体裁を保っている感じだ。

  • 初めてシモーヌ・ヴェイユの本を読んだ。『工場日記』の過酷な労働からの疲労で「考えることができない」という部分はすごく共感した。女生徒に向けた手紙は自分に向けられたメッセージかと思うような部分があった。

  • シモーヌ・ヴェイユが工員として実際に工場で働いた時期の記録。
    『重力と恩寵』同様、これも彼女が遺したノートを編集したものであるが、生々しいのは寧ろこちら。1930年代の工場では、どのような環境で、どのように人々が働いていたのか……という一級の資料でもある。

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/738035

  • 労働環境の劣悪さ。隷属状態。当時の工場労働者の悲哀がリアルに伝わってくる。苛烈な抑圧による思考停止。そこれは現代社会にも置き換えられるものだ。

  • ◆3/19オンライン企画「本を読む、物を書く、編集する」で紹介されています。
    https://www.youtube.com/watch?v=BYxKpp0F3zI

    本の紹介
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480096463/

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著者プロフィール

(Simone Weil)
1909年、パリに生まれ、43年、英・アシュフォードで没する。ユダヤ系フランス人の哲学者・神秘家。アランに学び、高等師範学校卒業後、高等学校(リセ)の哲学教師として働く一方、労働運動に深く関与しその省察を著す。二度転任。34─35年、「個人的な研究休暇」と称した一女工として工場で働く「工場生活の経験」をする。三度目の転任。36年、スペイン市民戦争に参加し炊事場で火傷を負う。40─42年、マルセイユ滞在中に夥しい草稿を著す。42年、家族とともにニューヨークに渡るものの単独でロンドンに潜航。43年、「自由フランス」のための文書『根をもつこと』を執筆中に自室で倒れ、肺結核を併発。サナトリウムに入院するも十分な栄養をとらずに死去。47年、ギュスターヴ・ティボンによって11冊のノートから編纂された『重力と恩寵』がベストセラーになる。ヴェイユの魂に心酔したアルベール・カミュの編集により、49年からガリマール社の希望叢書として次々に著作が出版される。

「2011年 『前キリスト教的直観 甦るギリシア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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